事務・アシスタントが長い資料をAIで要約するコツ
この記事の要点
議事録・社内規程・契約書など長文資料を、事務・アシスタント業務の目的別にAIで要約する手順とプロンプト例。精度を上げる指定方法まで解説する。
結論:読み手と目的を伝えるだけで要約の使い勝手が大きく変わる
事務・アシスタント業務では、社内規程の改訂版、会議の事前資料、取引先から届いた長文の提案書、議事録の元データなど、毎日のように長い文書に向き合う機会がある。AIツールに「要約して」と入力するだけでは出力のばらつきが大きく、実務で使えない結果が返ってくることも多い。
精度を上げる最短の方法は「誰向けに」「何のために」使う要約かを1〜2文で添えることだ。「部長への週次報告用に要点を3点」「関係部署への回覧メール用に背景と結論だけ抜く」という形で目的を明示すると、AIが出力の粒度と形式を自動的に調整する。
使うAIツールの特徴
| ツール | 入力方法 | 長文対応 | 適した用途 |
|---|---|---|---|
| Claude Pro | テキスト貼り付け・ファイル | 最大200Kトークン程度 | 構造化された要約・形式指定 |
| ChatGPT Plus | テキスト貼り付け・ファイル | GPT-4oで長文対応 | 汎用的な要約・言い換え |
| NotebookLM | ファイルアップロード(最大50本) | 複数資料の横断分析 | 複数ファイルを参照する整理作業 |
| Microsoft Copilot | Word・Excel・Teams連携 | Office文書に強い | 社内Officeファイルの直接処理 |
機密性の高い書類や個人情報を含む資料は、社外のAIサービスへの貼り付け前に情報セキュリティ部門のガイドラインを確認する。エンタープライズ版や社内導入済みのツールを使うのが原則だ。
手順:長い資料をAIで要約する流れ
ステップ1:資料の機密レベルとテキスト化可否を確認する
社内の就業規則・機密契約書・個人情報を含む名簿類は、社外AIサービスに貼り付けてよいかを先に判断する。外部公開済みの行政資料や取引先の商品カタログなどは問題になりにくいが、迷ったときはセキュリティ担当に確認する。
テキストとして選択・コピーできる形式かどうかも確認する。スキャンPDFや画像データはOCR処理を先に行う必要がある。WordやExcelは全文コピーで貼り付けられる。PDFについては次の記事で詳しく扱う(事務・アシスタントがPDF資料をAIで要約する方法)。
ステップ2:目的・読み手・出力形式を決める
要約の質はプロンプトの準備で9割決まる。以下の3点を事前に整理してからAIに入力する。
- 目的:何に使うか(上司への報告、関係部署への共有、回覧メールの添付、会議での説明、など)
- 読み手:誰が読むか(部長・担当者・取引先・全社員、など)
- 出力形式:どう出力するか(箇条書き3点・表形式・段落200字以内、など)
ステップ3:プロンプトを入力する
以下は事務・アシスタント業務での具体的なプロンプト例だ。
社内規程の改訂版を全社員向けに要約するプロンプト
以下のテキストは社内規程の改訂版(全文)です。
全社員への回覧メールに添付する「変更点のお知らせ」として、
以下の形式でまとめてください。
1. 改訂の背景(1〜2文)
2. 主な変更点(箇条書き5点以内。変更前・変更後の形式で記載)
3. 適用開始日
4. 社員が特に注意すべき点(1〜2点)
専門用語は平易な言葉に変換してください。
数字・日付・固有名詞は原文の表記をそのまま使ってください。
---
[ここに規程テキストを貼り付け]
取引先からの長文提案書を上司への報告用に要約するプロンプト
以下のテキストは取引先から届いた新サービスの提案書(全文)です。
担当役員への口頭報告(5分程度)の準備用として、
以下の形式でまとめてください。
1. 提案の概要(3文以内)
2. 自社へのメリット・コスト・条件(表形式)
3. 判断が必要な事項と期限
4. 不明点・要確認事項
数字はすべて原文の表記のまま使ってください。計算や推測は行わないでください。
---
[ここに提案書テキストを貼り付け]
ステップ4:出力を確認・修正する
AIの要約は出発点だ。日付・金額・担当者名・条件は原文と照合する。「専門用語を平易に」と指示した場合は意味が変わっていないかを確認する。
部分的に修正したい場合は「2番の変更点の箇所を原文に忠実に書き直してください」と具体的に指示する。全体をやり直さなくても部分修正ができる。
うまくいかない場合の対処法
要約が長すぎる・短すぎる
「200字以内」「箇条書き4点まで」のように字数や件数の上限をプロンプトに明示する。「重要度の高い順に」と優先順位を指定すると、さらに絞り込みがきく。
重要な情報が抜け落ちる
「必ず含める項目」をプロンプトに列挙する。「適用開始日と担当部署は必ず記載してください」のように、抜けてはいけない要素を明示する。
文脈が伝わっていない要約になる
資料の背景を一言添えると精度が上がる。「これは昨年12月の社内勉強会を経て改訂が決まった規程です」「この提案は3社コンペのうちの1社から届いたものです」といった情報をプロンプトの冒頭に加える。
資料が長すぎてAIが途中を読み飛ばす
章や節ごとに分割して要約し、最後にその要約を統合する方法を取る。「これは全4章のうち第1章です。後続の章も別に送ります」と明記しながら送ると、前後関係を保った要約になりやすい。
事務・アシスタント固有の活用場面
会議前の事前資料を「論点メモ」に変換する
会議の事前配布資料が長い場合、出席者全員が熟読できるとは限らない。資料全文をAIに貼り付け、「この会議で決定が必要な事項と、議論が予想される論点を箇条書きで整理してください。決定事項は○○○○に関する内容です」と入力すると、上司や出席者が会議前に確認するための論点メモが数分でできあがる。
議事録作成と組み合わせると、会議前の準備から終了後の記録まで一貫してAI支援できる。
複数部署から届いた報告書を1枚にまとめる
月末の業務報告やプロジェクト進捗報告が複数部署から届いた場合、それぞれの要点をAIで抽出してから統合する。各部署の報告書を順番に貼り付け、「この報告の要点を3点に絞ってください」と指示して個別要約を作成する。それが出揃ったら「以下の要約を統合して、経営会議向けの全社報告書のドラフトを作成してください」とまとめる。複数ファイルを扱う場合はNotebookLMが有効だ。
手順や書式が決まっている業務の場合、マニュアル化しておくと属人化を防げる(マニュアル作成)。
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よくある質問
事務・アシスタントの資料要約にどのAIツールが向いていますか?
議事録や報告書など文字の多い資料にはClaude ProかChatGPT Plusが向いている。複数ファイルを横断的に参照したい場合はNotebookLMが使いやすい。社内機密資料を扱う場合はエンタープライズ版や社内導入済みのツールを使う。
要約の精度が低いと感じたときにできることはありますか?
出力形式(箇条書き・表・段落)を明示する、読み手(上司・関係部署・取引先)を指定する、文字数上限を設ける、の3点を追加すると精度が上がりやすい。何を省いてよいかをプロンプト内で伝えることも有効だ。
資料が長すぎてAIに読み込めない場合はどうすればよいですか?
章や節ごとに分割して順番に送り、最後にそれらの要約を統合する方法を取る。「これは全5章のうち第2章です」と明記すると前後関係を保った要約になりやすい。
AIが要約した内容は確認が必要ですか?
必要だ。日付・金額・固有名詞は特に転記ミスが起きやすい。重要な数字や条件は原文と照合してから使う。外部報告や契約に関わる内容は人間が最終確認を行う。