職種別AI仕事術

社内規程をAIで作成する方法

社内規程をAIで作成する方法

この記事の要点

総務担当者がAIを使って就業規則・ハラスメント防止規程などの社内規程の初稿を作成する手順を解説。プロンプト例と法的確認の注意点付き。

結論

社内規程の新設・改定にかかる初稿作成の作業は、AIで大幅に前に進めることができる。規程の目的・対象者・盛り込む事項を箇条書きにしてAIに渡せば、条文形式の草案が数分で出来上がる。ただしAIが作った規程は法的な正確性を保証しない。就業規則や労働条件に関わる規程は、必ず社会保険労務士や弁護士に最終確認を依頼すること。


使うAIツール

規程の初稿作成には以下のツールが使いやすい。

ツール特徴費用
Claude長い文書の構成が安定しやすい無料プランあり
ChatGPT使いやすく、指示を少し変えながら試行しやすい無料プランあり
GeminiGoogle ドキュメントに直接出力できる無料プランあり

規程の内容は会社の機密情報を含む場合もある。学習利用をオフにする設定か、エンタープライズ向けプランの利用を検討する。


社内規程を作る手順

ステップ1:規程の目的と構成要素を整理する

AIへの指示の前に、以下を確認しておく。

  • 何のために規程を作るのか(例:テレワーク導入に伴うルール整備)
  • 対象者は誰か(例:全社員、管理職のみ、特定部門など)
  • 必ず盛り込む事項(例:申請手続き・費用負担・セキュリティルール)
  • 既存の類似規程や就業規則との関係

この4点が明確なほど、AIの出力の質が上がる。

ステップ2:AIで初稿を生成する

以下のプロンプトを使って規程の初稿を作成できる。

以下の条件で【テレワーク勤務規程】の初稿を作成してください。

目的:在宅勤務・モバイルワークの実施に必要なルールを定める
対象:全正社員(試用期間中は除く)
盛り込む事項:
- テレワークの定義と実施形態(在宅・サテライトオフィス・モバイル)
- 申請・承認手続き
- 勤務時間・休憩・時間外労働の取り扱い
- 費用負担(通信費・光熱費の取り扱い)
- セキュリティに関するルール
- 会社による業務確認・指示の方法

形式:
- 第1条から条文番号を振る
- 各条に見出しを付ける
- 「会社は〜する」「従業員は〜しなければならない」の文体で統一する

ステップ3:構成を確認して加筆・修正する

AIが出力した初稿を読んで、次の点を確認する。

  • 自社の実態に合わない条文がないか(例:費用負担の金額が設定されていない場合はブランクにしておく)
  • 既存の就業規則と矛盾する箇所がないか
  • 会社として明確にしたい事項が漏れていないか

具体的な金額・申請書類名・決裁者の職名などは、AIの出力に「○○」や「◇◇」のプレースホルダーが入ることが多い。この段階で実際の情報に差し替える。

ステップ4:専門家に法的整合性を確認してもらう

労働基準法・育児介護休業法・個人情報保護法などに関係する規程は、社会保険労務士や弁護士に確認を依頼する。AIの出力は法令の最新改正を反映していない場合があるため、法的リスクが伴う規程でこのステップを省くことは推奨しない。


規程の種類別プロンプト例

ハラスメント防止規程

ハラスメント防止規程は、雇用機会均等法・育児介護休業法に基づく事業主の措置義務として整備が求められている。AIで構成を作り、専門家と内容を詰めるという進め方が現実的だ。

以下の条件で【ハラスメント防止規程】の初稿を作成してください。

対象:全従業員(パートタイム・契約社員を含む)
盛り込む事項:
- ハラスメントの定義(パワハラ・セクハラ・マタハラ)
- 禁止行為の具体例
- 相談窓口の設置と相談手続き
- 調査・対応プロセス
- 行為者への懲戒
- 相談者・被害者へのプライバシー保護
- 報復行為の禁止

形式:第1条から条文番号を振り、各条に見出しを付ける

情報セキュリティポリシー

社員のリモートワーク増加や外部委託の拡大に伴い、情報セキュリティポリシーの整備が急務になっている会社は多い。AIで骨格を作り、実際のシステム環境に合わせて修正するやり方が効率的だ。

以下の条件で【情報セキュリティポリシー】の初稿を作成してください。

対象:全従業員および外部委託先
盛り込む事項:
- 情報資産の分類(機密情報・社外秘・一般情報)
- 機密情報の取り扱い・保管・廃棄
- パスワード管理ルール
- 社外での情報端末・書類の取り扱い
- インシデント発生時の報告手順
- 違反した場合の取り扱い

形式:条文形式ではなく「1. 目的 2. 適用範囲 3. 定義 4. 基本方針 5. 禁止行為」のような項目立て構成で

うまくいかない場合の対処

問題1:条文が長くなりすぎて読みにくい

プロンプトに「各条は3〜5行以内に収める」「簡潔に書く」と分量の上限を指定する。条文が長くなる原因はAIが例外事項を全て書き込もうとするためで、「詳細な例外は別の細則で定める前提で骨格だけを書く」と指示すると締まった条文になる。

問題2:自社の実態と乖離した内容が出てくる

AIは一般的な企業を想定した内容を出力する。プロンプトに「当社は社員数50名の製造業」「フルリモートは現時点では認めない方針」のように自社の状況を具体的に伝えると、実態に近い内容になる。

問題3:条番号が途中でずれる

長い規程を生成すると条番号が重複したりスキップしたりすることがある。出力後に条番号だけを連番で振り直す作業は人間が担当する、と割り切るのが現実的だ。


改定作業でのAI活用

既存規程の改定では、現行のテキストをAIに貼り付けて改定指示を出す方法が使える。

以下は現行の【育児・介護休業規程】の抜粋です。
2025年の育児休業法改正に対応するため、「第○条 育児休業の取得」の内容を最新の法律に沿って修正案を提示してください。
修正箇所と理由も簡潔に説明してください。

【現行規程テキスト】
(ここに貼り付け)

ただし法令改正の内容についてはAIの知識が最新でない場合があるため、厚生労働省の公式サイトや専門家の見解で必ず裏取りをする。


関連記事

よくある質問

AIが作成した社内規程をそのまま運用できますか?

そのままの運用は推奨しません。労働基準法・育児介護休業法などの法令との整合性は専門家(社会保険労務士・弁護士)に確認してもらうことが不可欠です。AIは初稿や構成案の作成に使い、最終確認は専門家に委ねてください。

どのような社内規程の作成にAIが向いていますか?

テレワーク規程・情報セキュリティポリシー・慶弔見舞規程・社内ハラスメント防止規程など、法令の定めが比較的少なく会社の方針を反映しやすい規程はAIで初稿を作りやすいです。就業規則のように法定記載事項が多い規程は、AIの出力をたたき台にしつつ専門家との確認が必要です。

AIに社内の機密情報を入力して規程を作らせても問題ないですか?

社員の個人情報や経営上の機密情報は含めないことが原則です。規程の骨格・項目構成・文体の作成にのみAIを使い、個別の情報は後から担当者が追記する運用が安全です。

既存の規程をAIで改定することはできますか?

既存の規程テキストをAIに貼り付けて「△△の箇所を法改正に合わせて修正して」と指示する方法で改定案を作れます。ただし改定後も法令との整合性確認は専門家に依頼してください。