情報システムの資料・スライドをAIで仕上げる方法
この記事の要点
情報システム担当者がAIを使って説明資料やプレゼンスライドを効率よく仕上げる手順を解説。IT委員会・経営報告・ベンダー評価など職種固有のプロンプト例つきで、資料作成を半分以下の時間で完成させる方法をまとめた。
IT委員会への報告資料・経営層へのセキュリティ説明資料・新システム導入のベンダー比較資料——情報システム担当者が作る資料は技術的な正確さと見やすさを両立しなければならない。PowerPointを1から作ると半日以上かかることも多い。AIに構成とコンテンツを生成させ、転記と微調整だけに集中することで、作業時間を半分以下にできる。
結論
AIは「スライド構成の設計」「各スライドのタイトル・本文の文章化」「図解の指示出し」を担える。事実確認と最終的な見た目の調整は人間が行うが、コンテンツ生成の部分を任せることで半日かかっていた資料作成が2〜3時間で完成する。
どのAIツールを使うか
**ChatGPT(GPT-4o)**はスライド構成の設計と各スライドの文章生成が得意だ。箇条書き・見出し・本文を指定した形式で出力させ、PowerPointに転記する使い方が現実的だ。
Claudeは「前提条件が多い複雑な資料」に向いている。「予算〇円以内・期間〇ヶ月・対象は経営層・技術用語は使わない」のような複数の制約を一度に処理する精度が高い。
Microsoft Copilot for Microsoft 365はPowerPointに直接テキストを生成する機能がある。Microsoft 365を使っていれば追加ツールなしで使える。最新機能と利用条件は公式で確認してほしい。
資料・スライドをAIで作成する手順
ステップ1:資料の目的と読み手を明確にする
AIへのインプット前に、自分で次の2点を決める。
- 目的:承認を得る資料か、情報共有か、意思決定の選択肢を示す資料か
- 読み手:経営層か、IT委員会か、他部門の管理職か、現場担当者か
読み手によって技術用語の使用量・コスト説明の深さ・結論の提示方法が変わる。この2点をプロンプトに明記することが出力の質を左右する。
ステップ2:スライド構成を生成する
以下の条件でプレゼンテーション資料の構成(スライド一覧)を作成してください。
条件:
- 読み手:IT委員会メンバー(経営層+各部門責任者)
- 目的:ネットワーク機器の全面刷新への承認を得る
- 全体スライド枚数:10〜12枚
- 各スライドにタイトルと本文の要点(1〜3点)を出力する
- 最初のスライドをサマリーにし、「なぜ今・何をするか・いくらかかるか・いつ完了するか」を1枚で示す構成
提案内容の骨子:
- 現状:コアスイッチが[XX年]経過で保守サポート終了、障害リスクが高まっている
- 対策:コアスイッチ・アクセススイッチの全面刷新([XX]台)
- 効果:障害リスクの大幅低減、通信速度の向上
- 予算:[XX万円](機器代+工事費)
- スケジュール:[XX]ヶ月で移行完了
ステップ3:各スライドの本文を生成する
構成が確定したら、重要なスライドから順に本文を生成する。
上記の構成の「スライド3:現状のネットワーク環境と問題点」の本文を作成してください。
条件:
- 箇条書き3〜4点で現状の問題を示す
- 各点は「事実(現状)」→「影響(業務への影響)」の形で書く
- 技術用語は最小限にし、業務影響を中心に書く
- 1スライドに載せられる量(各点20〜40字程度)にする
- 数値は[XX]のプレースホルダで示す
「事実→影響」の形で箇条書きにすることで、技術的な問題が経営層にも伝わりやすくなる。
ステップ4:図解・グラフの指示を出力させる
AIはPowerPointの図そのものは作れないが、どんな図を作れば伝わるかを指示することはできる。
以下のスライドに入れると効果的な図解を、説明してください。
スライド内容:「ネットワーク構成変更前後の比較」
目的:変更によって何が変わるかを視覚的に示す
条件:
- 「変更前」と「変更後」を左右に並べた図の構成を提案する
- 各図に入れるべき要素(機器名・接続関係・冗長化の有無)を箇条書きで示す
- PowerPointの図形で作れる範囲の複雑さにする
AIの出力を元にPowerPointのSmartArtや図形ツールで図を作ると、ゼロから考えるより格段に速い。
ステップ5:事実確認と仕上げ
生成されたスライドで確認するのは以下の4点だ。
- 数値(費用・台数・年数・期間)が社内データと合っているか
- 機器名・製品名・ベンダー名が正確か
- スケジュールが実現可能か
- 意思決定に必要な情報が漏れていないか
特にサマリースライドの「費用・効果・スケジュール」の数値誤りは承認プロセスで問題になる。最優先で確認する。
情報システム固有の活用シーン
シーン1:IT委員会向け月次運用報告資料
月次のIT委員会への報告資料は毎月必要で、フォーマットが決まっているのに毎回一から作る必要がある。
以下の情報をもとに、IT委員会向け月次運用報告資料の各スライドの本文を作成してください。
条件:
- スライド構成:①前月の主な出来事 ②ヘルプデスク問い合わせ件数と傾向 ③障害・インシデント概要 ④今月の作業予定 ⑤懸案事項・課題
- 各スライド箇条書き3〜5点
- 数値は[XX]のプレースホルダで示す
- 「問題なし」の項目は1行で簡潔に示す
今月のデータ:
- ヘルプデスク問い合わせ:[XX]件(前月比[+XX/-XX]件)
- 主な問い合わせ内容:パスワードリセット[XX]件、VPN不具合[XX]件、機器トラブル[XX]件
- 障害:[XX月XX日]にファイルサーバ障害発生、[XX時間]で復旧
- 今月の予定:[作業内容]
- 懸案事項:[懸案内容]
このプロンプトに実際の数値を入れるだけで、毎月の報告資料の骨格が10分で出来上がる。
シーン2:ベンダー比較資料
複数のIT製品やサービスを比較して稟議に上げる資料は、比較軸の設定と表への整理が手間だ。
以下の比較軸と候補製品をもとに、ベンダー比較資料の比較表と評価コメントを作成してください。
条件:
- 比較表:製品名×比較軸のマトリクス形式(各セルに○/△/×か短評を入れる)
- 比較軸:機能・コスト・サポート体制・他社製品との連携・導入実績
- 評価コメント:各製品の総評を2〜3文で書く
- コストは[XX万円]のプレースホルダで示す
比較対象:
- 製品A:[特徴の骨子]
- 製品B:[特徴の骨子]
- 製品C:[特徴の骨子]
- 推奨案:[推奨する製品と理由の骨子]
比較軸を明示することで、担当者が評価したいポイントを漏らさずに整理できる。
うまくいかない場合の対処
スライドの内容が長くなりすぎる:「1スライドに載せられる箇条書きは最大4点、1点は40字以内」のように文字数と点数で制約する。
技術用語が多すぎて経営層向けにならない:「IT用語は使わない。機器やシステムは業務機能(メール・社内共有フォルダなど)で説明すること」という制約を追加する。
構成が一般的すぎて自社の状況に合わない:「自社固有の事情:〇〇〇」として制約を追加する。たとえば「ベンダー名は出さない(稟議前のため)」「スケジュールは[決算期]の関係で[XX月]完了が条件」など。
図解の説明が複雑すぎる:「PowerPointの図形ツールだけで作れる構成にすること」と明示する。Visioや高度なデザインツールが不要なレベルの構成を出させることができる。
作業時間の目安
| 資料種別 | 従来所要時間 | AI活用後の所要時間 |
|---|---|---|
| IT委員会向け月次報告(10枚) | 3〜4時間 | 1〜1.5時間 |
| 新システム導入提案(15枚) | 1〜2日 | 3〜5時間 |
| ベンダー比較資料(8枚) | 4〜6時間 | 1.5〜2時間 |
| セキュリティ説明資料(12枚) | 1〜1.5日 | 3〜4時間 |
コンテンツ生成の部分をAIに任せることで、担当者は数値確認・事実チェック・見た目の調整に集中できる。
他の業務への応用
情報システムの提案書をAIでつくる進め方で作成した提案書をスライドに変換する場合も、同じ手順が使える。提案書の各章をスライドの各セクションにマッピングするプロンプトを作ると、提案書→スライドの変換が30分以内で終わる。
情報システムの議事録をAIで自動作成する手順で整備した会議記録のデータを月次報告資料の素材として活用すると、報告資料の数値収集にかかる時間も大幅に削減できる。
導入の第一歩
次回のIT委員会報告資料を作るとき、まずスライド構成の生成だけをAIに頼んでみる。自分が考えていた構成とAIの提案を比べることで、プロンプトの修正点がわかる。2〜3回繰り返せば自社のIT委員会スタイルに合ったプロンプトが出来上がる。
よくある質問
AIはPowerPointファイルを直接作れますか?
ChatGPTやClaudeは直接PowerPointファイルを生成しませんが、スライドの構成・各スライドのタイトルと本文・図解の指示を出力するので、それをPowerPointに転記することで効率化できます。Microsoft Copilot for Microsoft 365はPowerPointに直接テキストを生成する機能があります。
情報システムのIT委員会向け資料で押さえるべき構成は何ですか?
IT委員会向け資料は一般的に「前回の議決事項の進捗」「今回の審議・報告事項」「意思決定が必要な事項」「次回予定」の構成が多いです。意思決定者が判断に必要な情報を漏らさないことが重要です。
AIで作ったスライドの内容はそのまま使えますか?
数値・機器名・スケジュールなどの事実情報は必ず人間が確認してください。AIは構成と文章の整形を担いますが、正確な数値や固有情報は社内データに基づいて補完する必要があります。