職種別AI仕事術

経営企画のFAQをAIで作る方法

経営企画のFAQをAIで作る方法

この記事の要点

経営企画の社内説明会・役員向け資料・社内制度のFAQをAIで作成する方法を解説。質問の洗い出しから回答の構造化まで、実践的なプロンプト例付きで紹介する。

結論:質問の洗い出しと回答の構造化をAIで加速できる

経営企画が社員向けの説明会や取締役会向けの資料を準備するとき、想定される質問への回答をまとめたFAQを作ることがある。役員への説明準備・新制度の社内浸透・予算説明会前の整理など、FAQが必要になる場面は多い。

この作業でボトルネックになるのは「どんな質問が出るか」の洗い出しと「回答をどう整理するか」の構造化だ。AIを使えば、どちらも数分で叩き台を作れる。担当者がやることは「不足している質問を追加する」「回答の正確性を確認する」の2点に絞られる。


使うAIツール

FAQ作成に向いているのは、多様な質問パターンを生成でき、かつ構造化された出力が得意なモデルだ。

  • Claude 3.5 Sonnet:質問の網羅性と回答の簡潔さのバランスが良い。「懸念を持つ人の視点」を指示すると批判的な質問も含めてくれる
  • GPT-4o:質問リストの量が多く欲しい場合に向いている。「30問出してください」という指定が通りやすい
  • Gemini 1.5 Pro:既存の社内文書を読み込ませてFAQを生成させるユースケースでGoogleドライブとの連携が便利

手順:ステップ別に解説

ステップ1:質問の洗い出しをAIに依頼する

FAQ作成の最初の壁は「どんな質問が出るか全部思いつかない」という状態だ。作成者は資料の内容を熟知しているため、初歩的な疑問や懐疑的な質問を見落としやすい。

AIに質問のリストアップを依頼するときは、読み手の属性と質問のレベルを指定する。

以下の内容について、社内説明会で想定される質問を20個考えてください。

説明内容:2027年度の人員計画について、経営企画部門から全社に向けて説明する
聴衆:各部門の部長・課長クラス(経営数値の詳細は知らない)
説明内容の概要:(ここに説明資料の概要や箇条書きを貼り付け)

質問は次の3カテゴリに分類してください:
1. 内容への理解不足から来る質問
2. 自部門への影響を心配する質問
3. 計画の妥当性や根拠への懐疑

各質問に「重要度(高/中/低)」を付けてください。

ステップ2:優先度の高い質問への回答案を作らせる

質問リストができたら、重要度「高」の質問から回答案を作らせる。全部の質問に一度に回答させようとすると品質が下がることがあるため、まず重要な10問程度に絞る。

以下の質問に対する回答案を作ってください。

条件:
- 回答は1問あたり100字以内(読みやすく簡潔に)
- 断定できない内容は「〜を予定しています」「〜については検討中です」と表現する
- 回答で使える情報:(ここに関連データや決定事項を箇条書きで貼り付け)

質問リスト:
(ここに質問を貼り付け)

ステップ3:回答の正確性を確認して修正する

AIが出した回答は叩き台だ。特に以下の点を必ず確認する。

  • 数値が正確か(予算額・人員数・スケジュールなど)
  • 確定していない事項を確定したように書いていないか
  • 社内規程・法令に関わる回答で誤りがないか

人事制度・法令・財務数値に関わる回答は、担当部署や顧問弁護士・税理士に確認してから使う。

ステップ4:FAQ全体の構成を整える

個別の回答が揃ったら、FAQ全体を読みやすい順に並べ替える。

以下のFAQを読み手が最初に持つ疑問から順番に並べ替えてください。

並び替えの基準:
1. 全体像に関わる基礎的な質問を最初に
2. 各部門への具体的な影響を次に
3. 今後のプロセス・スケジュールを最後に

---FAQ---
(ここに質問と回答のリストを貼り付け)

具体的な使用場面

場面1:取締役会での中計説明前に想定問答を整備する

中期経営計画の取締役会プレゼン前に、役員から出る可能性のある質問への想定問答集を作る作業がある。準備する時間が限られている中で、できるだけ多くの想定問答を用意する必要がある。

以下の中期経営計画の概要について、取締役会で出る可能性がある質問を15問考えてください。

想定される質問者:社外取締役(経営経験者・財務専門家各1名)、社内取締役5名
質問の傾向:社外取締役は財務健全性・ガバナンス、社内取締役は現場実行可能性を重視する傾向あり

中計概要:
- 対象期間:2026〜2028年度
- 重点施策:海外事業比率を現状の15%から30%へ引き上げ
- 投資規模:3年間で総額200億円
- 人員:2028年度末に海外スタッフを現状比1.5倍へ

各質問に「誰が聞きそうか(社外取締役/社内取締役)」と「答えにくい難易度(高/中/低)」を付けてください。

難易度「高」の質問から先に回答を準備することで、プレゼン前の限られた時間を効率的に使える。

場面2:予算説明会前に各部門向けのFAQを作る

年度初めや下期の予算説明会では、各部門長から「なぜ自部門の予算が増えない/減るのか」「〇〇の投資はいつ実行されるのか」といった質問が集中する。事前にFAQを用意して配布しておくと、説明会の時間を本質的な議論に使える。

以下の状況で、各部門長が説明会前に読むFAQ(10問)を作ってください。

状況:
- 全社の2027年度予算を前年比5%削減することを経営会議で決定
- 削減は全部門に一律ではなく、重点施策に関連する部門は現状維持または増額
- 削減比率が高い部門は営業・管理系(▲8〜10%)

よくある質問のパターン:
- 削減の根拠は何か
- 自部門だけが多く削減される理由は何か
- 削減したことで現場への影響はどう考えているのか

回答で使える情報:(ここに経営判断の根拠を箇条書きで記載)
回答トーン:率直に説明するが、対立を煽らない表現で

うまくいかない場合のポイント

質問が表面的すぎる

「もっと突っ込んだ質問を出してください」では改善しにくい。「説明内容に反論するような質問」「数値の根拠を問い質す質問」のように具体的な質問のタイプを指定すると、鋭い質問が出やすくなる。

回答が長くなりすぎる

1問あたりの文字数を指定していないと回答が長くなる傾向がある。「回答は3文以内」「80字以内」のように文字数や文数を明示する。役員向けなら特に簡潔さが重要になる。

同じ内容の質問が重複する

質問リストに似た内容が複数含まれることがある。「以下のリストから重複する質問を統合して最終版を作ってください」と依頼すると整理される。

回答に「確認中」「検討中」が多すぎる

AIが不確実な情報を「確認中」とした場合、実際には決定済みの情報を担当者が補完する必要がある。回答する前に「回答に使ってよい確定情報」をプロンプトに追加すると、確認中の割合が減る。


FAQ作成時の注意点

社員に配布するFAQや役員向けの想定問答は、不正確な情報が含まれていると信頼性に直結する。以下の点に注意する。

  • 数値(予算額・人員数・スケジュール)は公式の数値と照合する
  • 「〜できます」「〜します」という断定は確定事項のみ使う
  • 法令・労働契約に関わる内容は法務・人事の確認を経る
  • 配布前にFAQ全体を上位者がレビューする工程を設ける

AIが出したFAQはあくまでも草稿であり、配布前の確認工程を省略しない。


まとめ:質問の網羅性を上げてから回答の正確性を担保する

FAQの品質は「どれだけ多くの質問を想定できたか」と「回答が正確かどうか」の掛け算だ。AIは前者の網羅性を高めることに特に向いている。担当者が1人で考えていると見落としがちな質問角度(財務・ガバナンス・現場実行可能性)をカバーさせるのに使う。

回答の正確性は人が確認する必要があるが、まず叩き台を作ることで確認作業の効率も上がる。

関連する業務でAIを活用する方法は以下の記事も参照してほしい。

よくある質問

AIが作ったFAQの回答をそのまま社内で使えますか?

AIが出すFAQは叩き台として有用ですが、社内規程・数値・制度の詳細は実際のルールと照合する必要があります。特に人事・法務・財務に関わる内容は担当部署に確認してから使ってください。

FAQ作成に使うAIはどれが向いていますか?

Claude 3.5 SonnetとGPT-4oが質問の生成・回答の構造化ともに安定しています。社内チャットボットに組み込む場合はAPIを使える環境が必要です。

FAQの質問をAIに考えさせる方法は?

「〇〇の施策を社員に説明する場合、どんな質問が出るか20個考えてください。質問のレベルは理解できていない人と懸念を持つ人の両方を含めてください」と指示すると網羅的な質問リストが得られます。

FAQを更新するときにAIをどう使えばよいですか?

既存のFAQと新しい情報(制度変更・組織変更など)を両方貼り付けて、「変更点を反映してFAQを更新し、追加が必要な質問があれば追記してください」と依頼する方法が効率的です。