職種別AI仕事術

総務が長い資料をAIで要約するコツ

総務が長い資料をAIで要約するコツ

この記事の要点

法改正通達・業者提案書・社内規程など総務に届く長文資料をAIで要約する手順を解説。要約精度を上げるプロンプトの書き方と、会議資料・共有メモへの展開方法を具体例付きで説明する。

結論:要約の目的と読み手を伝えれば、使える要約が出る

総務部門には毎月のように長文資料が届く。官公庁から来る法改正通達、業者から届く提案書、他部署が作った社内規程の改定案、保険会社から送られてくる約款の更新通知など、読むだけで時間がとられる資料ばかりだ。

AIを使えば、こうした資料の要旨を数分で把握できる。ただし「要約して」だけでは、総務の実務に使いにくい出力が返ってくることが多い。プロンプトに「要約を使う目的」「読む人の立場」「省略してはいけない情報」を加えると、業務で直接使える要約が出るようになる。

使うAIツールと選び方

要約作業に使いやすいAIツールは3つある。

Claude(claude.ai) 長文の読み込みに強く、文脈を保ったまま要約する精度が高い。PDFを直接アップロードできる。プロ版(Claude.ai Pro)なら200ページ超のPDFも読み込める。法令文書や契約書など、正確な読み取りが求められる資料の要約に向いている。

ChatGPT(Plus以上) 同様にPDFのアップロードが可能で、要約後に「この条件の例外はありますか」のような追加質問ができる。長文資料を読んでから質問を重ねる使い方に向いている。

Microsoft Copilot Microsoft 365に統合されているため、WordやOutlook内の文書をそのまま要約できる。社内資料を社外AIに送り出さずに処理できる点が強みで、個人情報や機密情報を含む文書の要約に適している。

手順:長い資料をAIで要約する流れ

ステップ1:資料の種類と要約の目的を決める

要約を始める前に、以下の2点を整理する。

  • 誰が読む要約か:自分用のメモか、上司への報告か、社員への通知か
  • 何を知りたいか:対応が必要な事項か、変更点のみか、全体の概要か

この2点が決まると、プロンプトに必要な情報が整理できる。

ステップ2:資料をAIに渡す

PDFはアップロードする。WordやExcelはコピーして貼り付けるか、PDFに変換してアップロードする。テキスト形式に変換できる資料は変換してから渡す方が、AIの読み取り精度が安定する。

画像スキャンのPDF(テキストが埋め込まれていないもの)は、AIが読み取れない場合がある。そのときはOCRツールでテキスト化してから渡す。

ステップ3:要約プロンプトを送る

以下はそのままコピペして使えるプロンプト例だ。

法改正通達の要約(担当者向け)

アップロードした資料を要約してください。

この資料を読む人:総務担当者(法律の専門家ではない)
要約を使う目的:社内での対応内容を確認し、必要な手続きを洗い出すこと

以下の点を必ず含めてください。
1. 改正内容の概要(何が変わるか)
2. 施行日・適用開始日
3. 自社が対応しなければならない事項
4. 対応しなかった場合のリスク(記載がある場合)

省略してはいけない情報:具体的な数値(罰則金額・期日・対象人数の基準など)

500字以内でまとめてください。判断が不確かな部分は「確認が必要」と記載してください。

業者提案書の要約(稟議検討用)

アップロードした提案書を要約してください。

要約を使う目的:稟議書の検討材料として総務部長に提示する
読む人の立場:コスト感と実務上の懸念を重視する管理職

以下の構成でまとめてください。
1. 提案の概要(何をするか、目的は何か)
2. 費用(初期費用・月額費用・契約期間)
3. 自社側の対応が必要な作業
4. 提案書に記載されているリスクや注意事項
5. 他社との比較情報(記載がある場合)

数値は正確に転記してください。記載がない項目は「記載なし」と明示してください。

ステップ4:要約を確認・修正する

AIが出した要約は必ず元資料と照合する。特に以下の点を確認する。

  • 施行日・期日の数値が正確か
  • 「以上」「未満」などの条件が正しく反映されているか
  • 「対象外」の条件が省略されていないか

数値や条件の取り違えは、社内通知で誤情報を流すことにつながる。要約はドラフトとして扱い、確認を経てから使う。

総務業務での具体的な使い場面

場面1:健康保険・社会保険の制度改正通達を社員向けに要約する

年に数回届く社会保険関係の通達は、法令文書特有の言い回しが多く、読むのに時間がかかる。「社員に知らせなければならない変更点」だけを抜き出す作業が手間だ。

AIを使って以下のように処理する。

アップロードした社会保険の通達文書を整理してください。

対象読者:社員全員(法令の専門知識がない人)
目的:社内通知メールに使える内容の抽出

以下の点だけを抜き出してください。
- 社員が知っておくべき変更点(手続きや給与計算への影響)
- 変更の適用開始時期
- 社員側で必要な手続き(ある場合)

法令の条文番号・根拠規定の記載は省略してください。
社員が混乱しそうな点があれば「補足:」として追記してください。

この出力をベースに社内通知のメール文面を作成する流れとつなげると、通達を受け取ってから通知するまでの時間が大幅に短くなる。社内通知メールの作成方法については総務の社内通知メールをAIで作成する方法も参照してほしい。

場面2:設備管理関連の業者提案書を比較検討用に要約する

空調設備や防火設備の点検・保守契約など、複数の業者から提案書が届く場面では、各提案書の比較ポイントをそろえて整理する作業が必要になる。提案書の構成が業者ごとに違うため、読み比べだけで時間がとられる。

アップロードした設備保守の提案書を、他社比較に使える形式で整理してください。

比較したい項目:
- 年間費用(税込・税抜)と費用に含まれる作業内容
- 点検の頻度と作業内容の詳細
- 緊急対応時の対応時間と費用
- 契約期間と解約条件
- 保証内容と免責事項

各項目ごとに「記載あり:〇〇」または「記載なし」の形式で出力してください。

この要約を複数業者分作成してからExcelに転記すると、比較表の作成が効率化できる。

うまくいかない場合のポイント

要約が長すぎて使いにくい

プロンプトに「300字以内」「箇条書き5点以内」などの制約を加える。制約がないと、AIは安全側に倒して情報量を多めにする傾向がある。

重要な数値が省略されている

「省略してはいけない情報:金額・期日・対象者の条件」のように、保持してほしい情報を明示する。または要約後に「この要約から数値をすべて抜き出してください」と追加で依頼する。

資料が長すぎてAIが処理できない

200ページを超える資料や複数の添付ファイルは、章ごとに分けて渡す。「第1章の要約をしてください」「第2章の要約をしてください」と順番に処理してから、「これらの要約をまとめて全体の要約を作ってください」とつなげる。

スキャンPDFが読み取れない

テキストが画像として埋め込まれているPDFはAIが読み取れない。Adobe AcrobatまたはMicrosoft 365のOCR機能でテキスト化してから渡す。

要約プロンプトのテンプレートを蓄積する

総務に届く資料のパターンは繰り返しが多い。法改正通達・業者提案書・保険約款の更新・社内稟議の回覧など、資料の種類ごとにプロンプトのひな形を作って保存しておくと、次回から貼り付けるだけで使える。

チームで共有しておけば、担当者が変わっても同じ品質の要約ができる。プロンプトのひな形と共に「確認が必要な項目」もチェックリスト化しておくと、要約の品質が担当者によって変わらなくなる。

PDFを直接アップロードして要約する方法については総務がPDF資料をAIで要約する方法も参照してほしい。規程の整備や改定作業にAIを使う方法については総務の規程整備・改定をAIで効率化する方法も確認してほしい。

要約の精度を上げる指示の型

資料の種類プロンプトに加えるべき指示
法改正通達施行日・対応事項・罰則を省略しない
業者提案書費用の内訳・契約条件を正確に転記
社内規程の改定案変更前と変更後の差分を対比形式で
議事録・会議資料決定事項・継続検討事項・担当者を分ける
保険約款の更新保証範囲の変更点と除外条件を強調

要約の目的が明確であるほど、使いやすい出力になる。「誰が何のために使うか」を最初の一文に入れる習慣をつけると、要約の質が安定する。

よくある質問

AIが要約した内容をそのまま上司に提出してよいですか?

そのまま提出することは避けるべきだ。AIは長文を圧縮する過程で条件・例外・数値を省略することがある。必ず元資料と照合して、重要な数値や期日が正確かを確認してから使う。

100ページ以上のPDF資料でも要約できますか?

AIツールによって読み込めるページ数の上限がある。Claude(claude.ai)は最大200〜300ページ程度のPDFを読み込めるが、長い資料は章ごとに分けて渡す方が精度が上がる。

要約の精度を上げるにはどうすればよいですか?

「この資料を読む人は〇〇の担当者で、知りたいのは〇〇の点だ」というように、要約を使う目的と読む人の立場をプロンプトに加えると、必要な情報が選ばれた要約が出る。

要約してほしくない部分を残すことはできますか?

「第3章の数値は全て残してください」「期日と担当部署の記載は省かないでください」のように、省略してはいけない情報を明示すると、その部分を保持した要約が出る。