職種別AI仕事術

人事のExcel作業をAIで自動化する方法

人事のExcel作業をAIで自動化する方法

この記事の要点

採用管理・勤怠集計・評価シートなど人事部門が日常的に使うExcel作業をAIで効率化する手順を解説。関数作成・VBAコード生成・データ整形の自動化まで、コピペ可能なプロンプト付き。

結論:Excelの操作を言葉で指示できるようになれば、手作業の時間が半分以下になる

人事部門がExcelで行う作業には、採用管理シートの集計・評価点の部署別平均算出・勤怠データの加工・研修受講率の集計など、パターン化された繰り返し作業が多い。毎月同じ集計をピボットテーブルで組み直したり、VLOOKUPがエラーになるたびに列構成を確認したりする時間は、本来の人事業務に使えるはずの時間だ。

AIを使うと、「A列に社員番号、B列に部署名、C列に評価点がある。部署別の平均評価点と最高・最低点を別シートに出したい」のように話し言葉で伝えれば、対応するExcel関数やVBAコードが出てくる。Excelの操作知識が浅くても使えるし、ベテランでも複雑な処理の時間短縮になる。

使うAIツールと使い分け

Excelの自動化・効率化には3つの方法がある。

数式・関数の作成(チャット型AI) ChatGPT・Claudeにデータ構造と目的を説明すると、対応する数式を出してくれる。XLOOKUP・COUNTIFS・SUMPRODUCT・IFSなど複雑な組み合わせも自然言語で依頼できる。

VBAコードの生成(チャット型AI) 繰り返し作業を自動化するVBAマクロをAIに書いてもらう。「毎月のシートを自動生成して、集計値を転記するマクロ」のような処理を依頼できる。Excelの「開発」タブからVBAエディタに貼り付けて実行する。

Excel内でのAI操作 Microsoft 365に統合されたMicrosoft Copilotを使うと、Excel内のデータに対して「部署別の平均を出して」「このデータをグラフ化して」と直接話しかけて操作できる。個人情報を含むデータも社内環境内で処理できる点が強みだ。

手順:Excel作業をAIで効率化する流れ

ステップ1:やりたいことをデータ構造と一緒に整理する

AIに依頼するとき、「Excelで採用管理がしたい」ではなく「Excelのどのデータに対してどんな処理をしたいか」を具体的に伝える。以下の要素を整理する。

  • シートの構成(何が何列にあるか)
  • やりたい処理の目的(どんな結果が欲しいか)
  • 出力の場所(同じシートか、別シートか)

個人情報を含む実際のデータは貼り付けず、データ構造だけを説明する方法で対応する。

ステップ2:数式を依頼する

以下はそのままコピペして使えるプロンプト例だ。

採用管理シートでの条件別カウント

Excelで採用管理をしています。シートの列構成は以下のとおりです。

A列:応募番号
B列:応募経路(リクナビ、マイナビ、エージェント、リファラル、その他)
C列:選考ステータス(書類通過、一次通過、二次通過、内定、辞退、不採用)
D列:職種
E列:応募日(yyyy/mm/dd形式)

やりたいこと:
1. 応募経路別・選考ステータス別の人数をカウントするCOUNTIFS関数
2. 今月(当月)の応募者数のみをカウントする数式
3. 職種別・内定承諾数をカウントする数式

Sheet2のG3セルから入力する想定で、数式を教えてください。

評価データの集計

Excelで評価集計をしています。

A列:社員番号(仮ID)
B列:部署コード
C列:評価者コード
D列:目標達成評価(S/A/B/C/Dの5段階)
E列:行動評価(同上)
F列:総合評価(同上)

やりたいこと:
1. 別シートに部署コード別の評価分布表を作る(S〜D各段階の人数と割合)
2. 部署別の平均評価を数値化して比較する(S=5, A=4, B=3, C=2, D=1に変換)

INDEX/MATCHまたはXLOOKUPを使った集計方法と、数値変換の方法を教えてください。

ステップ3:VBAマクロを依頼する

繰り返し発生する作業はVBAで自動化できる。以下は採用管理で使いやすいVBA依頼のプロンプト例だ。

ExcelのVBAマクロを作成してください。

目的:
毎月の採用進捗レポート用にデータを集計して別シートに転記する処理を自動化したい。

データの構造:
- Sheet1「採用データ」:応募番号・応募経路・ステータス・職種・応募日が入っている
- Sheet2「月次集計」:月別・応募経路別の集計表(すでに行・列のラベルは入っている)

処理の流れ:
1. Sheet1のデータから今月分(D列の月が現在の月と一致する行)を絞り込む
2. 応募経路別にステータスごとの件数を数える
3. Sheet2の該当セルに値を書き込む

注意:個人情報(実際の名前・連絡先)はデータに含まれていない。
マクロ実行前に確認ダイアログを出す処理を入れてほしい。

生成されたVBAコードはテスト用のバックアップファイルで先に動作確認する。削除・上書き処理が含まれる場合は特に注意が必要だ。

ステップ4:エラーの解決を依頼する

数式がエラーになったとき、エラーの種類と数式をAIに伝えると原因と修正方法を教えてもらえる。

ExcelのVLOOKUP関数で#N/Aエラーが出ています。

使っている数式:
=VLOOKUP(A2, 採用データ!$A:$C, 2, FALSE)

状況:
- A2セルには社員番号が入っている
- 採用データシートのA列にも社員番号がある
- 一部の行だけエラーになる

考えられる原因と修正方法を教えてください。

人事業務での具体的な使い場面

場面1:研修受講管理シートの整形と集計

人事研修の受講記録は、複数の部署から集めたExcelファイルが同じ形式になっていないことがある。列の順序が違う・表記揺れがある(「営業部」「営業」が混在する)・空白行が混じっているといった問題を、手作業で整えると数時間かかる。

AIを使うと整形用のVBAまたはPower Queryの手順を出してもらえる。

Excelデータの整形方法を教えてください。

問題:
複数部署から集めた受講記録Excelが以下の問題で統一されていない。

1. 「部署名」列の表記揺れ(「営業部」「営業」「営業部門」など)→ 正式名称のマスタに統一したい
2. 「受講日」列の形式が混在(yyyy/mm/dd、yyyy-mm-dd、m月d日)→ yyyy/mm/dd に統一したい
3. 空白行・ヘッダーの重複→ 削除したい

VBAまたは関数でまとめて処理する方法を教えてください。

研修の企画・資料作成にAIを使う方法については人事の研修準備をAIで効率化する方法を参照してほしい。

場面2:面接評価シートの集計と候補者比較

複数の面接官が記入した評価シートを集めて、候補者ごとに合計点・平均点を出し、項目別に比較する作業は手作業だと面倒だ。評価シートに個人名が入っているため、社外AIへの直接アップロードは避ける。

この場合、実際のデータの代わりにデータ構造だけをAIに説明して数式を作ってもらい、その数式を自分でExcelに入力する方法を使う。

面接評価シートの集計に使うExcel数式を作ってください。

シートの構造:
- Sheet1「評価入力」:行が候補者ID、列が評価項目(コミュニケーション/論理的思考/専門知識/熱意/各5点満点)、面接官ごとに複数行ある
- Sheet2「候補者比較」:候補者IDをキーに、各評価項目の平均点と合計点を表示したい

AVERAGEIF・SUMIF を使った集計数式を教えてください。
面接官が3人いる場合の扱い方も含めてください。

面接設計全体のAI活用については人事の面接設計にAIを活用する方法も確認してほしい。

うまくいかない場合のポイント

数式を入力してもエラーが出る

AIが出した数式は、自分のExcelのバージョン・列構成・セル参照に合わせて調整が必要なことがある。エラーが出たらエラーの種類(#N/A、#VALUE!など)と使っている数式をAIに再送して修正を求める。

VBAを実行しても動かない

「開発」タブが表示されていない場合はExcelの設定で有効化する必要がある。マクロのセキュリティ設定でブロックされている場合もある。AIに「VBAを実行するための設定手順も教えてください」と追加依頼する。

複雑な処理になるほど指示が難しい

複数の処理を一度に依頼すると、AIが意図を取り違えることがある。「データを整形する処理」「集計する処理」「別シートに転記する処理」を分けて順番に依頼し、各ステップで動作確認してから次に進む。

思い通りの結果にならない

AIが出した数式・コードで意図した結果にならない場合は、「期待していた結果は〜ですが、実際の出力は〜です」と伝える。期待値と実際の差を示すと、修正の精度が上がる。

Excel自動化のテーマ別プロンプトの型

やりたいことプロンプトに含めるべき情報
条件別カウント列の構成・条件の内容・出力セル
複数条件の集計絞り込む条件・集計対象列・比較先
シート間の照合各シートのキー列と参照したい値
データ整形の自動化問題の内容・理想の形式・対象列
毎月の定型集計処理の流れ・シート構成・出力先

採用データの分析と活用については人事のデータ集計・分析をAIで行う手順も参照してほしい。

再利用できるプロンプトとして保存する

Excel作業の自動化で使ったプロンプトは、毎回ゼロから書かずに済むようにドキュメント化しておく。「採用進捗集計用プロンプト」「研修受講率集計用プロンプト」のようにテーマ別に保存しておけば、次回は貼り付けるだけで使える。

チームで共有しておけば、担当者が変わっても同じ品質のExcel作業ができる。手順書やマニュアルにプロンプトを組み込むと、引継ぎの説明コストも下げられる。

よく使う関数の依頼例を追加で紹介する

勤続年数・年齢の自動計算

採用管理や在籍者リストで、生年月日や入社日から年齢や勤続年数を計算する数式は覚えていなくてもAIに依頼できる。

Excelで以下の計算をしたいです。

A列:生年月日(yyyy/mm/dd形式)
B列:入社日(yyyy/mm/dd形式)
C列:本日時点の年齢(歳)
D列:本日時点の勤続年数(年と月で表示、例:「3年4ヶ月」)

C列とD列に入力する数式を教えてください。
うるう年の扱いも考慮してください。

複数シートを集計する数式

各部署からバラバラに届いたシートを集計するとき、3D参照や別シート参照の数式をAIに作ってもらえる。

Excelで複数シートの合計を1つのシートに集計したいです。

シート名:営業部、開発部、管理部(同じ形式のシートが3つ)
各シートのC5セルに「今月の残業時間合計」が入っている

集計シートのB2セルに、3シートのC5合計を表示する数式を教えてください。
また、シートが追加された場合に対応しやすい設計についてもアドバイスしてください。

ExcelのVBA以外の自動化手段

VBAに加えて、最近の業務効率化で使われている自動化手段をAIと組み合わせる方法もある。

Power Query(データの整形・統合) 複数のExcelやCSVファイルを定期的に結合する処理はPower Queryで自動化できる。「Power Queryを使って、毎月フォルダに追加されるCSVを自動でまとめる手順を教えてください」と依頼すると、設定の手順が出てくる。

Microsoft Power Automate(繰り返し作業の自動化) 「毎週月曜日に採用管理シートをメール添付する」「フォームの回答をExcelに自動追記する」といった繰り返し処理はPower Automateで設定できる。AIに「Power Automateでこの処理を自動化する手順を教えて」と聞くと、設定の流れが確認できる。

これらはVBAよりも設定が視覚的でわかりやすく、コーディング経験がない人でも取り組みやすい。どの方法が自分の課題に合うかをAIに相談するだけでも、選択肢の整理になる。

エラー対処を自分でできるようになる

ExcelのエラーをそのたびにAIに聞くのではなく、よく出るエラーの原因パターンを把握しておくと対処が速くなる。

エラー主な原因確認ポイント
#N/A検索値が見つからない表記揺れ・全角半角・末尾スペース
#REF!参照セルが削除された数式の参照先を確認
#VALUE!数値のはずのセルに文字が入っているデータ型の確認
#DIV/0!ゼロ除算分母がゼロになるケースの除外処理
####(####)列幅が狭い列幅を広げる

これらのパターンを覚えておけば、AIに聞く前に自分で解決できるケースが増える。解決できない場合は「#N/Aエラーが出ている数式と状況」をAIに説明すると、ピンポイントのアドバイスが返ってくる。

Excelの自動化を進める優先順位の考え方

すべての作業を自動化しようとすると、設定の手間がかかりすぎることがある。以下の基準で優先順位をつけると効率的だ。

  1. 毎月必ず発生する作業:月次レポート・採用進捗集計・残業時間集計など
  2. ミスが許されない作業:給与計算の集計確認・評価点の転記など
  3. 複数担当者が行う作業:引継ぎが多い業務は自動化で品質を揃えられる

頻度が低い・一時的な作業は手動で行い、繰り返す作業だけをAIで自動化する判断が実用的だ。

採用データを分析して人事施策に活かす方法については人事のデータ集計・分析をAIで行う手順も参照してほしい。

よくある質問

ExcelのVBAコードをAIで生成してもらった場合、そのまま使えますか?

生成されたコードは動作確認が必要だ。テスト用ファイルで先に実行して意図した動きをするか確認する。特に削除・上書き処理を含むコードはバックアップを取ってから使うこと。

AIにExcelの数式を作ってもらうにはどうすればよいですか?

「Excelで〜をしたい。A列に〜があり、B列に〜がある。C列に〜を表示したい」のように列の構成と目的を伝えると、対応する数式を出してもらえる。VLOOKUP、INDEX/MATCH、COUNTIFS、IFSなどを使い分けた数式を自然言語で依頼できる。

AIがExcelのエラーを解決してくれますか?

エラーの内容(#N/A、#REF!、#VALUE!など)と使っている数式を伝えると、原因と修正方法を教えてもらえる。スクリーンショットを貼り付けられるAIツールならば、画面を見ながら回答を得られる。

個人情報を含む採用管理Excelをそのままアップロードしてよいですか?

氏名・連絡先・評価など個人情報を含むファイルは社外のAIサービスに直接アップロードしてはならない。データ構造だけを文章で説明する方法か、Microsoft CopilotなどOffice統合型のAIを使う。