職種別AI仕事術

法務の議事録をAIで自動作成する手順

法務の議事録をAIで自動作成する手順

この記事の要点

法務担当者がAIを使って契約交渉・法務会議・社内相談の議事録を効率化する方法を解説。音声テキスト化から議事録フォーマット整理まで手順とプロンプト例を紹介します。

結論

法務担当者が扱う会議の議事録は、契約交渉の合意事項・法的判断の根拠・宿題の期日など、後から参照することが多い重要情報を含みます。AIを使えば、会議の音声テキストや手書きメモを渡すだけで、議事録の骨格を数分で作ることができます。

整理と清書に30〜60分かかっていた作業が、確認・修正込みで10〜15分程度になります。ただし合意事項・数値・期日は必ず担当者が原文と照合して確認してください。


使うAIツール

法務議事録の作成に向いているツールとその組み合わせは以下のとおりです。

ツール役割特徴
Notta / Otter.ai音声→テキスト変換日本語対応の文字起こしサービス
Microsoft Teams(文字起こし機能)音声→テキスト変換Teams会議と統合されている
Claude(claude.ai)テキスト→議事録整形長文の要約・構造化が安定
ChatGPT(GPT-4o)テキスト→議事録整形汎用性が高い

音声をテキストに変換するツールとAIを組み合わせるのが基本の流れです。テキスト変換ツールが利用できない場合は、会議中の手書きメモをそのままAIに渡すことも可能です。


手順:法務議事録をAIで作成する

ステップ1 会議音声をテキスト化する

音声テキスト変換ツールを使って会議の録音を書き起こします。Microsoft TeamsやZoomの字幕・文字起こし機能を有効にしている場合は、会議後にテキストファイルをエクスポートできます。

テキスト化の際、法律用語や社名の固有名詞が誤変換されることがあります。書き起こしのテキストをAIに渡す前に、明らかな誤変換がないかざっと確認します。

ステップ2 AIに議事録の整形を依頼する

文字起こしテキストをAIに渡して、議事録形式に整形させます。

以下の会議の文字起こしテキストを、法務部門の議事録フォーマットに整形してください。

【会議情報】
- 会議名:〇〇株式会社との業務委託契約 第2回交渉
- 日時:2026年6月5日(金)14:00〜15:30
- 参加者:(当社)法務部 田中、営業部 鈴木 / (相手方)〇〇株式会社 法務部 山田、営業部 佐藤
- 場所:当社会議室A

【文字起こしテキスト】
(ここに文字起こしテキストを貼り付ける)

【整形の要件】
1. 議事録は以下の構成にすること
   - 会議の目的
   - 協議内容の要点(箇条書き)
   - 合意事項(明示的に合意されたもののみ記載)
   - 宿題・確認事項(担当者と期日を含む)
   - 次回会議の予定(あれば)
2. 法的な合意・判断については、文字起こしの内容を超えた解釈を加えないこと
3. 発言者の氏名は「田中(当社)」「山田(相手方)」の形式で記載すること

ステップ3 出力を確認・修正する

AIが作成した議事録を次の順で確認します。

  1. 合意事項が文字起こしの内容と一致しているか照合する
  2. 数値・期日・条項番号が正確に記載されているか確認する
  3. 「合意した」と書かれている内容が実際に合意されたものかどうかを確認する
  4. 宿題事項の担当者と期日が正確か確認する

確認後、関係者に送付して内容の確認を依頼します。


法務固有の活用例

活用例1:契約交渉議事録の作成

契約交渉の会議では、何について合意し、何について継続協議となったかが特に重要です。AIに整形を依頼する際は、「合意事項と未解決事項を明確に区別すること」を指示します。

以下の契約交渉会議の文字起こしを整理して、議事録を作成してください。

【会議情報】
- 会議名:NDA締結交渉(第1回)
- 日時:2026年6月5日 10:00〜11:00
- 参加者:当社 法務部 鈴木 / 相手方 法務部 田中

【文字起こし】
(テキストを貼り付ける)

【作成要件】
- 合意事項(今回の会議で双方が同意した内容)と継続協議事項(結論が出ていない内容)を必ず区別して記載すること
- 法的な解釈や意見は「〇〇との提案があった」「〇〇という懸念が示された」など発言に基づいた表現で記載すること
- 断定的な法的判断の表現はAI側で加えないこと
- 合意事項は太字で強調すること
- 宿題事項には担当者名と回答期限を必ず記載すること

「合意」と「提案」の区別をAIが混同しないよう、指示で明示しておくことが重要です。

活用例2:社内法務相談の議事録

部門から持ち込まれた法律相談の対話メモを、後から参照しやすい形式に整理するときにもAIが役立ちます。

以下の社内法律相談の対話メモを、法務部の相談記録フォーマットに整形してください。

【相談情報】
- 相談日:2026年6月4日
- 相談者:人事部 佐藤(主任)
- 担当法務:鈴木
- 相談内容の大分類:雇用・労働法関連

【対話メモ(箇条書き)】
- 副業禁止規定の解釈について質問
- 副業が就業規則に違反するかどうか確認したい
- 対象の従業員が業務時間外に個人でアプリ開発をしている
- 現行規定では「業務に支障をきたす場合」の副業を禁止している
- 業務への影響は現時点で確認されていない

【作成要件】
- 相談概要・法務部の見解・今後の対応方針の3構成で作成する
- 法務部の見解はAIが作成した内容であり、担当者が確認・修正することを前提とした草稿として作成する
- 現行就業規則の条文内容は(確認中)として空欄にしておくこと

相談記録は後で参照されることが多い文書です。作成した記録を法務担当者が確認し、最終版として保存します。


うまくいかない場合の対処

問題1:合意事項と未解決事項が混在している

AIが合意と提案を区別せずに「合意事項」として記載することがあります。

対処:プロンプトに「合意事項は双方が明示的に同意した内容のみ記載し、提案・確認中のものは継続協議事項として別に記載してください」と明示します。会議の文字起こし中で合意が明示されていない場合は、AIに判断させず「(要確認)」とするよう指示することも効果的です。

問題2:専門用語や固有名詞が誤変換されたまま使われる

文字起こしの誤変換をAIがそのまま使うことがあります。

対処:文字起こしテキストをAIに渡す前に、会社名・条項名・担当者名などの重要な固有名詞を確認します。または「以下の用語・名称は正確に使ってください」として正式名称を列挙してからテキストを渡します。

問題3:議事録が長すぎて実用的でない

詳細な文字起こしから作成すると、議事録が長くなりすぎることがあります。

対処:「議事録全体を2ページ(A4サイズ)以内に収めてください」「各項目は3行以内にしてください」のように分量制約を入れます。宿題事項のみ抽出するなど、用途に応じてAIへの指示を分けることも有効です。

問題4:機密情報を含む会議でのツール選択

対処:外部ツールへの入力が制限されている場合、社内に閉じたAIシステムや社内承認済みのビジネスプランツールのみを使うようにします。機密情報の範囲については、所属する組織の情報セキュリティポリシーを確認してください。


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法務の他の業務でのAI活用については以下の記事も参考にしてください。

よくある質問

法務の議事録作成にAIを使うとどれくらい時短できますか?

1時間の会議の議事録を手書きする場合、整理と清書に30〜60分かかることがあります。AIに文字起こしを渡して整理させると、確認・修正込みで10〜15分程度で完成するケースが多いです。

契約交渉の議事録をAIに作らせる場合、秘密保持の観点での注意点は何ですか?

契約交渉の内容は機密性が高い情報を含みます。AIツールのビジネスプランで学習データへの使用が除外されていることを確認してから使用してください。社内で承認されたツール以外には機密情報を入力しないことが前提です。

文字起こしが不正確な場合でも議事録は作れますか?

文字起こしの精度が低い場合(専門用語の誤変換など)は、AIが誤った情報で議事録を作成する可能性があります。法的に重要な内容(合意事項・数値・期日)については、文字起こし後に担当者が必ず原文と照合して確認することが必要です。

法的な合意事項を含む議事録の確認はどうすればよいですか?

AIが作成した議事録のうち、合意事項・宿題事項・期日については、出席者全員が内容を確認できるよう関係者に送付して確認を取る運用が一般的です。特に契約交渉の合意事項は、双方の署名入りの議事録として残すかどうか事前に合意しておくことが必要です。