業種別プロンプト集 法務編 契約書チェックから社内Q&Aまで使える例文
この記事の要点
法務業務で使える生成AIプロンプトを、契約書の確認補助・社内Q&Aの回答案・規程の文書化・法律情報の整理の4領域に分けて整理した。法的判断はAIに委ねず、調査・文書化・整理に限定して使う方法を示す。
法務でAIが補助できる領域
法務業務でAIが有効なのは「調査の補助」「文書のたたき台作成」「論点の整理」だ。法的判断そのものはAIに委ねない。AIは誤った法律解釈を自信を持って出力することがある。
特に注意が必要なのは情報の機密性だ。実際の契約書・取引先の情報・社内の未公開規程をAIに入力するのは避ける。一般的な条項のパターンや論点を質問する形で使い、自社の固有情報は自分で当てはめる。
契約書:チェックポイントの洗い出し
以下の種類の契約書を締結する際に、確認すべき主なチェックポイントを整理してください。
【契約の種類】業務委託契約(IT開発)
以下の観点でリストアップしてください。
- 業務の範囲と成果物の定義
- 支払い条件と検収基準
- 知的財産の帰属
- 機密保持
- 契約解除と損害賠償
- 再委託の可否
各観点について、「よくある問題点」と「確認すべき文言の例」を示してください。
ポイント: 実際の契約書をAIに入力するのではなく「一般的なチェックポイント」を出させる。出てきたリストを自分の手元の契約書に照らし合わせて確認する。
契約書:用語の意味確認
以下の契約条項で使われている法律用語の意味を、法律の専門家でない担当者に向けて説明してください。
【用語】
- 「善管注意義務」
- 「瑕疵担保責任」
- 「準委任契約と請負契約の違い」
各用語について以下の形式で説明してください。
- 一言の定義
- 契約書で出てきたときに何を意味するか(実務的な含意)
- 注意すべきポイント
※この説明は参考情報であり、具体的な法的判断は専門家に確認します。
契約書:一般的な条項のパターン比較
以下の契約条項について、一般的に使われる表現のパターンを複数示してください。
【条項】機密保持義務の期間
パターンを以下の形式で示してください。
- 短期(契約終了後1年以内)のパターン文例
- 中期(契約終了後3年)のパターン文例
- 長期(期限なし)のパターン文例
各パターンで、締結側・受領側それぞれにとってのメリット・デメリットを一行で添えてください。
※実際の条項の採用は法務担当と弁護士が最終確認します。
社内Q&A:法的な問い合わせへの回答案の整理
社内から以下の質問が来ています。回答のたたき台を作成してください。
【質問】「個人で副業をするとき、会社に申告が必要ですか」
【前提情報】
- 当社の就業規則では副業は「会社に届け出たうえで認める」としている
- 競業避止義務あり(同業他社での副業は禁止)
- 具体的な届け出の書類は人事部が管理
以下の形式で回答案を作成してください。
- 結論(1文)
- 根拠(就業規則の内容を踏まえた説明)
- 手続き(何をどこに提出するか)
- 注意事項
※回答前に人事部・法務の確認が必要です。このたたき台はその確認用です。
ポイント: 「このたたき台はその確認用です」と明示することで、AIの出力をそのまま社員に回答しないための仕組みを意識できる。
社内規程:条文のたたき台作成
以下の内容をもとに、社内規程の条文のたたき台を作成してください。
【規程名】生成AI利用規程
【対象】全社員
【定めたい内容】
1. 利用してよいツールの範囲(IT部門が承認したツールのみ)
2. 入力禁止情報(個人情報・機密情報・未公開財務情報)
3. 出力の確認義務(事実確認してから使用)
4. 違反時の報告義務(発覚後速やかに情報システム部門へ)
5. 規程の更新(IT部門が半年ごとに見直す)
各条文を「第●条(見出し)本文」の形式で作成してください。
正式な規程文体(「〜するものとする」「〜しなければならない」)を使ってください。
※このたたき台は法務・人事部門でのレビューが必要です。
法律情報の整理:改正法の要点整理
以下の法律改正について、企業の実務担当者向けに要点を整理してください。
【法律名】個人情報保護法(2022年改正)
【整理の観点】
- 主な改正点(3〜5点に絞る)
- 企業が対応すべきこと
- 対応期限があるもの
※AIの出力は参考情報であり、最新の法令・施行規則は官公庁の公式情報で必ず確認します。
重要: 法律情報はAIの学習データのカットオフ時点の情報を基にするため、最新の改正内容と異なる場合がある。AIの整理は「どんな論点があるか」の把握に使い、最新情報は必ず官公庁や法律専門家に確認する。
社内連絡:法務系の通知文
以下の内容について、全社員への通知メールを作成してください。
【内容】個人情報の取り扱いに関する注意喚起
【背景】他社での情報漏えい事例が報道されたため、当社でも再確認を促す
【周知したい内容】
- 顧客情報を個人のPCや外部クラウドに保存しない
- 社外へのメール送付前に宛先と添付ファイルを確認する
- 不審なアクセスや情報漏えいの可能性を発見したら情報システム部門へ即報
- 詳細は社内ポータルの情報セキュリティガイドライン参照
【トーン】脅かすのではなく、注意を促す。具体的で短い文体にする。
件名を含めて作成してください。
法務でAIを使うときの原則
法的判断を求めない。 「この契約は有効ですか」「これは違法ですか」という判断をAIに求めない。そういう問いに対してAIは答えてくれるが、それは法的根拠のある判断ではない。
固有情報を渡さない。 実際の契約書・取引先名・社内未公開情報はAIに入力しない。「一般的なパターンはどうか」「この条項の意味は何か」という形で、固有情報なしに質問する。
出力は必ず専門家に渡す前に確認する。 AIが作ったたたき台を直接社員に回答したり、契約書に使ったりしない。弁護士や社内法務のレビューを経る前の出力は「参考情報」だ。
機密情報を含む業務でのAI利用に関する注意点の詳細は機密情報を守りながら生成AIを使うプロンプトの注意点を参照してほしい。
まとめ
法務でのAI活用は「調査の補助・文書のたたき台・論点の整理」に限定する。法的判断・合否の決定・法的解釈の確定はAIに委ねない。実際の契約書や取引先情報は入力せず、一般的なパターンや論点の整理として使う。出力は必ず法務・弁護士がレビューしてから使う。
他の業種向けのプロンプト集として業種別プロンプト集 経理・財務編や業種別プロンプト集 人事・採用編もあわせて参考にしてほしい。
よくある質問
法的な判断をAIに任せていいですか
法的判断はAIに委ねないでください。AIは法律の解釈を誤ることがあります。調査のサポート・文書の下書き・論点の整理に使い、判断は弁護士や社内法務が行います。
契約書のチェックにAIを使えますか
論点の洗い出しや比較の補助には使えます。最終的な法的確認は弁護士または法務担当が行います。AIの出力を根拠に契約を締結しないでください。
社外秘の契約書をAIに入力してもいいですか
入力しないでください。契約書の具体的な内容・取引先名・金額などは機密情報です。一般的な契約条項のパターンを質問する形で使い、固有情報は入力しません。