職種別AI仕事術

経理の1枚サマリー資料をAIで作る方法

経理の1枚サマリー資料をAIで作る方法

この記事の要点

月次決算・経費状況・予実管理の結果を1枚に凝縮したサマリー資料をAIで素早く作る手順と、経営会議で使えるプロンプト例を解説する。

結論

月次決算後に経営陣へ渡す1枚サマリーは、AIに財務データの要点・前月比・課題点を箇条書きで渡し「A4一枚に収まる経営報告サマリーを作って」と指示すれば、構成から文章まで一気に下書きが出る。経営会議の資料作成にかかっていた半日の作業が1〜2時間に短縮できる。


使うAIツール

ChatGPT・Claudeを主に使う。どちらもMarkdown形式での出力が得意で、見出し・箇条書き・簡易表を組み合わせた構成を一度に生成できる。最終的なデザインはPowerPointやGoogle スライドで整えるため、AIはあくまで「構成と文章」を担当する役割と位置づける。

Microsoft 365 Copilotを使うと、ExcelのデータをそのままPowerPointのスライドへ変換する機能があり、数値データの転記ミスが防げる。


手順

ステップ1:サマリーに載せる情報を洗い出す

1枚に収めるためには「何を載せて何を省くか」の取捨選択が先に必要だ。まず以下の項目を確認する。

  • 売上・費用・利益の実績と予算比(金額・増減率)
  • 前月比または前年同期比で特に動きが大きかった科目
  • 月次での特記事項(一時的な費用計上・大型受注など)
  • 翌月以降の見通しや懸念点

これらをAIに箇条書きで渡す。最初から文章を書こうとしないこと。

ステップ2:構成をAIに作らせる

渡した情報をAIがどのように1枚にまとめるか、まず構成だけを確認する。

以下は今月の経理サマリー用のデータです。
経営会議で経営陣が3分以内に内容を把握できる「A4一枚サマリー」の構成案を作ってください。

要件:
- 最上部に「今月のひとこと(今月を一言で表す結論)」を置く
- 次に売上・費用・利益の実績表
- 前月比で特に変動が大きかった科目の説明(2〜3行)
- 翌月の懸念点または対応事項

【今月データ】
- 売上:〇〇百万円(予算比+3%、前月比-8%)
- 費用:〇〇百万円(予算比+1%、前月比+2%)
- 営業利益:〇〇百万円(予算比+5%、前月比-12%)
- 売上減少の主因:大手取引先Aの注文が翌月に先送り
- 費用増加の主因:採用費が計画を5%上回った
- 来月の懸念:原材料費が再上昇傾向

ステップ3:文章を肉付けする

構成が確認できたら、続けて文章の肉付けを指示する。

上の構成に基づいて、実際のサマリー資料の本文を書いてください。
各セクションは3〜5行以内にまとめ、経営陣が数値の背景を即座に理解できるよう「なぜその数値になったか」の一文を必ず入れてください。
断言できない情報は「〜の可能性がある」と表現してください。

ステップ4:コンパクトにまとめる

最初の出力が長くなりすぎる場合は絞り込みを指示する。

全体を見直し、A4一枚(800字程度)に収まるよう圧縮してください。
削除する場合は重要度の低い情報から削ってください。削った項目を末尾に「省略した項目:〜」としてリストアップしてください。

「省略した項目をリスト化させる」ことで、あとで必要になった情報を復元しやすくなる。

ステップ5:レイアウトを整える

AIが出した文章をそのままコピーしてPowerPointに貼り付け、フォント・色・罫線を整えて完成させる。AIにHTML形式やMarkdown表形式で出力させると貼り付け後の整形が少なくて済む。


具体例1:月次決算の経営会議サマリー

5月度決算で営業利益が前月比15%増だったケース。特記事項として大型案件の売上計上と一時的な外注費増加があった。上記のプロンプトに数値を当てはめてAIに渡したところ、以下のような構成が出た。

  • 今月のひとこと:「大型案件計上で利益大幅改善、外注費の一時増加はあるが通期では計画内」
  • 実績表(売上・費用・営業利益の実績・予算比・前月比の3列)
  • 変動要因の説明(売上上振れの理由2行・費用増加の理由2行)
  • 翌月の見通し(来月の売上予測と懸念点)

この構成をそのままPowerPointに貼り付けてデザインを整えると、通常2時間かかっていたサマリー作成が40分で完成した。数値の正確性の確認作業が別途20分かかったため、合計約1時間で仕上がった。

具体例2:四半期予実管理のサマリー

第一四半期(4〜6月)の予実管理結果を経営陣向けに1枚にまとめるケース。四半期分のデータは月次より情報量が多いため、最初に「重要な項目を3つに絞ってください」と指示してから構成を作らせた。

AIが選んだ3つの重要項目:

  1. 売上が四半期で予算比+7%となった要因(既存顧客のアップセルが好調)
  2. 人件費が予算比+3%と計画超過となった理由(採用前倒し)
  3. 下半期への引き継ぎ事項(原材料調達コストの動向)

自分で3つを選ぶとなると時間がかかるが、AIに絞り込みを任せることで判断の時間を省けた。その後、絞り込まれた3点の妥当性を確認し、1点だけ追加して最終版とした。


うまくいかない場合

文章が抽象的すぎる場合:渡す数値が少ない・増減の理由が含まれていない可能性が高い。「売上が減った理由」「費用が増えた科目」などの背景情報を追加で渡す。

サマリーが長くなりすぎる場合:最初から「800字以内」「スライド1枚分(箇条書き含めて15行以内)」という制約を指定する。後から圧縮させるより最初から制約を入れる方が精度が高い。

表のフォーマットが崩れる場合:AIのMarkdown表はツールによっては正しく表示されないことがある。「表はコンマ区切りのCSV形式で出力してください」と指示するとExcelやスプレッドシートへの貼り付けが容易になる。

経営陣に刺さる表現にならない場合:「経営陣が意思決定に使う観点で書いてください。利益変動の背景と次のアクションを明確にしてください」と観点を追加する。


FAQ

Q:毎月同じ構成を使い回すには何か工夫が必要ですか? A:一度良い構成が出たら、プロンプトと構成のテンプレートをNotionやExcelに保存しておき、翌月は数値と特記事項だけを書き換えて再利用します。毎月ゼロから作る必要はありません。

Q:1枚サマリーをそのままメール本文として使えますか? A:使えます。その場合は「メール本文として送れる形式に整えてください。添付ファイルは別途送ることを一行加えてください」と追加指示します。

Q:グラフや図の挿入もAIに頼めますか? A:現状のテキストAIはグラフの画像を直接生成しません。ただし「PowerPointのグラフに使えるCSVデータを出力してください」と指示することで、グラフ作成の元データを整形させることはできます。


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よくある質問

1枚サマリーはどのツールで最終的に作るのが良いですか?

AIで構成と文章を作り、最終的な見た目はPowerPoint・Google スライド・Wordで整えるのが現実的です。AIにMarkdown形式で出力させると、各ツールへの貼り付けがしやすくなります。

数値データをAIに渡す安全な方法はありますか?

社外秘データは仮の値に置き換えるか、Microsoft 365 CopilotのようなSaaS利用規約上データが学習に使われないツールを使ってください。金額ゼロや仮名に置き換えてもレイアウトや文章の骨格は作れます。

サマリーに入れるべき情報の優先順位はどう決めますか?

「経営陣が意思決定に使う情報か」を基準にします。利益の変動・予実差異・資金繰りに関わるKPIを最上位に置き、それ以外は補足または別添に回します。AIに「経営会議での意思決定に必要な情報に絞って」と指示すると自然に優先度の高い項目が残ります。