職種別AI仕事術

総務のアイデア出し・壁打ちにAIを使う方法

総務のアイデア出し・壁打ちにAIを使う方法

この記事の要点

社内イベント企画・規程改定の論点整理・設備刷新の検討など総務のアイデア出しと壁打ちをAIで効率化する手順を解説。具体的なプロンプトの型と、AIの出力を自社の判断につなげる使い方を説明する。

結論:AIを「最初の相談相手」にすると、論点の整理が速くなる

総務担当者が新しい企画や取り組みを考えるとき、最初の一歩が難しい。「社内イベントの企画を考えてほしいと言われたが何から始めればよいか」「就業規則を改定したいが、どんな点を検討すべきか整理できていない」「執務室のレイアウト変更を提案したいが、反対意見が出そうで進めにくい」といった場面は多い。

AIはこういった場面で「最初の相談相手」として使いやすい。上司や他部署に相談する前に、論点を整理したり、アイデアの候補を広げたり、反論に備えたりする作業をAIと行うことで、実際の相談がスムーズになる。

AIが出したアイデアは「自社に合うかどうか」の判断が必要だ。自社の文化・予算・意思決定のプロセスを知っているのは担当者本人なので、AIの出力は叩き台として扱う。

使うAIツールと使い分け

Claude(claude.ai) 論点整理や反論の想定など、文脈を維持しながら深掘りする壁打ちに向いている。前の会話を踏まえた追加の問いかけに対して一貫性を保ちやすい。

ChatGPT アイデアの列挙・企画の骨子作成・比較表の生成など、広くアイデアを出す用途に使いやすい。プロジェクト機能を使えば自社情報を一定期間記憶させておける。

どちらのツールも、社内の未公開情報・個人名・組織の詳細は入力しない。「中堅メーカー、事務系社員が中心、全国2拠点、従業員200名程度」のような抽象化した情報で代用できることが多い。

手順:AIとの壁打ちを業務に使う流れ

ステップ1:壁打ちのテーマを言語化する

「とりあえず相談したい」ではなく、以下を整理してからAIに話しかけると、使いやすい返答が返ってくる。

  • 今何を決めたいか・何を解決したいか
  • 現時点でわかっていること(制約・条件)
  • 自分が考えている方向性(仮案)

仮案がない場合は「まだ何も決まっていない。論点を整理するところから手伝ってほしい」と伝えてもよい。

ステップ2:壁打ちのプロンプトを送る

以下はそのままコピペして使えるプロンプト例だ。

社内イベント企画のアイデア出し

総務担当者として、社員向けのイベント企画を考えています。壁打ちに付き合ってください。

前提条件:
・会社規模:従業員150名程度、製造業、複数フロアにオフィス
・目的:部署間のコミュニケーション促進(最近リモートワーク導入後に交流が減ったとの声がある)
・予算感:1人あたり3,000〜5,000円程度
・時期:秋(10〜11月)の平日夕方または休日
・制約:全員参加は難しい(工場勤務者は交代勤務があり参加が難しい場合がある)

やってほしいこと:
1. この条件に合うイベントのアイデアを10案出してください
2. 各案について「準備の難易度」「参加のしやすさ」「目的達成への効果」を3段階(高/中/低)で評価してください
3. 私が見落としている検討すべき視点があれば追加してください

規程改定の論点整理

就業規則の副業・兼業に関する条項を改定することを検討しています。
まだ方向性が決まっていない段階なので、検討すべき論点を整理するのを手伝ってください。

現状:
・現行規程では副業・兼業を原則禁止している
・社員から「副業解禁してほしい」という声が出始めている
・経営層の方向性はまだ決まっていない

やってほしいこと:
1. 副業・兼業規程を検討する際に論点になりやすい事項を整理してください
2. 副業を認める場合と認めない場合それぞれの一般的なメリット・デメリットを整理してください
3. 副業を一部認める場合(条件付き許可)の条件設定で検討すべき事項を教えてください

注意:「副業を認めるべき」「認めるべきでない」の結論は不要です。
判断材料の整理だけお願いします。

設備投資の検討材料を整理する

オフィスの執務スペースにフリーアドレスを導入するかどうかを検討しています。
稟議書を作る前の段階で、検討すべき点を整理してください。

現状:
・現在は固定席制
・テレワーク導入後、空席になっている席が増えている
・スペース効率の改善を経営層から求められている

やってほしいこと:
1. フリーアドレス導入を検討する際に確認すべき事項を整理してください
2. 導入した場合に社員から出やすい反対意見と、その対応策を教えてください
3. 導入を先延ばしにするリスクと、導入した場合のリスクをそれぞれ整理してください

自社の状況に合わせて判断するための材料として使います。結論の提示は不要です。

提案書・稟議書の反論想定

以下の提案を上司・経営層に説明する前に、想定される反論と対応策を整理してください。

提案内容:
「社員証を現行の磁気カードから非接触ICカードに更新する。合わせて入退室管理システムを刷新する。費用は初期費用300万円、年間保守費用30万円。効果は入退室記録の自動化とセキュリティ向上。」

やってほしいこと:
1. この提案に対して出やすい反対意見・懸念を列挙してください
2. 各反論に対する回答の方向性を教えてください
3. 提案が通りやすくなるために追加すべき情報・データがあれば教えてください

実際の意思決定は自分で行うため、反論対応の材料として使います。

ステップ3:AIの出力を自社の状況に照らして判断する

AIが出したアイデアや論点は、以下の観点で自社の状況と照合する。

  • 自社の文化・慣習に合うか
  • 予算・人員・期間の制約に収まるか
  • 意思決定に必要な関係者を巻き込んでいるか
  • 法令・規程との整合性があるか

AIは「一般的に考えられる選択肢」を出せるが、自社の事情を判断に組み込むのは担当者の役割だ。

総務業務での具体的な使い場面

場面1:防災訓練の実施方法を検討する

年に1〜2回行う防災訓練の計画を立てる際に、「いつも同じ内容で形骸化している」という課題がある場合、AIと壁打ちして新しい形式を検討できる。

会社の防災訓練の計画を見直しています。アイデア出しに付き合ってください。

現状の課題:
・毎年同じ流れ(避難誘導→点呼→解散)で形骸化している
・社員の「本当に役に立つのか」という声がある
・建物の構造上、全員が一か所に集まる避難訓練が難しい

条件:
・従業員180名(本社)
・参加任意では参加率が下がる可能性がある
・平日の業務時間内に実施したい
・費用は最低限に抑えたい

やってほしいこと:
1. 参加意欲が高まる防災訓練の形式アイデアを5案出してください
2. 各案の実施の難易度と効果の見込みを評価してください
3. 「形骸化している」という課題に対して有効な要素を教えてください

イベント全体の企画の進め方については総務のイベント企画をAIで効率化する方法も参照してほしい。

場面2:慶弔見舞金規程の見直しで論点を整理する

慶弔見舞金の金額・対象範囲が「他社と比べてどうか」「時代に合っているか」を確認したうえで規程を見直す場面がある。担当者一人で考えると視点が狭くなりやすい。

慶弔見舞金規程を見直すにあたって、検討すべき論点を整理してください。

現状:
・現行規程は10年以上改定されていない
・結婚・出産・弔慰金などの種別と金額が規定されている
・「時代に合っていないのでは」という社員の声がある

やってほしいこと:
1. 慶弔見舞金規程を見直す際に一般的に論点になる事項を整理してください
2. 最近の傾向として変化している点(対象範囲の拡大・縮小など)の概要を教えてください
3. 見直しの際に注意すべき法的な観点(記載がある場合)と、会社側の裁量に委ねられる部分を区別してください

結論の提示は不要です。検討材料として使います。

規程の改定作業の進め方については総務の規程整備・改定をAIで効率化する方法も参照してほしい。

うまくいかない場合のポイント

AIのアイデアが一般的すぎて自社に使えない

前提条件に自社の特徴を加える。「業種・社員構成・組織の課題・これまでに試してうまくいかなかったこと」を追加すると、より具体的な提案が返ってくる。

アイデアが多すぎて絞れない

「この10案の中から、準備コストが低く、効果が期待できる3案を選んで、選んだ理由も教えてください」のように絞り込みの基準を追加する。または「各案のメリット・デメリットを1行ずつで比較してください」と表形式での比較を依頼する。

AIが断言することを避けすぎて使いにくい

「結論を出してほしいわけではなく、判断材料を整理してほしい」と伝え直す。または「あえて一つ推薦するとしたらどれですか、その根拠も含めて教えてください」のように推薦を求める形に変える。

壁打ちした後に実際の文書を作りたい

「この壁打ちの内容をもとに、稟議書の素案を作ってください」「検討した論点を会議資料の目次に変えてください」と続けて依頼できる。壁打ちで整理した情報が次の文書作成のインプットになる。

アイデア出し・壁打ちの用途別プロンプトの型

用途プロンプトに含めるべき情報
企画のアイデア出し目的・条件・制約・評価軸
論点の整理現状・検討の背景・結論の提示は不要という旨
反論の想定提案の概要・相手の立場・回答の材料として使う旨
設備・投資の検討現状の課題・制約・比較したい選択肢
規程の見直し現行規程の概要・変更の動機・法的観点と裁量の区別

壁打ちの結果を社内検討に使う

AIとの壁打ちで整理した論点・アイデア・反論対応は、そのまま社内の検討資料に使える素材になる。「AIとの壁打ちをもとに会議の議題を整理した」「稟議書に載せる検討事項をAIで洗い出してから作成した」という使い方が、総務の実務と組み合わせやすい。

壁打ちの記録を残しておくと、後で「なぜこの方針にしたか」の根拠を確認できる。特に規程の改定・設備投資・イベント方針などは、検討過程を記録することで説明責任を果たしやすくなる。

議事録の整理や会議メモの作成については総務の議事録作成をAIで効率化する方法も確認してほしい。

よくある質問

AIとの壁打ちはどんな場面に向いていますか?

「何から考えればよいかわからない」「見落としがないか確認したい」「反対意見を想定しておきたい」という場面に向いている。結論を出すのは人間だが、論点の整理と視点の追加をAIが担える。

AIのアイデアはそのまま使えますか?

そのまま採用するのではなく、自社の状況・文化・予算との照合が必要だ。AIは自社の事情を知らないため、出てきたアイデアが自社に合うかどうかは担当者が判断する。

社内向け企画でAIを使う際の注意点は何ですか?

社内の具体的な人名・組織の詳細情報・未公開の方針など、対外的に出してはいけない情報はAIに入力しない。「中堅メーカー、従業員200名」のような抽象化した情報で代用できることが多い。

AIのアイデアに偏りはありませんか?

AIは学習データに多く含まれる一般的な事例を出しやすい傾向がある。「これ以外に見落としやすい観点はありますか」と追加で問うと、初期の回答で抜けていた視点が出てくることがある。