経理の用語集をAIで作る方法
この記事の要点
経理業務で使う専門用語集や勘定科目説明資料をAIで作成し、新人研修・引き継ぎ・社内共有に活用する具体的な手順とプロンプト例を解説する。
結論
経理部門が毎年作成する新人向け用語集・社内向け勘定科目説明資料・引き継ぎドキュメントは、AIに「対象用語のリスト」と「読む人のレベル」を渡すだけで定義・解説・具体例付きの用語集が出てくる。50〜100語規模の用語集を手で書けば数日かかる作業が、AIを使えば数時間に短縮できる。
使うAIツール
ChatGPT・Claudeを使う。大量の用語を一括処理する場合はコンテキスト窓が大きいClaudeが扱いやすい。出力したテキストはNotionのデータベース・ExcelのWiki形式・Word文書など、社内で使いやすい形式に貼り付けて運用する。
手順
ステップ1:用語のリストと読者像を用意する
用語集の品質は「誰が読むか」で変わる。同じ「売掛金」でも、経理担当者向けには「回収サイト」「回転期間」まで含めた詳細定義が必要だが、営業担当者向けには「代金をまだもらっていない状態」という平易な一文で十分だ。
以下を決めてからAIに渡す。
- 対象用語のリスト(箇条書きで渡せばよい)
- 読む人:経理部内の新入社員・他部門の社員・管理職など
- 用語集の用途:新人研修・引き継ぎ・社内wiki・取引先への説明資料など
- 1語あたりの説明の深さ:1〜2行の簡潔定義 / 詳細な解説(例・注意点付き)
ステップ2:AIに用語集を生成させる
以下の経理用語について、経理業務を始めたばかりの社員が読む用語集を作成してください。
対象用語:
- 売掛金
- 買掛金
- 未払金
- 前払費用
- 仮払金
- 減価償却
- 繰延資産
- 引当金
- 損益分岐点
- キャッシュフロー
要件:
- 各用語について:定義(2〜3文)・具体例(業務での使われ方)・間違えやすいポイントの3点を含める
- 定義は経理の専門知識がない社員でも理解できる言葉で書く
- 表形式(用語 / 定義 / 具体例 / 注意点の4列)で出力する
- 法律・税務が絡む説明には「詳細は税務の専門家に確認」と注記する
ステップ3:用途別に形式を変える
新人研修向けには「試験形式」に変換させる。
上の用語集を使った確認クイズを5問作ってください。
形式:4択問題(正解1つ・誤答3つ)
難易度:経理業務1〜2年目を対象
正解と解説も付けてください。
引き継ぎ資料として使う場合は、自社固有の運用ルールを追加させる。
上の用語集に、以下の自社ルールを各用語の説明に追加してください。
- 仮払金:当社では申請時に上長の電子承認が必要。精算期限は翌月末
- 減価償却:当社の資産区分基準は10万円以上で固定資産、5〜10万円は一括償却資産として処理
- 引当金:退職給付引当金は毎年12月末に計算。詳細は給与規程を参照
自社ルールの部分は「【社内ルール】」という見出しを付けて区別してください。
ステップ4:既存の用語集を拡充する
すでに用語集がある場合は、それをAIに渡して不足分を補わせる。
以下は現在使っている経理用語集です。
①不足している重要用語を10語程度追加してください。
②定義が曖昧または古い用語を指摘してください。
③難易度が高すぎる説明を平易に書き直してください。
【現在の用語集】
(ここに既存の用語集を貼り付ける)
ステップ5:カテゴリ別に整理する
用語数が50語を超える場合は、カテゴリ別に整理させると参照しやすくなる。
上の用語リストを以下のカテゴリに分類してください。
カテゴリ:貸借対照表科目 / 損益計算書科目 / キャッシュフロー関連 / 税務関連 / 管理会計 / その他
各カテゴリに簡単な説明(そのカテゴリがどんな場面で使われるか)を2行追加してください。
具体例1:新人向け勘定科目説明資料
4月入社の経理担当者向けに、配属後1週間で渡す勘定科目の基礎資料が必要だったケース。対象科目30語をExcelに一覧化して貼り付け、上記のプロンプトで用語集を生成した。
特に効果があったのが「間違えやすいポイント」の自動生成だ。例えば「売掛金と未収金の違い」「前払費用と前渡金の違い」は経理新人がよく混乱するポイントだが、これをAIが自動で注意事項として追加してくれた。
出力例(一部):
| 用語 | 定義 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 商品・サービスを提供したが、まだ代金を受け取っていない場合に計上する資産。 | 月末に請求書を発行し、翌月末に入金される取引の未入金分。 | 「未収金」と区別する。売掛金は通常の営業取引、未収金はそれ以外の取引から発生する。 |
手作業で30語分の表を作ると半日かかる作業が1時間で完成した。
具体例2:他部門向けの経費科目説明資料
総務部・営業部向けに「経費を申請する際に使う勘定科目の選び方」をまとめた資料が必要だったケース。経理担当者が書くと専門用語が多くなりすぎるという問題があったため、AIに「経理の専門知識がない社員向け」という条件を付けて生成した。
AIへの指示:
以下の勘定科目について、経理担当者でない社員(営業・総務)が経費申請時に科目を選べるよう、簡単な説明とよくある申請例を付けた資料を作ってください。
科目:交通費・接待交際費・消耗品費・通信費・研修費・会議費
各科目について:
- 一言定義(15字以内)
- 申請できる具体例(3つ)
- 申請できないもの・別科目になるもの(1〜2つ)
- 判断に迷う場合の問い合わせ先:経理部(内線2200)
経理用語は使わず、日常語で書いてください。
出力された資料は「接待交際費に含まれないもの」(会議室での打ち合わせは会議費など)の境界線がシンプルな言葉で整理されており、申請ミスの減少につながった。
うまくいかない場合
定義が曖昧・不正確に見える場合:特に税務上の扱いが変わった用語(例:少額減価償却資産の特例・電子帳簿保存法関連)はAIの学習データが最新でない可能性がある。「この定義について、最新の法令に照らして不正確な点があれば指摘してください」と確認させ、公式資料で検証する。
自社固有のルールが反映されない場合:AIは一般的な会計基準に基づく定義を出す。「当社では〜と定めています」という自社ルールを追加テキストとして渡し、「社内ルール」として区別して記載させる。
用語集が長くなりすぎる場合:1語あたりの説明量を制限する。「各用語の説明は100字以内、具体例は1つだけ」と明示すると全体量がコンパクトになる。
表形式が崩れてコピーしにくい場合:「表はCSV形式(カンマ区切り)で出力してください」と指定するとExcelに貼り付けやすくなる。またはMarkdown表形式をNotionに直接貼り付ける方法も有効だ。
FAQ
Q:会計基準が改訂された場合、用語集の更新はAIに任せられますか? A:改訂内容を示すテキスト(改訂基準書の該当箇所など)をAIに渡し「この改訂を反映して該当用語の説明を更新してください」と指示できます。ただし最終的な正確性の判断は担当者が行う必要があります。
Q:英語の会計用語と日本語を対応させた対訳集も作れますか? A:作れます。「以下の日本語の会計用語について、英語の対訳と英語での短い説明を追加してください」と指示します。外資系企業との連携が多い経理部門では特に役立ちます。
Q:用語集をPDF化して社内配布するには何か注意点がありますか? A:AIが生成した内容であることを資料の脚注に記載し、「参考情報として使用し、最終的な判断は専門家に確認」という注意書きを入れることをお勧めします。また、定期的な更新日を明記して鮮度管理を行ってください。
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よくある質問
AIが生成した用語解説の正確性はどうやって確認しますか?
基本的な会計用語の定義は金融庁・日本公認会計士協会の公表資料や企業会計基準との照合が必要です。特に税務や法律が絡む用語は「〜とされる」「詳細は専門家に確認」と注記してください。
用語集の作成に向いているAIツールはどれですか?
用語の定義・説明生成はChatGPT・Claudeのどちらでも対応できます。会社固有のルールを含む用語集は、標準的な定義をAIで作ってから自社の解釈や運用ルールを手動で追加するハイブリッド方式が現実的です。
既存の用語集をAIで更新・拡充することはできますか?
できます。既存の用語集テキストをAIに渡し「不足している用語を追加してください」「定義が古い用語を指摘してください」と指示すると差分を提案してくれます。
経理以外の部門向けにやさしく書き直すことはできますか?
できます。「経理専門知識がない営業担当者でも理解できる言葉に書き直してください」と指示すると、専門用語を日常語に置き換えた説明文が生成されます。