職種別AI仕事術

広報のFAQをAIで作る方法

広報のFAQをAIで作る方法

この記事の要点

記者発表・危機対応・新製品発表のFAQをAIで作ると、抜け漏れの少ない質問想定と回答案を短時間で揃えられる。手順とプロンプトを詳しく解説する。

結論:AIでFAQを作ると「想定外の質問」が減る

記者発表の前日、用意したFAQにない質問が本番で来て答えに詰まった——広報担当者にとってこれが最もリスクの高い場面の一つだ。AIを使ってFAQを準備すると、人間では思いつきにくい角度からの質問を事前に洗い出せる。

人間だけでFAQを作ると、「答えやすい質問」を中心に集める傾向がある。AIは立場を変えて質問を生成できるため、批判的な質問や想定しにくい切り口を意図的に含めさせることができる。

使うAIツール

ChatGPT(GPT-4o)またはClaudeを使う。どちらも「記者の視点で質問を生成する」「批判的な立場から質問する」といったロールプレイ的な指示に対応している。

FAQ作成は比較的リスクの低い作業だが、未発表情報(価格・発売日・提携先など)を含む場合は、データが学習に使われない企業契約を確認してから入力する。

手順:記者発表向けFAQを作る

ステップ1:FAQに含めるテーマを整理する

記者は製品・価格・競合・市場・体制という5つの軸で質問してくる傾向がある。この5つを軸に、各テーマで何問用意するかを先に決める。

  • 製品・サービスの概要(何が、どう、どれほど)
  • 価格・契約形態(いくらで、どんな条件で)
  • 競合との違い(なぜ自社を選ぶべきか)
  • 市場・背景(なぜ今、どんな課題に対して)
  • 体制・サポート(誰が、どう責任を持つか)

テーマごとに5問ずつ用意すると25問になる。これが記者発表前の標準的な準備量だ。

ステップ2:質問の候補をAIに出させる

以下の新製品発表に関するFAQを作成しています。

製品の概要:〇〇(概要を箇条書きで入力)
発表日:△月△日
ターゲット顧客:□□(例:中小企業の人事担当者)
価格帯:月額〜円から

業界メディアの記者が発表直後に聞きそうな質問を30問生成してください。

条件:
- 好意的な質問だけでなく、批判的・懐疑的な質問も含めてください
- 「競合の〇〇とどう違うのか」「なぜ今なのか」という角度も含めてください
- 質問は記者が実際に口頭で聞く言葉のまま書いてください

「批判的・懐疑的な質問も含めてください」と明示することが重要だ。この指定がないと、AIは回答しやすい質問だけを生成する傾向がある。

ステップ3:質問を選別・分類する

AIが生成した30問から、実際に使う20〜25問を選ぶ。選ぶ基準は以下の2点だ。

  1. 記者が実際に聞く可能性が高いか
  2. 回答が準備できる(事実・数値・根拠がある)か

回答の根拠がない質問は、FAQに含めるより「この質問が来た場合の対応方針」として別途整理する。「現時点では公開できません」「確認してから回答します」と答える練習も必要だ。

ステップ4:回答の骨格をAIに作らせる

質問が確定したら、回答の骨格をAIに作らせる。

以下の質問に対する回答の骨格を作成してください。

製品の基本情報:〇〇(入力)
確認済みの数値:〇〇円、△△%、□□社導入済み(入力)

条件:
- 各回答は3〜5文以内の簡潔な形にする
- 事実として確定している情報だけを使い、不確かな情報はその旨を【要確認】と記載する
- 質問に直接答えてから補足情報を加える順番にする

【質問リストをここに貼る】

「不確かな情報は【要確認】と記載する」と指定すると、AIが知らない情報を推測で埋めるリスクを減らせる。

ステップ5:回答を社内で確認・修正する

AIが作った回答骨格をもとに、関係部門(製品・法務・経営)と回答内容をすり合わせる。この工程は省略できない。AIは自社の最新状況・契約条件・法的制約を知らないため、骨格を確認しながら事実を埋めるのは人間の作業だ。

広報固有の場面での使い方

場面1:危機対応(謝罪発表)前のFAQ

製品事故・情報漏洩・不正会計など、企業が謝罪会見や謝罪リリースを出す場面では、FAQの質が広報対応の評価を大きく左右する。想定外の質問への対応が不十分だと、それ自体が新たなニュースになる。

当社は以下の問題について謝罪発表を行う予定です。

問題の概要:〇〇(内容を入力)
発表予定日:△月△日
現時点で確認できている事実:〇〇(入力)

この発表に対して、報道記者・メディアが質問しそうなことを
批判的・追及的な角度も含めて30問生成してください。

特に以下の観点からの質問を必ず含めてください:
- 責任の所在(誰が判断したのか)
- 再発防止策の具体性
- 被害者への補償
- 経営責任(辞任の可能性)
- これまでの隠蔽疑惑

この作業で出てきた質問に事前に答える準備ができていれば、会見でのパニックを防げる。厳しい質問が出てくるほど、準備の価値が高い。

場面2:採用広報のFAQ整備

採用メディア掲載用のFAQ(よくある質問)をAIで作ると、転職希望者が気にするポイントを網羅しやすくなる。

以下の会社・ポジションの採用広報用FAQを作ってください。

会社の概要:〇〇
募集ポジション:△△
ターゲット候補者層:〇〇(例:30代の事業会社でマーケ経験5年以上)

転職希望者がこのポジションを検討するときに気にすること・聞きたいことを
20問生成し、各問に対する回答の骨格を作ってください。

骨格の条件:
- 回答は3文以内
- 「働き方」「成長機会」「報酬」「文化」の4テーマを均等に含める
- 事実として言えないことは【要確認・確定後に記載】と入れてください

採用チームとの確認工程を経て完成させる。FAQの整備は採用担当者の返信業務を減らす効果もある。

うまくいかない場合のポイント

回答が当たり障りなく使えない 「もっと具体的な数値・根拠を含めてください」と指示し直す。または「記者がこの回答に対してどんな追加質問をするかも合わせて書いてください」と指定すると、回答の弱点が見えやすくなる。

質問が重複している 30問生成させると重複や類似問題が出やすい。「内容が近い質問は1つにまとめてください」と整理を頼む、または生成後に自分で選別する。

特定テーマの質問が少ない 「価格について重点的に10問生成してください」と絞った指示を出すと、テーマを深掘りした質問が揃う。

AIが想定外の危機的質問を生成しない 「記者が最も厳しく追及する可能性がある点はどこですか?そこを重点的に質問してください」と追加指示を出す。または「この発表について批判的な立場のジャーナリストになりきって質問してください」とロールプレイを指定する。

FAQを会見練習に使う

FAQ文書は一人で読んで終わりにするより、チームで声に出して練習すると効果が高い。AIが生成した批判的な質問を使い、広報担当者がリアルタイムで回答を話す練習をする。この練習で「口頭での言い方」と「書面の回答」の差が確認できる。

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よくある質問

AIが作ったFAQはそのまま記者に渡せますか?

渡せません。AIは質問の想定は得意ですが、回答の事実関係を確認する手段がありません。AIが作った骨格を使いながら、回答内容は社内の情報に基づいて人間が書き直すのが前提です。

FAQを何問程度用意するのが適切ですか?

記者発表用なら15〜25問が目安です。多すぎると準備が追いつかず、少なすぎると本番で対応できない質問が出ます。コアなテーマ(製品・価格・競合・体制)ごとに5問前後を目安に設計すると整理しやすいです。

危機対応のFAQと通常のFAQで作り方は変わりますか?

変わります。危機対応のFAQでは、批判的・悪意的な質問を意図的に含めてAIに想定させることが重要です。通常のFAQは情報提供が目的ですが、危機対応は攻撃的な質問を想定してリハーサルするツールとして使います。