経営企画の比較表をAIで作る方法
この記事の要点
経営企画の競合比較・施策評価・ツール選定などの比較表をAIで作る方法を解説。軸の設定からMarkdown・Excel形式での出力まで、実践的なプロンプト例付きで紹介する。
結論:比較の軸設計と構造化をAIで速める
経営企画が作る比較表には、競合他社の分析、新規事業施策の評価、社内システムの選定など複数の種類がある。いずれも「何を軸に比較するか」の設計に時間がかかりがちで、実際に表を埋める前の準備段階で1〜2時間消えることがある。
AIを使えば、比較軸の提案・表の骨格作成・出力形式の変換を数分で終わらせられる。担当者がやることは「軸の選択」と「実数値の確認・入力」に絞られる。
使うAIツール
比較表の作成に向いているのは、構造化された出力が得意なモデルだ。
- Claude 3.5 Sonnet:Markdown表の出力が安定していて、後続の整形が楽。比較軸の提案も論理的に整理される
- GPT-4o:「表をCSVで出力して」という指示が通りやすく、Excelとの連携を想定した使い方に向いている
- Gemini 1.5 Pro:Googleスプレッドシートと直接連携できるため、チーム共有を前提にした比較表を作る場合に便利
手順:ステップ別に解説
ステップ1:比較軸の候補をAIに提案させる
比較表を作る前に「何を比較軸にするか」を決める必要がある。この段階でAIに候補を出させると、見落としていた観点が含まれることがある。
経営企画部門が新しい事業管理ツールを選定しています。
以下の3製品を比較するための表を作りたいと思います。
比較軸として有効な項目を10個提案してください。
比較対象:Notion、Confluence、Google Sites
目的:中期経営計画の進捗管理と役員向けダッシュボードの整備
使用者:経営企画部員5名+役員閲覧
比較軸の提案には「その軸が意思決定にとって重要な理由」も一言添えてください。
返ってきた軸の中から意思決定に本当に必要なものを選び、次のステップへ進む。
ステップ2:表の骨格を作らせる
軸が決まったら、比較表の骨格をAIに作らせる。この時点では実際の数値や評価は入っていない状態でよい。
以下の軸で比較表を作成してください。各セルは「未入力」と記載してください。
比較対象:Notion、Confluence、Google Sites
比較軸:
1. 月額コスト(5名利用の場合)
2. 役員向け閲覧権限の設定の容易さ
3. モバイル対応
4. 既存Googleワークスペースとの連携
5. 導入・設定の工数目安
形式:Markdown表
骨格ができたら、各セルを自社の調査結果や公式情報で埋めていく。AIに「コストを入力して」と頼む場合は、必ず公式サイトの最新価格と照合する。
ステップ3:評価スコアを付ける表に変換する
複数の軸を総合的に判断するために、各軸にスコアを付ける形式が役員プレゼンに使いやすい。
以下の比較表をスコア形式に変換してください。
各軸について1〜5のスコア(5が最良)を付け、最後に合計スコアを算出してください。
スコアの根拠を各セルに一行で添えてください。
---比較表---
(ここに前のステップで作った表を貼り付け)
スコアの妥当性は担当者が判断する。AIのスコア根拠を読みながら「この観点ではうちの状況と合わない」と思えば数値を変更する。
ステップ4:役員向けのサマリーコメントを付ける
比較表単体では役員が判断しにくい場合がある。表の下に「どの選択肢を推奨するか、その理由は何か」を3行程度でまとめたコメントを付けると、意思決定の場での使い勝手が上がる。
上記の比較表を踏まえて、経営企画部門として推奨する選択肢と理由を100字以内でまとめてください。
ただし、最終判断は役員が行うことを前提にした表現にしてください。
具体的な使用場面
場面1:競合他社の事業戦略比較表を役員会議向けに作る
四半期に一度、主要競合3〜4社の動向を整理して役員会に報告する業務がある。各社のIR情報・ニュース・プレスリリースを読んでまとめるのに時間がかかる。
この作業でAIを使う場合、まず比較軸の設計を依頼する。
経営企画部門が四半期ごとに作成する競合比較資料の骨格を作りたいと思います。
業界は〇〇(消費財メーカー)です。
以下の3社を比較する表の軸として適切なものを提案してください。
観点:経営層が今後の自社戦略を判断するために必要な情報
比較対象:A社、B社、C社
軸の提案を受けてから、実際の数値・事実は各社の最新IRや公式発表で埋める。AIが知っているのはトレーニングデータの範囲内の情報なので、直近の数値は必ず自分で確認する。
場面2:社内投資案件の優先順位付け比較表を作る
複数の部署から上がってきた新規投資案件を一覧化し、優先度を判断する材料を作る場面がある。案件数が多い(5〜10件以上)と、手動で軸を揃えた表を作るだけで時間がかかる。
以下の新規投資案件10件を比較する表を作ってください。
比較軸:
- 期待ROI(入力は各案件説明文から読み取れる範囲で)
- 投資回収期間の目安
- 実施難易度(高/中/低)
- 経営戦略との整合性(高/中/低)
- 緊急性(2026年度中に判断が必要かどうか)
案件説明:
(ここに各案件の概要を箇条書きで貼り付け)
AIが読み取れる範囲でセルを埋め、不明な箇所は「要確認」と出力させる。その後、担当者が各案件の提案部署にヒアリングして補完する流れが実用的だ。
うまくいかない場合のポイント
表の列や行がずれて出力される
Markdown表が崩れる場合、「必ず全行・全列が揃った表を出力してください。空欄は『—』で埋めてください」と明示すると整形が安定する。それでも崩れる場合はCSV形式を指定してExcelで整形する方が早い。
比較軸が的外れになる
AIが出した軸が自社の判断基準とずれている場合、「意思決定の背景」をプロンプトに追加する。「この比較の目的は〇〇年度の投資予算配分の優先付けです。CFOが見るものです」のように文脈を渡すと、適切な軸に近づく。
比較対象が多すぎて表が横に広がりすぎる
比較対象が7件を超えると表が横長になりすぎて役員資料には使いにくい。「上位3件のみに絞り込んで、残りは参考として別表に分けてください」と依頼すると見やすい形に整理される。
数値の根拠が不明
AIが出したスコアや評価の根拠が不明な場合、「各セルの評価根拠をスコアの下に記載してください」と追記する。根拠が明示されると、実際の資料で数値を変更する際の判断がしやすくなる。
比較表を作る際の注意点
比較表に使う数値が意思決定に直結する場合、AIが出した数値をそのまま使わずに一次情報で確認することが必要だ。特に競合他社の売上・シェアといったデータはトレーニングデータの時点のものであり、最新の状況と異なることが多い。
比較の「軸の設計」と「表の構造」はAIに任せ、「データの正確性の確認」は人が行うという分業が実務上の正しい使い方だ。
まとめ:軸設計と構造化をAIに任せて判断に集中する
経営企画の比較表作成でAIが最も役立つのは、「何を比較すべきか」という軸の設計段階と、「表の骨格を整える」構造化の段階だ。実際の数値入力と最終判断は人が行う必要があるが、その前の準備工程を大幅に短縮できる。
役員会の前日に比較表を作り直す作業に1時間かけていた場合、この流れを使えば15〜20分に短縮できる可能性がある。
関連する業務でAIを活用する方法は以下の記事も参照してほしい。
よくある質問
AIが作った比較表のデータはそのまま使えますか?
数値データはAIの学習データに基づくもので、最新情報や社内固有のデータは含まれません。比較の軸と構造はAIに作らせ、実際の数値や事実は各社IR・公式資料から自分で埋める運用が現実的です。
比較表をExcel形式で出力させることはできますか?
直接Excelファイルを生成するAIは限られていますが、Markdown形式やCSV形式で出力させてからExcelに貼り付けることができます。「CSV形式で出力してください」と指定すると、Excelへのインポートが容易になります。
比較軸はどう決めればよいですか?
意思決定の基準になる要素を軸にします。例えばツール選定なら「コスト・機能・導入難易度・サポート体制」、競合比較なら「売上・シェア・強み・リスク」が基本です。AIに「この比較に使うべき軸を提案してください」と聞くのも有効です。
比較する対象が多い場合の対処法は?
5〜7項目を超えると表が見づらくなります。まず全項目を並べたロング版をAIに作らせ、次に「最重要な3項目に絞り込んでください」と依頼してサマリー版を作る二段階の手順が効果的です。