人事の用語集をAIで作る方法
この記事の要点
人事制度・評価用語・労務管理用語など、社内向け用語集をAIで効率的に作る手順とプロンプト例を解説。新人教育や制度説明資料への活用方法も紹介。
結論:定義文を書く作業が半分以下になり、網羅性が上がる
人事の業務には専門用語が多い。「等級制度」「グレード」「コンピテンシー」「ジョブ型雇用」「限定正社員」「36協定」「裁量労働制」——これらを新入社員や他部門の社員に正確に説明する用語集を作る作業は、時間がかかる割に後回しにされがちです。
AIに用語のリストを渡すと、対象者に合わせた平易な定義文を数分で出力してくれます。定義文を書く作業そのものより、「どの用語を入れるか」「自社の制度に合わせてどう修正するか」に集中できるようになります。
使うAIツール
社内のセキュリティポリシーを確認した上で使ってください。
- ChatGPT:用語の定義文作成に幅広く対応。「新入社員向け」「管理職向け」のようなトーン指定もしやすい。
- Claude:就業規則や制度規程を貼り付けて「この文書に基づいて用語を解説してください」という使い方ができる。社内制度に即した定義文を作りやすい。
- Gemini:Googleドキュメントに出力を転記しやすい。チームで共同編集する用語集に向く。
手順:4ステップで用語集を作る
ステップ1:用語集の目的と対象者を決める
用語集を作る前に、以下を確認します。
- 誰が使うか:新入社員、一般社員、管理職、他部門社員など
- 何に使うか:入社時研修の配布資料、社内イントラの参照ページ、評価制度の説明会資料など
- どの範囲を含めるか:採用用語のみ、評価・労務を含む全領域、特定制度に絞るなど
対象者が「全社員」の場合は平易な表現が必要で、「管理職向け」なら制度の意図・背景まで含めた説明が求められます。
ステップ2:用語のリストを作る
まず収録する用語の一覧を自分で作ります。
よく求められる用語の例(採用・評価・労務それぞれ):
採用領域:採用要件定義・カジュアル面談・リファラル採用・試用期間・内定・内々定・オンボーディング
評価・等級領域:コンピテンシー評価・目標管理制度・グレード・ランク・評価面談・フィードバック・等級定義
労務・制度領域:36協定・裁量労働制・フレックスタイム・育児休業・介護休業・産前産後休業・限定正社員・副業・兼業
このリストをAIに渡して「抜けている用語があれば追加で提案してください」と依頼すると、見落としを拾えます。
ステップ3:プロンプトを作って出力する
以下の人事用語について、新入社員向けの用語集の説明文を作成してください。
【対象者】
入社1〜3ヶ月目の新入社員(人事の専門知識はない)
【説明のポイント】
・1用語あたり100〜150字で完結させる
・専門用語は使わず、平易な言葉で書く
・「なぜこの制度があるか」を一文で添える
・法令に関わる用語は「詳細は就業規則または人事に確認を」と末尾に添える
【用語リスト】
1. 36協定
2. 裁量労働制
3. フレックスタイム制
4. 目標管理制度
5. コンピテンシー評価
6. 試用期間
7. オンボーディング
8. リファラル採用
9. 育児休業
10. 限定正社員
【出力形式】
用語名:
説明文:
ステップ4:確認・修正してドキュメントに転記する
出力された定義文を以下の観点で確認します。
- 自社の制度と一致しているか:用語の意味が自社の運用と合っているか
- 法令情報が正確か:労務系の用語は社会保険労務士に確認することを推奨します
- 読みやすいか:対象者が読んで理解できる表現になっているか
確認が完了したらGoogleドキュメント・Notion・社内イントラに転記します。
具体例:2つの活用場面
場面1:評価制度の変更に合わせた用語集の更新
評価制度を改定したとき、新しい評価軸の用語(「バリュー評価」「ストレッチ目標」「360度フィードバック」など)を社員に説明するための用語集を素早く整備したい場面があります。
新制度の概要と用語リストをAIに渡し、「社員が自分の評価にどう影響するかを理解できる説明文を書いてください」と指示すると、制度の背景と影響が伝わる定義文が出てきます。従来は2〜3日かかっていた説明資料の草稿作成が、1〜2時間に短縮されることがあります。
場面2:管理職向けの労務管理用語集
中途採用で管理職に就いた人が「残業申請の承認フロー」「36協定の上限」「育休取得者の業務調整ルール」などをよく分かっていないケースがあります。管理職として知っておくべき労務管理の用語と、それぞれの「管理職としての対応義務」をセットにした用語集を作る場面です。
「管理職向けに、自分が知らないと法的リスクになる労務用語を20個リストアップし、それぞれに管理職が取るべき行動を添えてください」というプロンプトで骨格を作り、社会保険労務士にレビューしてもらうことで信頼性の高い資料が完成します。
うまくいかない場合のポイント
定義文が長くなりすぎる場合:プロンプトに文字数の上限(「1用語100字以内」など)を明記します。上限を設けると、冗長な説明が削られ、簡潔な定義文が出てきます。
自社固有の用語をうまく説明できない場合:自社制度の概要と定義を自分で書いてからAIに渡し、「この内容をもとに社員向けの平易な説明文を書いてください」と依頼します。AIが制度を知らない場合は、事実を自分で入力してAIに文章化させる流れが有効です。
法令用語の情報が古い場合:AIは学習データの時点での知識を持っており、最新の法改正が反映されていないことがあります。特に育児・介護休業、残業規制などは法改正が頻繁なため、出力された定義文は必ず社会保険労務士または公的機関の最新情報と照合してください。
用語が増えすぎて管理しにくくなる場合:カテゴリ別(採用・評価・労務・制度・組織)にシートを分けて管理します。AIに「以下の50用語をカテゴリ別に分類してください」と依頼すると、整理作業も効率化できます。
内部リンク
よくある質問
社内用語集の作成にAIを使う利点は何ですか?
用語の定義文を書く時間が短縮されます。また、自分では見落としていた関連用語を提案してくれるため、用語集の網羅性が上がります。
法令用語をAIに解説させてもよいですか?
初稿の作成には使えますが、法令の解釈は専門家(社会保険労務士・弁護士)に確認する必要があります。AIは最新の法改正を反映していない場合があるため、「最新の内容は公式情報で確認してください」という注記を必ず入れてください。
社内固有の用語(社内制度名など)もAIに作らせられますか?
社内固有の用語は定義を自分で書く必要があります。ただし「以下の制度名と概要をもとに社員向けの説明文を書いてください」と渡すと、説明文の文章化はAIが手伝えます。
用語集のメンテナンスはどうすればいいですか?
制度変更のたびに更新が必要な用語をリストアップし、年1回または制度改定のタイミングで更新します。更新作業にもAIを使え、既存の定義文に変更内容を渡して「最新の制度に合わせて修正してください」と依頼できます。