職種別AI仕事術

経営企画の社内メモをAIで素早く作る方法

経営企画の社内メモをAIで素早く作る方法

この記事の要点

経営企画担当が日常的に書く社内メモ(会議後の共有・意思決定の背景・課題整理など)をAIで効率化する手順。プロンプト例付きで10分以内に下書きを仕上げられる。

結論

経営企画が書く社内メモは、AIに骨子を渡すだけで下書きを10分以内に作れる。会議の終わりに3点(決定事項・背景・アクション)をメモしてAIに渡すだけで、読み手に必要な情報が整った文書になる。ゼロから書いていた30〜40分の作業が、確認と微修正の15分に変わる。


経営企画が書く社内メモの種類

経営企画の日常業務で発生するメモは大きく4種類に分かれる。

  1. 会議後の共有メモ:経営会議・部門長会議の後、欠席者や関係部門に内容を共有する。
  2. 意思決定の背景メモ:なぜその判断をしたかを記録しておく。後で「なぜそうなったのか」を問われたときの根拠資料になる。
  3. 課題整理メモ:事業計画の修正検討や、問題が発生した際の現状整理と選択肢の整理。
  4. 上申・承認依頼前の前置きメモ:稟議や意思決定を求める前に、関係者の認識を揃えるための事前共有文書。

これらは形式が違うように見えて、AIで作る手順はほぼ同じ。骨子を入力してAIに構造化してもらい、人間が事実確認して送信するという流れ。


使うAIツール

  • ChatGPT(GPT-4o):ビジネス文書の生成に慣れており、トーンの調整が指示しやすい。
  • Claude:長めの議事メモを渡してまとめさせるとき安定している。入力テキストが多い場合に向いている。
  • Microsoft Copilot:OutlookやTeamsと連携しているため、メールや会議チャットから直接メモを生成できる環境なら選択肢に入る。

どのツールを使っても以下の手順は同じ。現在利用しているツールから始めてよい。


手順:ステップ別の作り方

ステップ1:骨子を箇条書きにする

会議が終わった直後に、以下の3点を走り書きでよいので記録する。

  • 決まったこと(決定事項)
  • なぜそうなったか(背景・経緯・選ばれなかった案があれば)
  • 次のアクション(誰が・何を・いつまでに)

この3点がそろえば、AIに十分な材料を渡せる。会議の全発言を記録する必要はない。

ステップ2:プロンプトを入力する

以下のプロンプトをそのままコピーして、【】内を自分の情報に差し替えてほしい。

以下の骨子をもとに、社内共有用のメモを作成してください。

【メモの種類】
月次経営会議後の共有メモ

【受信者】
事業部長4名(会議欠席者)

【骨子】
・決定:Q3の販売計画を当初比10%下方修正、目標を240億円に変更
・背景:上期の実績が計画比92%で着地。市場環境の悪化(競合の価格引き下げ)が主因。楽観シナリオは維持困難と判断。
・修正への反対意見:営業本部長から「外部要因で目標を下げると現場の士気に影響する」との意見あり。結論は修正で合意。
・次のアクション:各事業部は2週間以内にQ3の部門別計画を再提出。経営企画がQ4通期見通しを再試算して次回会議に提示。

【メモの形式・トーン】
・件名を含む
・400字程度
・箇条書きより文章ベース
・社内向け、ビジネス文体

作成してください。

ステップ3:出力を確認・修正する

AIが出した文書を見て、以下の点を確認する。

  • 決定事項の数字・固有名詞が正確か
  • 「背景」の部分が事実と一致しているか
  • アクション担当者・期限が明記されているか
  • 送信先の役職・立場に合った言葉遣いか

AIは事実確認をしないため、数字の誤りがそのまま通ってしまう。送信前に必ず原文と照合する。

ステップ4:送信前の確認と微修正

修正が多い場合は、修正点をAIに伝えて再生成する方が早い。

先の出力を以下のように修正してください。
・「240億円」を「238億円」に変更
・アクション部分の期限を「2週間以内」から「6月20日(金)まで」に変更
・全体のトーンをやや柔らかくする(断定口調を減らす)

この「修正指示→再出力」のやりとりは1〜2往復で完成することが多い。


意思決定の背景メモの作り方

会議後の共有メモより重要性が高いのが、意思決定の背景を記録するメモ。半年後・1年後に「なぜその判断をしたのか」を問われたとき、このメモが唯一の根拠資料になることがある。

以下のプロンプトが背景メモ用として使いやすい。

以下の意思決定の背景を整理するメモを作成してください。

【決定した内容】
新規事業の立ち上げを2026年Q4から2027年Q1に延期

【意思決定の背景】
・人員確保の遅れ(採用計画の70%しか充足できていない)
・初期想定より開発コストが15%増
・競合2社が先行しているが、市場拡大は継続中

【選ばなかった選択肢と理由】
・予定通りQ4に強行:品質リスクが高く、競合に対して劣位でのスタートになる
・プロジェクト撤退:市場機会は残っているため、延期が最善と判断

【決定者・決定日】
代表取締役、2026年6月3日

このメモは社内の経営判断記録として保存します。事実関係を整理した400〜500字のメモを作成してください。

うまくいかない場合のポイント

出力が長すぎる・短すぎるとき

文字数を明示的に指定する。「300字以内」「500〜600字」のように具体的な範囲を入れると制御しやすい。「コンパクトに」「詳しく」という指示は人によって解釈が違うため、数字で伝える方がよい。

文体が硬すぎる・砕けすぎるとき

「役職者への報告文体」「上司への社内連絡」「部門内の情報共有」のように、受信者の関係性をプロンプトに入れる。ビジネス文書で「です・ます」調にするか「体言止め」にするかも指示できる。

AIが存在しない情報を補填してしまうとき

「与えられた情報だけを使用し、補足や推測を加えないでください」と一行加える。AIは文脈から情報を補足しようとする傾向があるため、事実確認ができないメモではこの制約が重要。


具体的な活用場面2例

場面1:経営合宿後の全社共有メモ

2泊3日の経営合宿から戻った翌日、参加できなかった中間管理職50名に合宿の内容を共有する必要があった。合宿で決まった3点(次期中計の方向性・重点投資領域・組織変更の検討開始)とその背景を箇条書きにしてAIに渡し、「経営陣の言葉として読める文体で、A4で1ページ以内」と指定した。30分かけて書いていた全社メモが、AIの下書きを15分で仕上げる作業に変わった。

場面2:役員交代前後の引き継ぎメモ

事業部長が交代するタイミングで、現在進行中のプロジェクトの状況・意思決定の経緯・注意すべき懸案事項をまとめた引き継ぎメモが必要になった。複数のプロジェクトについて骨子を別々に整理してAIに渡し、「新任担当者が一人で読んでも状況が把握できる文体で」と指定した。各プロジェクト1〜2ページの引き継ぎメモが計5本、午前中に揃った。


社内メモとKPI・計画書の連携

社内メモは単体で完結する文書だが、事業計画の進捗共有や修正報告と組み合わせると情報の流れがスムーズになる。経営企画のKPI策定をAIでサポートする方法事業計画書の作成をAIで進める方法で扱っている手順と合わせて使うと、計画→実績→修正→共有のサイクルをAIでまとめてカバーできる。

また、メモの内容を役員向けスライドに転換することも多い。経営会議の資料作成をAIで効率化する方法でそのプロセスも解説している。


メモのテンプレートを作る

月次会議が毎回同じ構成ならば、プロンプトのテンプレートを作って使い回すと効率が上がる。骨子の入力フォームをチームの共有フォルダに置き、誰でも同じ形式でAIに渡せるようにすると、担当者が変わってもメモの品質が安定する。

ただし、テンプレートに頼りすぎると「毎回同じメモ」になってしまう。議題が異なれば、プロンプトの指示を状況に応じて修正する手間は省かない方がよい。


注意点

社内メモは内部向けとはいえ、後に意思決定の根拠として参照されることがある。AIが生成した文書は送信前に必ず人間が事実確認し、決定事項・数字・アクション担当者は原文と照合してから確定する。外部のAIサービスに社外秘情報を入力する場合は、会社の情報セキュリティポリシーの確認を怠らないこと。

よくある質問

社内メモとは何ですか?議事録と何が違いますか?

社内メモは、会議の全記録より絞り込んだ情報共有文書です。決定事項・背景・次のアクションを端的に伝えることが目的で、議事録のように発言を網羅する必要はありません。

AIに入力する情報はどこまで具体的にすればいいですか?

骨子(何を決めたか、なぜそうなったか、次のアクションは何か)が3点入っていれば十分です。細かい発言録より、意思決定の流れを箇条書きで渡す方が良いメモが出てきます。

社内メモをAIで作るとき、情報セキュリティは問題ありませんか?

社外秘情報を外部のAIサービスに入力する際は、会社のセキュリティポリシーを確認してください。社内承認済みのAIツールを使うか、固有名詞をマスキングしてから入力する方法があります。