職種別AI仕事術

総務の情報リサーチをAIで効率化する方法

総務の情報リサーチをAIで効率化する方法

この記事の要点

法改正・補助金・業者比較・社内規程の参考事例など、総務が日常的に行う情報収集をAIで効率化する手順を解説。調査のプロンプト例と、AI情報の確認が必要な場面の判断基準を具体的に説明する。

結論:AIを「調査の出発点」として使うと、リサーチ時間が大幅に短くなる

総務の業務には調べ物が多い。年金や健康保険の制度変更、設備投資に使える補助金の有無、清掃・警備業者の相場感、他社の就業規則でどう規定しているかの参考事例など、担当者が一から調べると半日かかることもある。

AIを使うと、「今調べたいテーマの概要・関連する制度・調べるべき窓口」を数分で整理できる。正確な最終確認は公式情報で行うことが前提だが、「何を調べればよいか」「どこを見ればよいか」の方向付けにAIを使うことで、調査全体の時間が短くなる。

使うAIツールと使い分け

チャット型AI(Claude・ChatGPT) 概要の把握・制度の解説・調査の方向付けに使いやすい。「この制度の概要と、確認すべき公式窓口を教えてください」という使い方が向いている。

Perplexity 回答にウェブ検索の結果を引用してくれるAIサービスで、情報の出典を確認しながら調べる用途に向いている。最新のニュースや制度変更の概況を調べる場合に、出典リンクとセットで確認できる点が便利だ。

ChatGPT(検索機能が有効な場合) インターネット検索と組み合わせた機能を使えるプランでは、最新情報を参照した回答が返ってくる。ただしAIの検索は完全ではないため、重要な情報は公式サイトで確認する。

どのツールを使う場合も、「AIが示した情報は出発点」として扱い、法令・補助金・規制に関わる情報は公式情報源で最終確認する。

手順:AIで情報リサーチを行う流れ

ステップ1:調査の目的と知りたいことを整理する

AIに質問する前に、以下を明確にする。

  • 何を決めるための調査か(制度の対応要否を判断したい・業者選定の参考にしたいなど)
  • 知りたいのは概要か、具体的な要件・条件か
  • 調査結果を誰にどう使うか(稟議材料・社内通知・社員への説明など)

これを整理しておくと、AIへの質問が具体的になり、使いやすい回答が返ってくる。

ステップ2:調査のプロンプトを送る

以下はそのままコピペして使えるプロンプト例だ。

法改正・制度変更の概要を把握する

以下のテーマについて、総務担当者として知っておくべき概要を教えてください。

テーマ:育児介護休業法の改正(直近の改正内容)

知りたいこと:
1. 変わった主な内容(3〜5点で箇条書き)
2. 企業側が対応を求められる事項
3. 施行時期(わかる範囲で)
4. 詳しく確認すべき公式情報源(省庁・機関名とURL)

注意:確実でない情報は「要確認」と記載してください。
最新の施行状況は公式情報源で確認する必要があることを前提として回答してください。

補助金・助成金の種類を調べる

中小企業の総務・管理部門として、以下の課題に使える補助金・助成金の種類を教えてください。

課題:社員の健康管理施策の導入(ストレスチェックの充実・健康診断の拡充)

知りたいこと:
1. 関連する補助金・助成金制度の名称と概要
2. 申請できる主体の条件(企業規模・業種など)
3. 情報の出典・問い合わせ先(機関名)

注意:申請要件・金額・締切は頻繁に変わるため、概要のみの回答で構いません。
最終確認は公式サイトで行います。

業者選定の参考情報を集める

オフィスビルの清掃業者を見直す際に、発注先を比較するために知っておくべき情報を教えてください。

知りたいこと:
1. 清掃業者を比較する際の主な確認項目(品質・費用・体制・実績など)
2. 一般的な契約形態(定期清掃・スポット対応の種類)
3. 見積もりを依頼するときに仕様書に含めるべき項目
4. 業者選定でよくある失敗とその対策

対象規模:従業員100名程度のオフィスビル(フロア面積500㎡程度)

他社の取り組み・規程の参考事例を調べる

テレワーク勤務規程を整備する際に参考にできる、一般的な規程の構成と主な記載事項を教えてください。

知りたいこと:
1. テレワーク勤務規程に通常含まれる章立て・条項
2. 特に記載が求められる事項(労働時間管理・費用負担・情報セキュリティ)
3. 就業規則との関係(規程間の整合性で注意すべき点)
4. 規程整備の参考になる公的な情報源

法律上の要件として明確なものと、企業ごとの裁量に委ねられるものを区別して説明してください。

ステップ3:出力を確認し、必要な追加調査を特定する

AIの回答が出たら、以下の点を確認する。

  • 法令・制度に関する情報は、示された公式情報源で確認する
  • AIが「〜とされています」「〜の可能性があります」と表現している部分は、確定情報でない可能性がある
  • 補助金・助成金の要件・締切は特に変化が早いため、必ず公式サイトを確認する

AIが示した情報をメモとして保存しておき、公式確認後に「確認済み」「要確認」「情報古い」のフラグをつけておくと、調査結果の管理がしやすい。

総務業務での具体的な使い場面

場面1:社員から「育休を取りたい」と相談を受けて制度を確認する

社員から育休・産休の相談を受けたとき、最新の法制度と自社規程の両方を確認する必要がある。総務担当者が法律の専門家でない場合、「今の法律では何ができるか」を把握するための基礎知識をAIで素早く整理できる。

育児休業制度について、社員から相談を受けた総務担当者として知っておくべき概要を教えてください。

知りたい内容:
1. 現在の育児休業制度で取得できる主な休業の種類と期間の概要
2. 男性社員が取得できる制度の概要
3. 会社側に義務付けられている対応(周知・環境整備など)
4. 詳しい内容を確認するための公式情報源(厚生労働省など)

注意:制度の細部や最新の改正状況は、厚生労働省の公式情報で確認します。
概要の説明に留めてください。

この回答をベースに厚生労働省の公式ページで確認してから、社員への回答と規程の整合性確認に進む。規程の確認・改定作業については総務の規程整備・改定をAIで効率化する方法も参照してほしい。

場面2:社員向けの節電・環境対応の通知に向けて情報収集する

省エネ法の対応義務や環境報告の要件は定期的に変わる。「うちの規模の会社に何か義務があるか確認したい」という場面でAIを使って調査の出発点を作る。

中小企業(従業員150名、オフィス業務中心)として、省エネ・CO2削減に関連して対応が必要な可能性のある法令・制度の概要を教えてください。

知りたい内容:
1. 中小企業に関係する可能性がある省エネ関連の法的要件の概要
2. 対応が義務か任意かの区分(わかる範囲で)
3. 情報確認先(省庁・機関名)

前提:専門家への相談前の情報収集目的です。確実でない内容は「要確認」と記載してください。

この調査結果を持って省エネ法の所管部署(経済産業省)のサイトで詳細を確認することで、専門家への相談準備にもなる。

うまくいかない場合のポイント

AIの回答が古い・実態と違う

AIは学習データの時点以降の変化を反映していない。「〜年以降に改正されているか」「最新の状況はどうか」という確認は、AIの回答をもとに公式サイトで行う。回答に「〜年時点での情報です」と書いてある場合は特に注意する。

回答が概括的すぎて使いにくい

「概要を教えてください」だと幅広い説明が返ってくる。「〇〇の場合に△△への対応義務があるか、Yes/Noと根拠を教えてください」のように、具体的な条件と知りたいことを絞り込んで質問する。

AIが確信を持って間違いを答える場合がある

特に法令・制度・補助金の具体的な数値(金額・日数・対象要件)は、AIが自信を持って答えていても間違っている場合がある。これらは必ず公式情報源で確認する習慣をつける。

調査結果をどう整理するか困る

調査内容が多い場合は、AIに「調査した内容を整理してください」と依頼することもできる。「確認済みの事実」「要確認の事項」「公式確認先のリスト」の3列に整理するよう指示すると、次のアクションが見えやすくなる。

情報リサーチの用途別プロンプトの型

調査の種類プロンプトに含めるべき指示
法改正の概要把握変更点・施行時期・対応事項・公式確認先
補助金・助成金の調査課題の概要・対象規模・概要のみ求める旨
業者比較の参考比較項目・自社の規模条件・選定での注意点
規程の参考事例章立て・法的要件と裁量部分の区別
社員への説明準備専門知識がない前提・わかりやすい説明

調査した情報をもとに社員への通知や稟議書を作成する流れについては総務の社内通知メールをAIで作成する方法も確認してほしい。会議での報告に使う議事録・メモの整理については総務の議事録作成をAIで効率化する方法も参照してほしい。

よくある質問

AIが教えてくれた法律の情報は正確ですか?

AIは法令の概要や解説を示せるが、最新の改正内容や施行状況は学習データの時点までしか反映していない。法律・規制に関する情報は、e-Gov(電子政府の総合窓口)や官公庁の公式サイトで必ず確認する。

補助金の情報をAIで調べることはできますか?

補助金の概要や種類についてはAIが説明できる。ただし補助金の申請要件・締切・採択状況は頻繁に変わるため、中小企業庁・経済産業省などの公式サイトで最新情報を確認する必要がある。

競合他社の情報をAIで調べることはできますか?

公開情報をもとにした分析はAIが行えるが、AIが持つ情報には時間的な制約がある。最新の競合動向は、AIの出力をベースに公式サイト・プレスリリース・業界紙で裏付けを取る方法が実用的だ。