職種別AI仕事術

マーケティングのアンケート設問をAIで作る方法

マーケティングのアンケート設問をAIで作る方法

この記事の要点

AIを使えばマーケティング調査用のアンケート設問を30分以内で設計できる。顧客満足度・ニーズ調査・広告効果測定など目的別のプロンプトと設問設計の手順を解説する。

結論

アンケート設問の設計でAIを使うと、設問の抜け漏れと回答バイアスの両方を事前に減らせる。人間だけで設計すると「自分たちが聞きたいこと」に偏りがちだが、AIに目的と対象者を渡すと「回答者が実際に感じる疑問や選択肢」まで幅広く提案してくれる。

マーケターがアンケートを作る場面は多い。購入後の顧客満足度調査、新製品へのニーズ調査、広告認知度の測定、イベント後のフィードバック収集、既存顧客の解約理由調査など。どの場面でも「何を聞けば意思決定に使えるか」が重要で、AIはその設計を加速する。


使うAIツール

アンケート設問の生成には、構造化されたリストを出力できるツールが向く。

ChatGPT(GPT-4o):設問と選択肢をセットで出力しやすい。「番号付きリストで、各設問に選択肢を付けて」という指示通りの形式で整理してくれる。

Claude(Anthropic):調査の背景・仮説・分析方法まで含めた複雑な要件を渡しても整理しやすい。「この調査で検証したい仮説は〇〇です」と渡すと、仮説に対応した設問設計になる。

Gemini(Google):Google フォームとの連携を意識した使い方ができる。作成した設問をそのままGoogle フォームに流し込む作業と組み合わせるとスムーズ。


手順

ステップ1:調査目的と意思決定に使う問いを決める

アンケートを作る前に「この調査の結果で何を決めるか」を一文で書く。この一文がプロンプトの核になる。

例:

  • 新機能の優先順位を決める(ユーザーニーズ調査)
  • 次期キャンペーンのメッセージを決める(認知・態度調査)
  • サービス改善の方向を決める(顧客満足度調査)
  • 解約原因を特定して施策を打つ(解約理由調査)

調査目的があいまいな状態でAIに設問を出させても、使える設問にならない。


ステップ2:回答者プロフィールを伝える

アンケートの設問は、誰が答えるかによって言葉・難易度・選択肢が変わる。回答者の属性をプロンプトに入れる。

例:

  • 「20〜40代の会社員、サービス購入経験あり」
  • 「初めてサービスを知った見込み客、IT知識は一般的」
  • 「3年以上の既存顧客、業務でヘビーユース」

属性が変わると同じ質問でも言い回しと選択肢が変わるため、これをプロンプトに入れるだけで出力の質が上がる。


ステップ3:AIに設問を出させる

プロンプト例(新製品ニーズ調査):

以下の条件でアンケートの設問を設計してください。

【調査目的】
新しいマーケティングオートメーションツールの機能優先順位を決める

【回答者】
マーケティング担当者・20〜40代・中小企業勤務・現在は手作業または既存ツールを使用

【出力条件】
- 設問数:10〜12問
- 形式の内訳:単一選択3問、複数選択3問、5段階評価2問、自由記述2問
- 誘導的な表現は使わない
- 選択肢は各設問に4〜6つ付ける
- 回答時間が5分以内に収まる量にする
- 番号付きリストで出力する

【禁止事項】
業界用語を多用しない・「非常に」「とても」などの強調語を選択肢に使わない

ステップ4:バイアスチェックをする

出力された設問を人間がチェックする工程を省かない。確認すべきポイント:

  • 誘導質問になっていないか:「弊社の〇〇は役に立ちましたか?」のような肯定的な答えを誘導する設問
  • 二重質問になっていないか:「使いやすさと機能の豊富さはどうでしたか?」のように2つの質問が1問になっている設問
  • 選択肢に漏れがないか:「その他(自由記述)」が必要な場面に入っているか
  • 尺度の対称性:5段階評価の選択肢が「非常に満足・満足・普通・不満・非常に不満」のように対称になっているか

AIに追加でバイアスチェックを依頼することもできる:

以下の設問リストをバイアスの観点でチェックして、問題のある設問と改善案を指摘してください。
誘導的な表現・二重質問・非対称な選択肢に注目してください。

(設問リストを貼り付け)

具体的な活用場面1:購入後の顧客満足度調査

EC・サブスクリプション・B2Bサービスを問わず、購入・契約後の満足度調査はマーケターが定期的に設計する。「満足度スコア・満足した理由・不満点・継続意向・紹介意向」という構成が定番だが、サービスの特性に合わせた設問追加が必要になる。

この場面では、サービスの特徴と解決したい課題をAIに渡す。「顧客が離脱しやすいタッチポイントを特定したい」「NPS向上のための施策に使う」のように分析の方向を伝えると、それに対応した設問が出やすくなる。

プロンプト例:

以下のサービスの購入後満足度調査の設問を設計してください。

【サービス概要】
BtoBのマーケティング支援SaaS・月額契約・主な機能はメール配信・LP制作・データ分析

【調査で特定したいこと】
・NPS(推奨度)の測定
・機能ごとの満足度(どの機能が評価されているか)
・解約を検討したことがあるか、その理由

【回答者】
契約後3ヶ月以上の担当者
設問数:8〜10問
回答時間:3〜5分

具体的な活用場面2:キャンペーン後の広告認知・態度調査

SNS広告やテレビCMなどのキャンペーン施策が終わった後、広告の認知率・理解度・購買意向への影響を測定する調査が必要になる場面がある。

この用途では「広告接触者と非接触者を分けて集計できる設問設計」が重要になる。最初に「このキャンペーンの広告を見たことがありますか」というスクリーニング設問を入れ、接触者・非接触者でその後の設問ルートを変える構造にする。

プロンプト例:

以下のキャンペーンの広告効果測定アンケートを設計してください。

【キャンペーン概要】
新製品〇〇の認知拡大キャンペーン・SNS広告(Instagram・X)・期間:〇月〇日〜〇月〇日

【測定したいこと】
・広告認知率(スクリーニング)
・広告の記憶・印象
・製品への興味・購買意向の変化
・競合との比較認識

【出力条件】
・スクリーニング設問を最初に1問
・接触者向け:7〜8問
・非接触者向け:3〜4問(製品認知のみ)
・各設問に回答形式(単一/複数/5段階)を明記する

うまくいかない場合のポイント

設問数が多すぎる場合:「回答時間を5分以内に収めて」と制約を入れる。設問数の上限より時間の上限で指定した方が実態に合う出力になる。

自由記述が多すぎる場合:「自由記述は最後の1問だけ」と明示する。自由記述が多いとアンケートの離脱率が上がる傾向がある。

選択肢が曖昧で集計に使えない場合:「選択肢は数値や具体的な行動で表現して」と指示する。「まあまあ」「少し」など曖昧な選択肢ではなく、「週1回以上」「月1〜3回」「ほとんど使わない」のような定量的な選択肢にさせる。

業界固有の選択肢が抜ける場合:業界・サービスの特徴をプロンプトに詳しく書く。AIは一般論として選択肢を作るため、自社サービス固有の選択肢は人間が追加する必要がある。


他のマーケティング業務へのリンク

アンケート設計と関連する業務もAIで効率化できる。

よくある質問

AIが作ったアンケートはバイアスが入りませんか?

入る可能性がある。「はい・いいえ」しか選べない誘導的な設問や、回答者が肯定的に答えやすい表現をAIが出すことがある。プロンプトで「誘導的な表現を避けて」「中立的な言い回しで」と明示し、出力後に人間がバイアスチェックをする工程が必要。

回答形式(単一選択・複数選択・自由記述など)はAIに指定できますか?

指定できる。プロンプトに「選択肢付きの単一回答」「5段階評価」「自由記述」など形式を明示すると対応した設問を出力してくれる。回答データを数値集計したい設問は選択式、深い理由を聞きたい設問は自由記述という使い分けをプロンプトで渡すと効率がよい。

Google フォームやSurveyMonkeyにそのまま貼り付けられますか?

テキストはそのまま貼り付けられる。ただし選択肢の入力・設問ロジック(条件分岐)の設定は各ツールの画面上で行う必要がある。AIに「Google フォームで使う前提で設問を出力して」と頼むと、コピーしやすい形式で出力してくれる。

既存アンケートの改善にも使えますか?

使える。既存の設問一覧を貼り付けて「以下のアンケートの問題点を指摘して改善案を出して」と頼むと、誘導的な表現・回答負荷が高い設問・目的に合わない設問などを指摘してくれる。全部作り直すより効率的な場合が多い。