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Google、端末内で動くGemma 4 E2Bを公開

Google、端末内で動くGemma 4 E2Bを公開

この記事の要点

GoogleがPixel 10のTPUで動くGemma 4 E2Bを公開した。約23億パラメータで、データを端末から出さずに画像と音声とテキストを処理する。機密データを扱う業務の選択肢になる。

結論

GoogleがPixel 10のTPUで動くGemma 4 E2Bを公開した。実効で約23億パラメータの軽量モデルで、画像と音声とテキストを端末内だけで処理する。データが端末から出ないため、外部のサーバーに送れない情報を扱う業務や、通信環境の悪い現場での利用が視野に入る。クラウド前提だったAIの使い方に、もうひとつの選択肢が加わった。

公開されたモデルの中身

Gemma 4 E2B for TPUは、Pixel 10に搭載されたTensor G5のTPUで動くよう最適化された変種である。発表はインドで開かれたI/O Connectの場で行われた。Googleはこのモデルを、最先端で強力ながら際立って軽量なモデルと説明している。

対応端末はPixel 10、Pixel 10 Pro、Pixel 10 Pro XL、Pixel 10 Pro Foldである。パラメータ数は実効で約23億、埋め込みを含めると51億とされる。

機能面では多モーダルに対応する。画像、話し言葉の音声、テキストの入力に加え、端末の状況を組み合わせて処理できる。具体的な用途としては、カメラを通した物体の認識、会話のやり取りの要約、音声記録の文字起こしなどが挙げられている。旅行の計画、料理の手順の案内、スマートホームの操作、音声による端末の操作といった機能が、通信が届かない状態でも動くとされる。

Googleはこの構成の要点を、データが端末を出ないことに置いている。エッジでのAI利用において、通信が切れた状態でも動くことと、外部にデータを送らないことの両方を実現する設計である。

なお、性能に関する記述はGoogleの発表に基づくものである。実際の処理速度や日本語での精度は、端末と用途によって変わる。最新の仕様と対応状況は公式情報で確認してほしい。

クラウドではない選択肢

端末内で動くモデルは、これまで性能が低く実用にならないと見られてきた。この見方が変わりつつある。

背景には2つの流れがある。ひとつは、モデルの小型化が進んだことである。数十億パラメータ規模で、数年前の大型モデルに近い処理ができるようになった。もうひとつは、端末側の処理能力が上がったことである。スマートフォンに専用のAI処理装置が載るようになり、数十億パラメータのモデルを現実的な速度で動かせるようになった。

企業側の要請も強い。アジア太平洋の企業の86%がオンプレミスまたはエッジをAI基盤に組み込んでいるとの調査があり、日本企業でもハイブリッドの採用が71%に達している。すべてをクラウドに置く構成は、少数派になった。

理由は主に2つである。ひとつは機密データの扱いである。個人情報や社外秘を外部のAPIに送れないという社内規定は、多くの企業にある。もうひとつはコストである。処理量が増えるほど従量課金が効いてくる。MicrosoftがExcelとOutlookのCopilot処理を自社モデルに切り替えているのも、この圧力によるものである。

現場の実務にどう効くか

端末内で動くモデルが実務で効く場面は、はっきりしている。データを外に出せない、あるいは通信が届かない現場である。

具体例を3つ挙げる。第一に、工場や建設現場での点検記録である。写真を撮り、その場で状態を判定し、記録を作る。通信環境が悪い現場でも動き、撮影した画像が外部に送られない。第二に、医療や介護の現場での記録作成である。患者や利用者の情報を扱うため、外部のAPIに送るには手続きが要る。端末内で完結するなら、この手続きの一部が省ける。第三に、営業先での商談記録である。訪問先で録音し、その場で要約を作る。顧客の機密に触れる内容でも、端末から出ない。

ただし、いま検討を始めるなら注意点がある。Gemma 4 E2B for TPUはPixel 10系の端末に限られており、法人で一括導入している端末がiPhoneやほかのAndroid端末なら、そのままでは使えない。端末の入れ替えを伴う話になる。

したがって現実的な進め方は、端末を替えることではなく、端末内で動くモデルという選択肢が現実味を帯びてきたことを、社内のAI利用方針に反映させることである。「機密データを扱う処理はAIを使わない」という規定を置いている企業は、その規定を「外部に送信する処理は使わない」に書き換えられる余地が出てくる。この書き換えができれば、これまでAIの適用外としてきた業務の一部が対象になる。

Check PointがAIによる自律的な攻撃を報告したように、AIをめぐるセキュリティの論点は増えている。データを外に出さない構成は、この論点のいくつかを構造的に解消する。導入の可否とは別に、方針として検討する価値がある。

出典

よくある質問

Gemma 4 E2B for TPUとは何ですか。

GoogleがPixel 10のTensor G5に搭載されたTPUで動かすために最適化した軽量モデルです。実効パラメータは約23億で、埋め込みを含めると51億とされます。Pixel 10、10 Pro、10 Pro XL、10 Pro Foldで動作します。

端末内で動くと何が変わりますか。

処理したデータが端末の外に出ません。通信が届かない場所でも使え、外部のサーバーにデータを送らずに済みます。機密情報を扱う業務や、通信環境が不安定な現場での利用に向いています。