職種別AI仕事術

法務のExcel作業をAIで自動化する方法

法務のExcel作業をAIで自動化する方法

この記事の要点

法務担当者が契約管理台帳・相談ログ・期限管理表などのExcel作業をAIで効率化する手順。関数設計・マクロ作成・フォーマット整備のプロンプト例を実務レベルで解説する。

結論

法務部門のExcel作業(契約管理台帳の更新・期限アラート設定・マクロ作成)は、AIを使うことで「関数を調べながら作る」時間を大幅に削れる。AIに「この列とこの列を使って〇〇を計算したい」と伝えるだけで、使えるレベルのExcel関数・VBAコードが即座に生成される。法務特有の用途(更新期限管理・ステータス自動更新・相談ログの集計)に絞って活用することで、実務効率が上がる。


使うAIツール

**ChatGPT(GPT-4o)**はExcelファイルを直接アップロードしてコードインタープリター(Data Analysis)機能で処理できる。関数の作成だけでなく、実際にデータを処理してダウンロード可能なExcelファイルを出力できる。

ClaudeはExcelを直接操作する機能はないが、テキストで「こういう表構成でこういうことをしたい」と伝えるとExcel関数・VBAコードを生成できる。生成されたコードはそのままExcelに貼り付けて使える。

**Microsoft Copilot(Excel統合)**はExcelシート上から直接AIを呼び出せる。現在のシートに基づいた関数の提案・グラフ生成・要約が一番手軽にできる。


手順

ステップ1:Excel作業の内容を言語化する

AIに正確な関数やコードを生成させるには、以下の3点を伝える必要がある。

  1. シートの構成:列名と、データが何行目から始まるか
  2. やりたいこと:「〇列の値が今日から30日以内なら△列に”要確認”と表示したい」
  3. 出力の条件:「別シートに出力」「セルの色を変える」「並び替えて表示」など

ステップ2:Excel関数を生成するプロンプト

法務でよく使う関数のプロンプト例を示す。

更新期限アラートの関数

Excelで契約管理台帳を管理しています。
以下のシート構成で、「アラートステータス」列に自動で表示を出す数式を作ってください。

【シート構成】
A列:契約番号
B列:相手方企業名
C列:契約開始日
D列:契約終了日(更新期限)
E列:自動更新の有無(「あり」または「なし」)
F列:アラートステータス(← ここに数式を入れたい)

2行目からデータが入っています。

【表示ルール】
- 今日から30日以内に終了日が来る契約:「★期限30日前」
- 今日から60日以内に終了日が来る契約:「期限60日前」
- 終了日が過ぎている契約:「期限切れ」
- 上記以外:空欄

F2セルに入れる数式を教えてください。

相談ログの集計関数

Excelで法務相談ログを管理しています。
以下の構成で部署別・種別の集計をする数式を教えてください。

【データシート「ログ」の構成】
A列:受付日
B列:相談部署
C列:相談種別(契約書レビュー/契約書作成/法的リスク確認/その他)
D列:対応ステータス(完了/対応中/保留)
E列:対応日数

【集計シート「集計」で作りたいもの】
- B2に部署名を入力すると、C2にその部署の相談件数が出る数式
- D2にその部署の平均対応日数が出る数式
- E2にその部署の完了件数が出る数式

使うべき関数名と、各セルに入れるべき式を教えてください。

ステップ3:VBAマクロを生成するプロンプト

繰り返し作業はVBAマクロで自動化できる。

期限が近い契約を別シートに抽出するマクロ

ExcelのVBAコードを作ってください。

【処理内容】
「契約台帳」シートのデータから、D列(契約終了日)が今日から60日以内の行を
「要確認リスト」シートに自動で転記するマクロを作ってください。

【前提】
- 「契約台帳」シートの1行目はヘッダー(契約番号/相手方/開始日/終了日/担当部署/備考)
- データは2行目から始まる
- 転記先の「要確認リスト」シートは毎回実行するたびに一旦クリアしてから転記する
- 転記する列は:契約番号・相手方・終了日・担当部署・備考の5列

エラー処理も含めて、初心者でも理解できるようにコメントを日本語で入れてください。

月次相談レポートを自動生成するマクロ

ExcelのVBAで月次レポート自動生成マクロを作ってください。

【処理内容】
1. 「相談ログ」シートから当月分(A列の受付日が今月のもの)のデータを抽出
2. 部署別の件数・完了率・平均対応日数を「月次レポート」シートに出力
3. 「月次レポート」シートの既存データをクリアしてから新しいデータを書き込む
4. 最後に「○月分のレポートを作成しました(○件)」というメッセージを表示する

【列構成(相談ログ)】
A列:受付日, B列:部署, C列:種別, D列:ステータス, E列:担当, F列:完了日

出力のフォーマットは自由に設定してください。

ステップ4:生成されたコードをExcelに貼り付ける

VBAコードの場合は以下の手順で貼り付ける。

  1. ExcelでAlt+F11を押してVBAエディタを開く
  2. 左側のツリーから「ThisWorkbook」または任意のモジュールを選択
  3. 右クリック→「標準モジュールの挿入」
  4. AIが生成したコードを貼り付け
  5. F5キーまたはツールバーの実行ボタンでマクロを実行

具体的な活用事例

事例1:契約管理台帳の更新管理自動化

年間400件以上の契約を管理しているが、更新期限のチェックを毎月手作業でやっていた。担当者が休むと見落としが発生していた。

AIに以下のプロンプトでVBAマクロを生成させた。

契約管理台帳の更新期限チェックを自動化するExcelマクロを作ってください。

【やりたいこと】
月に1回、担当者がマクロを実行すると以下の処理が走る:
1. 契約台帳から今後90日以内に更新期限が来る契約を抽出
2. 「要確認リスト」シートに以下の情報をまとめて出力する
   - 契約番号、相手方企業名、契約種別、終了日、担当部署、自動更新有無
3. 終了日まで30日以内の行はセルの背景色を赤にする
4. 31日〜60日以内は黄色にする
5. 処理完了後に「○件の要確認案件が見つかりました」とダイアログを表示する

台帳の1行目はヘッダー(A:契約番号 B:相手方 C:種別 D:終了日 E:担当部署 F:自動更新)
データは2行目から始まります。

マクロが完成するまで15分かからず(以前は自力で1〜2時間)、担当者不在時のリスクがなくなった。

事例2:法務相談申請フォームの入力チェック機能追加

部署から提出される法務相談申請フォーム(Excel)に、入力漏れ防止の自動チェックを追加したかった。

ExcelのVBAで入力チェックマクロを作ってください。

【チェック項目】
フォームには以下の入力必須セルがあります:
B3(申請部署)、B5(申請者名)、B7(相談種別ドロップダウン)、
B9(相談内容テキストボックス)、B11(希望対応期限)

「申請する」ボタンを押したときに:
1. 上記5セルが全て入力されているか確認する
2. 未入力のセルがある場合は「○○が未入力です」と項目名を列挙してメッセージを表示する
3. 全て入力済みの場合は「申請を受け付けました」と表示して完了する

エラーメッセージは分かりやすく日本語で書いてください。

うまくいかない場合

生成されたVBAコードでエラーが出る

対処:エラーメッセージを全文コピーして「以下のエラーが出ました。どこが間違っていますか?」とAIに貼り付ける。エラーコード(例:「実行時エラー’1004’」)があれば一緒に伝えると診断が速い。

関数の結果が想定と違う

対処:「サンプルのデータで試したところ、D2に○○と入れると○○と表示されましたが、正しくは○○になるはずです。どこが問題ですか?」のように具体的な入力値と期待する出力値を示して確認する。

マクロの実行が遅い

大量データ処理のマクロは遅くなることがある。対処:「処理速度を上げるために最適化してください。Application.ScreenUpdatingとApplication.Calculationの設定も含めてください」と追加依頼する。


法務Excel作業でAIを使う際の原則

AIが生成したExcel関数やマクロは、本番データに適用する前に必ずサンプルデータでテストする。特にVBAマクロはデータを上書き・削除する操作が含まれることがあるため、最初の実行前にファイルのバックアップをとる習慣をつける。

また、外部AIサービスにExcelファイルをアップロードする際は、機密情報(企業名・金額・個人情報)が含まれないか確認する。分析内容をAIに伝えるだけなら、実際のデータを投入せず「A列が企業名、B列が金額、C列が日付の構成で」と構造だけ伝える方法も使える。


まとめ

法務のExcel作業でAIを使う効果が最も出るのは、「繰り返し発生するが複雑な関数やマクロが必要な作業」だ。更新期限アラート・相談ログの集計・月次レポートの自動生成といった作業は、AIにシート構成と処理内容を正確に伝えることで、数分でコードが完成する。生成後のテストとバックアップを習慣化することで、法務部門のExcel作業全体の効率が上がる。

関連記事:法務のデータ集計・分析をAIで行う手順法務の情報リサーチをAIで効率化する方法法務が長い資料をAIで要約するコツ

よくある質問

法務担当者がExcel作業でAIを使う場合、どんな作業に向いていますか?

契約管理台帳の関数設計(期限アラートの自動計算、ステータスの自動更新)、繰り返し発生するフォーマット作業(件名の統一、データの並び替えルール)、VBAマクロの自動生成(定期レポートの自動作成)などが特に効果的です。

AIに作ってもらったExcel関数が動かない場合はどうすればよいですか?

エラーメッセージをそのままAIに貼り付け、「このエラーが出ています。どこが間違っていますか?」と聞くのが最も速い解決方法です。AIは自分が生成した関数のデバッグが得意です。

VBAマクロをAIに作ってもらうとき、どんな情報を伝えればよいですか?

シートの構成(列名と何行目からデータが始まるか)、何をしたいか(「A列の企業名が重複している行を削除したい」など)、出力の形式(別シートに出力するか、元のシートを上書きするか)を伝えると正確なコードが生成されます。

法務のExcelデータをAIに渡す際のリスクは?

契約先の企業名・個人名・金額が含まれる場合は機密情報です。外部のAIサービスに渡す前に社内ポリシーの確認が必要です。仮名化(A社・B社など)してから投入することで多くのExcel作業は問題なく対応できます。