総務のFAQをAIで作る方法
この記事の要点
総務が社内向けに作るFAQをAIで効率的に作成する手順を解説。問い合わせ記録からQ&Aを自動生成し、HTML・PDF・社内ポータルに展開するプロンプト例を紹介。
結論
総務への社内問い合わせは、同じ質問が繰り返される傾向があります。このパターンを活かして問い合わせ記録をAIに渡せば、FAQを数分で下書きできます。問い合わせ対応の時間を減らし、社員が自己解決できる環境を作るのに、AIは直接使えます。
AIでFAQを作るメリット
総務に届く問い合わせのうち、多くは毎年同じ時期に同じ内容が繰り返されます。年末調整の時期には「控除証明書の期限はいつですか」「マイナンバーの入力はどこからしますか」といった質問が毎年同数届きます。これらを事前にFAQとして公開しておけば、問い合わせ件数を減らせます。
FAQを手作業で作ると、Q&Aのペアを一つずつ書き起こす作業が必要です。AIを使えば、既存の問い合わせ記録から質問と回答のペアを自動的に抽出・整形できます。また、問い合わせ記録がない場合でも、AIが想定Q&Aを生成できます。
使うAIツール
FAQの作成には、テキストを整形・構造化する能力が必要です。
- Claude(Anthropic):長い問い合わせ記録のテキストを渡しても、構造的に整理して出力します。
- ChatGPT(OpenAI):テンプレートに沿った出力が得意で、繰り返し同じフォーマットで出力させるのに向いています。
- Gemini(Google):Googleドキュメントやスプレッドシートに直接FAQを出力させ、社内ポータルへの転記が楽になります。
社内承認済みのツールを選んでください。問い合わせ内容に個人名が含まれる場合は、AI に渡す前に匿名化します。
FAQを作る手順
ステップ1:素材を準備する
FAQのもとになる素材は主に3種類あります。
- 問い合わせ記録:メール・チャット・問い合わせフォームに蓄積した質問の履歴
- 既存の回答文書:過去に作った手順書・通知文・Q&A資料
- AIへの想定依頼:「この業務についてよくある質問を列挙してください」
最も精度が高いのは実際の問い合わせ記録を使う方法です。記録がなければ②か③から始めます。
問い合わせ記録を使う場合は、個人名・社員番号などの個人情報を「○○さん」「社員A」のように置き換えてからAIに渡します。
ステップ2:Q&Aを抽出・生成させる
問い合わせ記録からFAQを生成するプロンプト
以下は総務部に届いた問い合わせの記録です。よく繰り返されている質問をグルーピングし、Q&A形式のFAQを作成してください。
【出力フォーマット】
## カテゴリ名
**Q:質問文(疑問形)**
A:回答(完結した一文または箇条書き。制度の詳細は最新の公式資料を確認してほしいと添えること)
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【問い合わせ記録】
(ここに問い合わせ記録を貼り付ける)
問い合わせ記録がない場合(想定Q&Aを生成させる)
総務担当者として、年末調整の手続きについてよくある質問と回答を10問作成してください。
対象:全社員(経理・財務知識のない人を含む)
条件:
- 実際に社員が疑問に思いやすい質問にする
- 回答は短く、明日の手続きで使えるレベルにする
- 制度の数値(控除額・期限)は「最新は国税庁のサイトで確認してください」と注記する
【フォーマット】
Q:質問文
A:回答
ステップ3:カテゴリに分類して整理する
AIが生成したFAQをカテゴリ別にまとめます。カテゴリが多すぎると使いにくいため、5〜8カテゴリ程度に絞ります。
よくある分類例:
- 給与・勤怠
- 年末調整・税務
- 社会保険・健康保険
- 設備・備品
- 入社・退社手続き
- 就業規則・規程
分類はAIに任せることもできます。
以下のFAQを5〜7カテゴリに分類し、カテゴリごとにまとめてください。カテゴリ名も提案してください。
---
【FAQリスト】
(生成済みのFAQを貼り付ける)
ステップ4:内容を確認し、担当者が修正する
AIが生成した回答をそのまま公開しないことが重要です。特に次の点は必ず確認します。
- 手続きの期限・金額・窓口が現時点でも正しいか
- 社内規程や社内システムの最新の手順と一致しているか
- 「最新は公式で確認してください」が必要な箇所に付いているか
ステップ5:社内ポータルまたは文書に展開する
確認済みのFAQを社内ポータル(NotionやSharePointなど)に貼り付けるか、PDF化して配布します。AIに「社内ポータル向けにMarkdown形式で出力してください」と指定すると、貼り付けがそのまま使える形で出力されます。
総務での具体的な活用例
例1:年末調整FAQを毎年使い回す
年末調整の時期に届く問い合わせは毎年ほぼ同じです。一度AIでFAQを作ってしまえば、翌年は「今年度の変更点を踏まえてFAQを更新してください」という指示で最小限の修正で再利用できます。
典型的な質問例:
- 「生命保険料控除証明書はいつまでに提出しますか?」
- 「証明書をなくした場合どうすればよいですか?」
- 「iDeCoの掛金は年末調整で申請できますか?」
これらの質問に対する回答の骨格をAIに作らせ、担当者が期限・窓口・書式番号を具体的な数値で埋める方法が実用的です。
例2:新入社員向け入社手続きFAQを作成する
4月の入社シーズンには、手続きに関する問い合わせが集中します。入社案内に添付するFAQを事前に準備することで、問い合わせを分散させられます。
新入社員が入社手続き中に疑問を持ちやすい質問と回答のFAQを15問作成してください。
対象:社会人経験のない新卒者も含む
カテゴリ:住民票・マイナンバー・通勤経路・社会保険の手続き・PC・IDの発行
条件:
- 疑問の発生タイミング(入社前・初日・1週目)を各質問に付記する
- 手続きの具体的な数値や窓口は「(担当者が入力)」とプレースホルダーにする
プレースホルダーを使うと、担当者が数値と窓口情報を埋めるだけで完成するひな形になります。
FAQを定期的に更新する仕組みを作る
FAQは一度作って終わりにすると古い情報が残り、問い合わせが増える原因になります。更新の目安を決めておくと運用しやすくなります。
- 規程・制度改訂のタイミングで関連項目を更新する
- 年1回、問い合わせ記録と照合して古い質問を削除・統合する
- 新しい問い合わせが集中したら随時FAQに追加する
AIを使えば「問い合わせ記録から新しいFAQ候補を抽出してください」という作業を短時間で行えます。
うまくいかない場合の対処
生成されたQ&Aが抽象的すぎて使えない
プロンプトに「回答は具体的な行動(何を、誰に、どこへ)を含めてください」と加えます。抽象的な回答が来るのは、AIへの指示が曖昧な場合がほとんどです。
FAQが増えすぎて探しにくい
「以下のFAQから重複しているQ&Aをまとめ、項目数を現在の半分に削減してください」という指示で整理できます。削減の基準を「問い合わせ頻度が低いものを優先して削除」と指定すると、実用性を保ちながら絞り込めます。
回答の正確性に自信が持てない
「この回答で法律や制度の解釈を間違えていないか確認してください」という形でAIに検証を依頼できます。ただしAIは最新の法改正に対応していないことがあるため、社会保険労務士や法務担当者への確認が必要な項目は明示してください。
社内通知の作成については総務の社内通知をAIで作る方法を参照してください。社内規程の整備については総務の社内規程をAIで整備する方法に手順をまとめています。イベント前の案内作成については総務のイベント企画をAIで行う方法も合わせて読むと、FAQ活用のシーンが広がります。
よくある質問
AIで作ったFAQはそのまま社内ポータルに掲載できますか?
AIが生成したFAQは下書きとして扱い、内容の正確性・最新性を担当者が確認したうえで掲載してください。特に制度・規程・手続きに関わる回答は、根拠となる資料と照合する必要があります。
問い合わせ記録がない場合でもAIでFAQを作れますか?
「総務の〇〇業務についてよくある質問を10個生成してください」という形で、AIに質問を想定させることができます。ただし実際の問い合わせ傾向とズレる可能性があるため、作成後に現場担当者に確認すると精度が上がります。
FAQが増えすぎたとき、整理・統合にAIは使えますか?
「以下のFAQを整理し、重複するQ&Aをまとめてください」という指示で統合できます。カテゴリの再分類も可能です。