マーケティングの用語集をAIで作る方法
この記事の要点
AIを使えばマーケティング用語集を1〜2時間で作れる。新人向けオンボーディング・社内共有・顧客向け資料など用途別のプロンプトと品質を上げる手順を解説する。
結論
マーケティングの用語集をAIで作ると、ゼロから書き起こす手間がなくなる。用語名をリストで渡して「説明文を書いて」と頼むだけで、定義・使用例・関連用語まで揃った下書きが出る。新人向けのオンボーディング資料、営業チームへの共有資料、顧客向けの説明資料のいずれにも使える。
マーケターが用語集を作る場面は多い。キャンペーン施策の共有時に「GTMとはなにか」「CPAとCPCの違いは」という質問が繰り返されるため、一度用語集を整備すると問い合わせが減る。また新メンバーが入ったとき、社内で使われているマーケ用語の意味を確認できる資料が手元にあると立ち上がりが速くなる。
使うAIツール
用語集の生成には、統一フォーマットで複数項目を出力できるツールが向く。
ChatGPT(GPT-4o):「表形式で出力」「用語・定義・使用例の3列」など書式指定を正確に守って出力しやすい。用語数が多い場合もフォーマットが崩れにくい。
Claude(Anthropic):説明文の自然さと情報量のバランスが取りやすい。「初めてマーケティングを学ぶ人向けに、わかりやすく書いて」という指示に対して適切なレベルで書いてくれる。
Notion AI:Notionを社内wikiとして使っているチームは、用語集ページを直接Notion上で生成できる。用語のデータベース化と組み合わせるとメンテナンスが楽になる。
手順
ステップ1:用途と読み手を決める
同じ「マーケティング用語集」でも、読み手によって説明の深さと言葉が変わる。
- 新入社員向け:業界用語も専門用語も知らない前提。ビジネス用語は使えるが、英略語は読み仮名と意味を丁寧に説明する
- 他部署(営業・開発)向け:マーケ固有の概念(CVR・LTV・CTAなど)を、業務との関連で説明する
- 経営層向け:技術的な詳細より、ビジネスインパクトや判断に使う場面を中心に説明する
- 顧客向け:サービス利用時に出てくる用語を、専門知識なしで理解できるよう説明する
この読み手設定をプロンプトに入れると出力の質が変わる。
ステップ2:用語リストを用意する
AIに用語集を作らせる場合、2つのアプローチがある。
アプローチA:用語リストを渡してAIに説明文を書かせる 自分たちが必要な用語はわかっている場合。用語名だけリストにしてAIに渡す。
アプローチB:AIに用語の候補から出してもらう どの用語を含めるべきかが定まっていない場合。カテゴリや用途を伝えてAIに用語の候補を出させ、そこから選ぶ。
アプローチBのプロンプト例:
マーケティング担当者が新人に教える際によく使う用語を30語提案してください。
カテゴリは「デジタル広告」「コンテンツ」「分析・KPI」「CRM・顧客管理」の4つに分けてください。
各カテゴリ7〜8語、用語名だけリスト形式で出力してください。
ステップ3:説明文を生成する
用語リストが揃ったら、説明文の生成に入る。
プロンプト例(新入社員向け用語集):
以下のマーケティング用語の説明文を作成してください。
【読み手】
マーケティング部門に配属されたばかりの新入社員。ビジネス経験はあるが、デジタルマーケティングの専門知識はない。
【出力形式】
各用語を以下の形式で出力してください:
- 用語名(読み仮名)
- 定義:2〜3文で端的に
- 使用例:社内でどんな場面で使われるか、1文の具体例
- 関連用語:2〜3語(用語名のみ)
【用語リスト】
CVR、CTR、CPA、LTV、リードジェネレーション、ナーチャリング、CTA、オーガニック流入、コンバージョン、ペルソナ
ステップ4:精度を上げる追加指示
初回の出力では説明が長すぎる・短すぎる、ニュアンスがずれるケースがある。追加指示で調整する。
説明が長すぎる場合:
以下の用語の説明文を、各定義を1〜2文に圧縮してください。
使用例は残してください。
業界固有のニュアンスを加えたい場合:
「ナーチャリング」の説明に、BtoBのSaaS企業の文脈での具体的な施策例(メールシーケンス・ウェビナー招待など)を1〜2文追加してください。
社内固有の定義に調整する場合:
「リード」の定義を、以下の社内定義に沿って書き直してください。
【社内定義】:資料請求・問い合わせフォーム入力・無料トライアル登録をしたユーザー。SNSフォロワーはリードとしてカウントしない。
具体的な活用場面1:新入社員向けオンボーディング用語集
マーケティング部門に新メンバーが入るたびに「CTAってなんですか」「CVRとCTRの違いは?」という質問が繰り返される。一度用語集を整備して共有フォルダに置いておくと、この質問が大幅に減る。
この場面では「デジタル広告」「コンテンツ」「データ分析」「顧客管理」の4カテゴリ各10語、合計40語程度の用語集を作ると実用的だ。すべてをゼロから書くと丸1日かかるが、AIを使うと下書きが2時間以内に揃う。残りの時間で社内固有の定義に調整し、上長のレビューを入れる。
プロンプト例:
マーケティング部門の新入社員向け用語集を作成してください。
【対象用語】
以下の4カテゴリ各10語:
1. デジタル広告:インプレッション、CTR、CPM、CPC、CPA、リターゲティング、除外キーワード、品質スコア、ビューアブルインプレッション、アトリビューション
2. コンテンツ:SEO、キーワード、オーガニック流入、CTA、ランディングページ、コンバージョン、直帰率、スクロール率、ヒートマップ、エバーグリーンコンテンツ
3. データ分析:CVR、LTV、CAC、チャーン率、MQL、SQL、ファネル、コホート分析、セグメンテーション、アトリビューションモデル
4. 顧客管理:リード、ナーチャリング、CRM、スコアリング、ペルソナ、カスタマージャーニー、タッチポイント、NPS、解約防止、アップセル
【フォーマット】
用語名(読み仮名)/ 定義(2文以内)/ 使用例(1文)
Markdownの表形式で出力してください(3列)
具体的な活用場面2:顧客向けサービス説明用語集
SaaSやデジタルマーケティング支援サービスでは、顧客が使うサービスの画面や契約書・レポートに専門用語が出てくる。顧客が自分で調べることなく理解できるよう、サービス内や利用ガイドに用語集を掲載する。
この場面では「顧客が実際につまずく用語」に絞ることが重要だ。自社のサポート問い合わせ履歴や顧客からのフィードバックで「意味がわからなかった」と言われた用語をリストにして、AIに説明文を書かせる。
プロンプト例:
以下のマーケティングSaaSのレポート画面に表示される用語の説明文を作成してください。
【読み手】
マーケティング経験が浅い中小企業の担当者。数値やグラフの見方に不慣れ。
【出力形式】
用語名:説明(専門用語を使わず、具体的な数値や場面を入れて2〜3文で)
【用語リスト】
インプレッション、リーチ、エンゲージメント率、クリック率、コンバージョン率、直帰率、平均セッション時間、新規ユーザー率、費用対効果(ROAS)
うまくいかない場合のポイント
説明が堅くて読みにくい場合:「読み仮名を付けて、なるべく平易な言葉で書いて」と加える。初稿は書き言葉になりやすいため、話し言葉に近いトーンを指定すると読みやすくなる。
用語の数が多すぎて出力が途中で切れる場合:カテゴリごとに分けて複数回に分けて出力させる。一度に50語以上を出力させると品質が下がりやすい。
自社サービスとの整合性がない場合:「弊社では〇〇という機能をXXと呼んでいます」という社内定義を先に渡す。AIは一般的な定義を出すため、社内固有の用法は明示的に伝える必要がある。
更新のたびに作り直しになる場合:最初から「追記しやすい構造で」を意識してフォーマットを設計する。Notionのデータベース形式にしておくと、用語の追加・修正がしやすい。
他のマーケティング業務へのリンク
用語集の作成と関連する業務もAIで効率化できる。
- マーケティングのブログ記事をAIで作る方法:用語集の各エントリを詳細解説記事に展開できる
- マーケティングのLP作成をAIで効率化する方法:LPに掲載するFAQ・用語説明も同じ手法で作れる
- マーケティングのプレスリリースをAIで作る方法:プレスリリースで使う業界用語の統一にも用語集が役立つ
- マーケティングのSEO施策をAIで効率化する方法:用語集は検索流入を生む記事コンテンツとしても機能する
よくある質問
AIが作った用語集の説明文は正確ですか?
一般的な定義は概ね正確だが、自社内での用語の使い方・業界固有のニュアンス・最新の変更点などはAIが知らない場合がある。出力後に担当者が事実確認と社内定義の調整をする工程が必要。特に数値・機能名・固有名詞は必ず確認する。
何語の用語集まで1回で出力できますか?
30〜50語程度であれば一度のプロンプトで出力できる。それ以上は出力が途中で切れたり品質が下がったりする場合がある。50語以上の場合はカテゴリに分けて複数回に分けて出力させる方が確実。
社内専用の独自用語も含められますか?
含められる。プロンプトに「以下の独自用語も含めて」と書いて用語名と簡単な説明を渡すと、他の汎用用語と統一したフォーマットで整形してくれる。AIが知らない社内固有の概念は人間が定義文を書き、AIにフォーマットだけ整えさせる使い方が向く。
用語集のフォーマット(表形式・箇条書きなど)は指定できますか?
指定できる。「Markdownの表形式で」「見出し+説明文の形式で」「用語・読み仮名・定義・使用例の4列の表で」など書式を細かく指定すると対応した形式で出力してくれる。NotionやConfluence、Google Docsに貼りやすい形式を指定すると後工程が楽になる。