広報の仕事をAIでタスク分解する方法
この記事の要点
記者会見・PR施策・危機対応などの広報業務を、AIを使って具体的なタスクに分解する手順を解説。プロンプト例と注意点を紹介。
結論
広報の業務は「記者会見を開く」「危機対応を行う」のように、ゴールは見えても作業全体が見えにくい仕事が多い。AIにゴールと制約を伝えると、具体的な作業ステップの一覧を数分で出力できる。この一覧は完成品ではないが、「何を忘れているか」に気づくためのチェックリストとして使える。
なぜ広報業務はタスク分解が難しいか
広報の仕事は、社外の動き(報道・炎上・競合発表)と社内の動き(経営判断・承認プロセス・他部門連携)が同時に進む。タスクの数が多く、それぞれが別の人間の動き待ちになりやすい。
加えて、初めて担当する業務がある。記者会見を年1回しかやらない会社では、前回の経験が活かしにくく、毎回「何をすべきか」をゼロから整理する手間が生じる。
AIはこの課題に対して有効だ。「記者会見を3週間後に開くとしたら、何をする必要があるか」という問いに対して、広報業務の一般知識から網羅的なリストを出力できる。
使うAIツール
テキスト生成AIであれば種類を問わず使える。ChatGPT(GPT-4o)やClaude 3.5 Sonnet以降のモデルが実用的だ。出力したタスクをそのままタスク管理ツールに移すなら、NotionのAI機能やMicrosoft Copilot(Planner連携)と組み合わせると作業が一続きになる。各ツールの料金・機能詳細は公式サイトで確認してほしい。
手順:ステップ別解説
ステップ1:ゴールと制約を整理する
タスク分解の精度はプロンプトに書く情報量で決まる。AIに渡す前に、次の3点を整理する。
- ゴール:何を達成する必要があるか(「記者会見を開く」「新製品を発表する」「炎上案件に対応する」)
- 制約:期限・関係者・予算・既に決まっている事柄
- 前提情報:会社の規模・業種・これまでの広報体制
この3点を明確にしてから渡すと、汎用的すぎる出力を避けられる。
ステップ2:記者会見のタスク一覧を作らせる
あなたは広報業務に詳しいプロジェクトマネージャーです。
以下の条件で記者会見を開催するためのタスクを網羅的に分解してください。
[前提条件]
- 会社規模:従業員500名の製造業
- 発表内容:新製品の市場投入
- 開催まで:3週間
- 参加予定メディア数:20〜30媒体
- 会場:借りる予定(場所未定)
- 広報担当者:1名(社外PR会社なし)
[出力形式]
1. フェーズ別(準備期・直前期・当日・事後)にタスクを分類する
2. 各タスクに担当者種別(広報・他部門・外部)を付ける
3. 作業所要時間の目安を付ける
4. 依存関係がある場合は「〇〇が完了してから着手」と明記する
注意:推測でよいが、確定的な数値・法律要件は「確認が必要」と記載する。
この出力を叩き台として、自社の承認フロー・関係者名・実際の期限を加筆する。
ステップ3:PR施策のタスク分解をさせる
単発のイベントではなく、施策全体のタスク分解も同様の手順でできる。
以下のPR施策を実行するためのタスクを分解してください。
[施策の概要]
目標:創業30周年を機に自社ブランドの認知を高める
手段:メディア取材・SNS発信・記念セミナー開催を組み合わせる
期間:3ヶ月
チーム:広報担当2名+デザイナー1名(外部委託)
[出力形式]
- 施策全体を3フェーズに分ける
- 各フェーズで並行して進めるタスクと順番に進めるタスクを区別する
- 外部委託が必要なタスクを明示する
- チェックポイント(中間確認が必要なタイミング)を入れる
ステップ4:危機対応のタスク一覧を作らせる
炎上や不祥事が発生した際の対応タスクは、事前に整理しておくことで実際の緊急時の動きが早くなる。
以下のシナリオに対して、広報担当者が取るべき対応タスクを時系列で分解してください。
[シナリオ]
自社製品に関する誤情報がSNSで拡散し、複数のメディアから取材問い合わせが入った。
[出力形式]
- 発生から72時間以内のタスクを1時間単位で整理する
- 「誰が判断するか」「誰に確認が必要か」を各タスクに明記する
- 対外(メディア・SNS)と対内(経営・部門)のタスクを分けて示す
- タスクの優先順位(高・中・低)を付ける
注意:法的な判断が必要な事項は「法務確認必須」と明記する。
このプロンプトで出る危機対応タスク一覧は、「危機対応マニュアル」の叩き台にもなる。定期的に見直しておくと実際の緊急時に迷わない。
ステップ5:出力を人間が確認・補完する
AIが出したタスク一覧に次の情報を加える。
- 担当者名(部署・個人)
- 具体的な期限(「2週間前」ではなく「〇月〇日」)
- 社内固有の承認フロー(誰が最終承認するか)
- 過去の経験から追加すべきタスク・削除すべきタスク
この補完作業に10〜20分かけることで、AIの汎用的な出力が自社固有の実行計画になる。
広報固有の具体例
例1:IR発表と広報施策の同時進行タスク管理
上場企業の広報担当者が、決算説明会と同時期に新製品発表を行う際、「両施策が重なる3週間のタスクを分解してほしい」とAIに依頼した。出力には「IR資料の確認と広報発表文の整合性チェック」「投資家向け回答と記者向け回答の統一」という項目が含まれており、担当者が見落としていた視点だった。IRチームとの事前調整を1週間早めることができた。
例2:初めて担当する株主総会後のメディア対応準備
広報担当歴2年の社員が初めて株主総会後のメディア対応を担当した。過去の資料が少なく、どこから手をつけるかわからない状態でAIに「株主総会翌日のメディア対応タスクを分解してほしい」と指示した。クリッピング確認・記者への追加コメント提供・社内への速報配信など15項目の一覧が出力され、「やることはわかったが何が先かわからない」状態から抜け出せた。
うまくいかない場合のポイント
タスクが抽象的で使えない
「メディアへの連絡をする」のような大きな粒度のタスクしか出ない場合は、「1タスクは30分以内で完了できる作業に細分化する」とプロンプトに追加する。
タスクが多すぎて絞れない
全項目を洗い出した後に「このうち最初の3日間でやるべき優先タスクを5つに絞ってほしい」と別のプロンプトで整理させると、実行計画の優先度が付けやすくなる。
自社特有の作業が抜けている
AIは業界固有の商慣習や社内承認フローを知らない。過去の同種作業の振り返りメモや、社内で使っているチェックリストをプロンプトに貼ると、自社に近い出力に近づく。
依存関係が無視されている
「〇〇が終わらないと〇〇に着手できない」という順序制約をAIが無視する場合は、「タスクの依存関係を矢印(→)で示す」と形式指定すると改善される。
関連記事
タスク分解で明確になった個々の作業について、具体的な文書作成に進む場合は広報の社内メモをAIで素早く作る方法が参考になる。取材対応のタスクを深掘りするなら広報のメディア対応をAIで準備する方法を合わせて読んでほしい。危機発生時の具体的な対応手順は広報の危機対応文書をAIで作る方法で解説している。
よくある質問
タスク分解にAIを使う意味はありますか?
広報の業務は突発対応が多く、全体像を見失いやすい。AIを使うと「やるべきことの一覧」を数分で出せるため、抜け漏れを減らしやすい。特に経験が浅い担当者や、初めて担当する業務での助けになる。
AIのタスク分解をそのまま使えますか?
使えない。AIは一般的な広報業務の知識から推測するため、自社特有の承認フロー・関係者・デッドラインは反映されない。出力を叩き台として、担当者が加筆・修正して使う。
タスク分解とWBSは同じですか?
ほぼ同じ概念だが、WBSはプロジェクト管理の文脈で使われる用語で、成果物ベースの階層構造を持つ。AIへの指示では「タスク分解」「作業リスト」「ステップ一覧」と言えば十分に機能する。
何のAIツールを使えばいいですか?
チャット型のChatGPT(GPT-4o)やClaude 3.5 Sonnet以降が使いやすい。Notionやasana等のタスク管理ツールのAI機能と組み合わせると、分解後の実行管理まで一元化できる。