経営企画の仕事をAIでタスク分解する方法
この記事の要点
経営企画担当が担う事業計画策定・KPI設計・経営会議準備などの大型業務をAIでタスク分解し、工数を見積もる手順を解説。プロンプト例付きで担当者の負担を可視化できる。
結論
経営企画の業務は「事業計画策定」「KPI設計」「経営会議準備」など、範囲が大きく期限が厳しいものが多い。これをAIにタスク分解させると、抜け漏れ確認と工数の初期見積もりが30分でできる。自分一人で考えると見えにくい「前提作業」や「他部門との連携タスク」が可視化されるのが主なメリット。
経営企画でタスク分解が必要な業務の特徴
経営企画が扱う業務は、一般的なプロジェクト管理よりも難しいタスク分解が求められる。理由は3つある。
1つ目は関係部門が多いこと。財務・人事・各事業部・経営陣と連携するタスクが混在しており、どの作業が他の作業の前提になっているかを正確に把握しないとスケジュールが成立しない。
2つ目はタスクの依存関係が複雑なこと。例えば年度計画策定では「各部門から数字を集める→財務モデルに組み込む→経営会議で承認→修正→確定」という流れがあり、途中で差し戻しが発生したときの影響を事前に読んでおく必要がある。
3つ目は過去の担当者しか知らない暗黙の作業があること。毎年繰り返す業務でも、担当者が変わると「なぜかやっていた作業」が引き継がれないまま抜けることがある。
AIは過去の担当者ほど業務を知らないが、一般的なビジネスプロセスの知識から「よくある見落とし」を候補として出してくれる点で役立つ。
使うAIツール
- ChatGPT(GPT-4o):箇条書き・表形式での出力が安定している。タスクリストを構造化するのに向いている。
- Claude:長い業務背景を説明してから依頼するときに扱いやすい。
- Notion AI:タスク管理をNotionでやっている場合、直接Notion内でタスクを展開できる。
以下はChatGPTまたはClaudeを前提に説明する。
手順:ステップ別の作り方
ステップ1:業務の全体像を整理する
AIに渡す前に、以下の4点を明確にする。
- 業務の名前(例:2027年度年度計画策定)
- 最終成果物(例:取締役会で承認される年度計画書)
- 期限(例:2026年9月末に経営会議提出)
- 担当可能なリソース(例:経営企画チーム3名、各事業部の数字入力は各部門対応)
これだけあればAIはタスクの候補を出せる。完璧に揃わなくても「分かる範囲で」と伝えて始めてよい。
ステップ2:タスク分解のプロンプトを入力する
以下の業務について、タスク分解を行ってください。
【業務名】
2027年度年度計画策定
【最終成果物】
取締役会で承認される年度計画書(財務計画・事業別計画・人員計画を含む)
【期限】
2026年9月末に経営会議で最終承認
【前提条件】
・経営企画チーム:3名(マネージャー1名、スタッフ2名)
・各事業部からの数字インプットは各部門が担当
・外部環境の調査は経営企画が実施
以下の形式でタスク分解してください。
1. フェーズ別に分ける(準備・インプット収集・統合・確認・承認の流れで)
2. 各タスクに以下を付ける
- タスク名(動詞から始める)
- 担当:経営企画 or 各事業部 or 経営陣
- 所要時間の目安
- 依存関係(このタスクが完了しないと始まらないタスクがあれば記載)
3. よく見落とされる準備タスクや確認作業があれば指摘する
ステップ3:出力を評価・修正する
AIが出したタスクリストを見て、実情と照合する。以下の観点で確認する。
- 自社固有のプロセス(特定の承認ルートや様式)が抜けていないか
- 他部門との調整タスクが欠けていないか
- 工数の見積もりが現実的か(大幅にずれているタスクを特定する)
- 期限逆算で実行可能なスケジュールになっているか
出力に問題があれば修正指示を出す。
以下の修正をしてください。
・「財務モデルの更新」タスクを細分化してください。現在の経営企画チームでは財務モデルの更新は3段階(各部門数字の集計→モデル入力→整合性確認)に分かれています。
・「経営会議提出」の前に「CFOレビュー」タスクを追加してください。わが社では毎回CFOの事前確認が必要です。
ステップ4:Notionやスプレッドシート向けに整形する
プロジェクト管理ツールに転記しやすい形式で再出力してもらう。
前のタスクリストを、以下の列を持つMarkdownのテーブル形式で再出力してください。
列:フェーズ | タスク名 | 担当 | 所要時間 | 依存タスク | ステータス(空欄でよい)
これをNotionやスプレッドシートに貼り付けると、そのままプロジェクト管理に使える。
工数見積もりを深める使い方
タスク分解と同時に、AIに工数の初期試算を頼むこともできる。
前のタスクリストをもとに、以下を試算してください。
・経営企画チーム3名(マネージャー1名、スタッフ2名)が並行してこなせるか
・期限の9月末から逆算したとき、何月から本格稼働が必要か
・もっとも工数がかかるフェーズはどこか、ボトルネックになりうる箇所を指摘する
現実的な想定で、楽観的にならず判断してください。
AIは実際の業務量を知らないため、この試算は「目安」として使う。経験値のあるマネージャーが実際の工数と照合し、乖離があれば人員追加や期限調整の判断材料にする。
うまくいかない場合のポイント
タスクが粗くて実務に使えないとき
業務の背景情報が少なすぎる可能性がある。特に「前提条件」と「成果物の詳細」が不明確だとAIは一般的なタスクしか出せない。「成果物はExcelベースの財務モデルと、PowerPointのプレゼン資料の2つ」のように具体化してから再入力する。
タスクが多すぎて使いこなせないとき
粒度の指定が欠けている。「1タスクの所要時間が2〜4時間程度の粒度で」と指定すると調整しやすい。または「合計タスク数を15〜20個に絞ってください」と制約を加える。
自社特有のプロセスが入っていないとき
AIは一般的なビジネスプロセスをもとにタスクを出すため、自社独自の承認フローや社内ルールは含まれない。「我が社では〇〇という承認ステップが必要です」と会話の中で補足し、追加させる。
具体的な活用場面2例
場面1:新任担当者への引き継ぎ時のタスク洗い出し
経営企画の担当者が育休に入ることになり、業務引き継ぎの準備が必要になった。「年度計画策定」「月次報告」「経営会議運営」の3業務について、AIにタスク分解を依頼した。自分が無意識にやっていた「会議の1週間前に各部門に数字確認の連絡を入れる」「スライドテンプレートを最新版に更新する」といった暗黙の作業が可視化され、後任への引き継ぎ書の精度が上がった。
場面2:KPI設計プロジェクトの立ち上げ
新しいKPI体系を全社に導入するプロジェクトが発足した。経営企画が主幹部門で、対象部門は営業・マーケティング・製品開発の3部門。「このKPI設計プロジェクトのタスク分解をしてほしい。ステークホルダーが多く、各部門の合意形成が必要」とAIに渡した。「部門ヒアリング」「ドラフト案の各部門承認」「KPIツールへの実装確認」など、合意形成に関連するタスクが具体的に出てきて、プロジェクト計画の最初の骨格として使えた。詳しくは経営企画のKPI策定をAIでサポートする方法も参照してほしい。
タスク分解と計画書・会議準備の連携
タスク分解で出てきたリストは、事業計画書や経営会議の準備と組み合わせると効果が高い。計画書を作るタスクの中に「想定問答の準備」や「1枚サマリーの作成」が含まれていれば、それぞれAIで効率化できる。経営企画の想定問答をAIで作る方法や経営企画の1枚サマリー資料をAIで作る方法も参考にしてほしい。
タスク分解の定型化
同じ業務を毎年繰り返す場合、初回に作ったタスクリストをテンプレートとして保存しておくと翌年の立ち上げ時間が短縮できる。毎年微妙に変わる部分(新しいステークホルダー・組織変更・規制対応)はAIに「前回のリストをベースに今年の変更点を加えてください」と指示して更新する形が効率的。
ただし、テンプレートを使い回しすぎると「去年はやっていたが今年は不要なタスク」が混入する。毎回全体を一度見直す習慣は維持してほしい。
注意点
AIが出したタスクリストは「一般的なビジネスプロセスに基づく候補」であり、自社の状況に完全に対応したものではない。工数の目安も実態とずれることがある。特に他部門との連携タスク・上長の承認フロー・自社固有の様式対応は、必ず人間が補完してから使うこと。また、社外秘のプロジェクト情報を外部AIサービスに入力する際は、会社の情報セキュリティポリシーに従うこと。
よくある質問
AIでタスク分解すると何が変わりますか?
ゼロから考える時間が減り、抜け漏れが減ります。特に初めて担当する業務や、担当者が変わるプロジェクトで、やるべきことを網羅的に洗い出す時間が10〜15分で済むようになります。
タスク分解の粒度はどこまで細かくすればいいですか?
「誰が・何を・どのくらいで」が明確になる粒度が目安です。「事業計画書を作る」では粗すぎます。「財務モデルの更新(担当:経営企画、所要時間:3時間)」の粒度が実務では扱いやすいです。
タスク分解の結果はどう使いますか?
スプレッドシートやプロジェクト管理ツール(Notion、Asana等)に転記し、担当者と期限を割り当てて使います。AIはテキストで出力するため、貼り付けて使えるフォーマットで出力させると転記の手間が減ります。