広報の会議準備をAIで段取りする方法
この記事の要点
記者発表前の社内調整会議・取材対応の事前ブリーフィング・プレスイベントの運営準備をAIで段取りすると、抜け漏れが減り当日対応がスムーズになる。広報向けの手順とプロンプト例を解説する。
結論
プレスリリース発表前の社内レビュー会議、取材に臨む担当役員へのブリーフィング、記者発表会の当日運営準備——広報が関わる会議・イベントの準備は、担当者が頭の中で抱えている情報量が多い割に、文書化が後回しになりやすい。
AIを使うと、頭の中にある情報を箇条書きで渡すだけでアジェンダ・ブリーフィングシート・進行台本の骨格が10〜15分で完成する。会議当日に「この議題を漏らした」という事態を減らせる。
広報で会議・準備段取りが必要な場面
| 場面 | 準備に必要な文書 |
|---|---|
| 発表前の社内レビュー会議 | アジェンダ・確認事項リスト・資料一覧 |
| 取材前の担当者ブリーフィング | 想定質問と回答例・NGワードリスト・取材者プロフィール |
| プレスイベントの運営準備 | タイムライン・役割分担表・当日進行表 |
| 危機対応の緊急会議 | 事実確認リスト・対応方針の選択肢・発表タイミングの確認事項 |
| 社内向け広報報告会議 | 実績サマリー・課題と次のアクション |
使うAIツール
- ChatGPT(GPT-4o): アジェンダや進行表のような構造化文書の生成が得意
- Claude: 複数の役割が関わる会議の段取りを整理し、条件分岐を含む手順を作るのが得意
- NotionのAI機能: 準備資料をそのままNotionページとして管理する場合に使いやすい
会議で扱う未公開情報(発表前の製品情報・価格・日程)は、社内承認済みのAIツール以外には入力しない。
ステップ別:会議準備をAIで段取りする手順
ステップ1 会議の目的と参加者を整理する
プロンプトを書く前に次の情報を確認する。
- 会議の目的: 意思決定か・情報共有か・レビューか
- 参加者と役割: 誰が何を判断するか
- 決定事項: この会議で何を決めるか
- 所要時間と進行形式: 何分間でどう進めるか
- 事前に用意する資料: 何を準備して持ち込むか
目的と決定事項が明確だと、アジェンダが「雑談で終わる会議」ではなく「決める会議」の構成になる。
ステップ2 アジェンダを作らせる
以下の条件で会議のアジェンダを作成してください。
【会議名】新製品プレスリリース最終確認会議
【目的】発表予定のプレスリリースの内容を確認し、発信に向けた最終承認を得る
【参加者と役割】
・広報部長(会議の進行・最終確認)
・製品マネージャー(製品情報の正確性を確認)
・法務担当(リスク表現の確認)
・マーケティング部長(訴求ポイントの確認)
【所要時間】60分
【決定事項】
1. プレスリリース本文の最終承認
2. 発信日時の確定
3. 発信後のメディア問い合わせ対応の担当者確定
【出力形式】時間配分付きのアジェンダ(各議題に所要時間を明記)
ステップ3 取材前の担当者ブリーフィングシートを作らせる
取材を受ける役員や専門家に事前に渡すブリーフィングシートは、取材内容の把握・想定質問への準備・NGワードの確認に使う。
以下の条件で取材前ブリーフィングシートを作成してください。
【取材の概要】
・媒体名:〇〇経済新聞(ビジネス誌)
・取材者:経済部の記者1名
・取材対象:代表取締役社長
・取材テーマ:新サービス立ち上げの経緯と今後の展開
・所要時間:45分
・形式:対面・本社会議室
【ブリーフィングシートに含める内容】
・取材者のプロフィール(プレースホルダー:名前・担当媒体・過去の取材実績)
・取材の目的と期待される記事の内容
・想定質問(6〜8問)と、各質問への回答のポイント
・強調してほしいメッセージ(3点以内)
・答えを控えるべきトピック(財務予測・未発表の製品計画など)
・当日の注意事項(撮影の可否・録音の可否・同席者)
【注意】具体的な数字や未発表情報はプレースホルダーにしてください。
ステップ4 プレスイベントの当日進行表を作らせる
以下の条件でプレスイベントの当日進行表を作成してください。
【イベント概要】
・名称:新製品発表会
・開催日時:2026年7月3日(木)15:00〜17:30(受付は14:30〜)
・会場:〇〇ホテル 3F バンケットルーム
・参加者:報道関係者 約30名・社内スタッフ 5名
【プログラムの内容】
・代表あいさつ(5分)
・製品プレゼンテーション(20分)
・製品デモ(15分)
・質疑応答(20分)
・個別取材・製品体験(30分)
・懇親会(30分)
【スタッフの役割】
・受付担当2名
・会場誘導1名
・メディア対応(問い合わせ窓口)1名
・機材・プレゼン管理1名
【出力形式】時刻・内容・担当者・注意事項の4列構成の表
広報固有の場面:2つの具体例
例1 緊急記者会見前の準備段取り
製品の重大な不具合が発覚し、翌日午前に記者会見を行うことが決まった場面。2〜3時間以内に準備の段取りを固める必要がある。
以下の状況で記者会見の準備タスクリストを作成してください。
【状況】
・現在の時刻:本日18:00
・記者会見の予定:翌日11:00(約17時間後)
・発表内容:製品の不具合の事実確認・影響範囲・対処方針
【準備が必要な事項(分かっている範囲)】
・事実確認の最終確認(技術担当部門との連携)
・会見資料の作成(事実の説明・謝罪文・対処方針)
・登壇者の確定と事前ブリーフィング
・会見場所の手配(社内会議室またはホテルの貸し会議室)
・メディアへの会見案内の送付(日時・場所・概要)
・想定質問と回答の準備
・弁護士・法務への確認
【出力形式】
今日中にやること/明朝6:00〜10:00にやること/会見直前(10:00〜11:00)にやること
の3つのフェーズに分け、担当者の役割ごとに整理してください。
【注意】法的判断が必要な事項には「法務・弁護士に確認」と明記してください。
例2 定例の広報報告会議の準備
月次の経営会議で広報実績を報告するための資料と発表の段取りを、前日に短時間で準備する。
以下の条件で月次広報報告会議の準備アジェンダと資料構成を作成してください。
【会議の概要】
・目的:経営陣への月次広報活動の報告と次月方針の確認
・参加者:社長・事業部長2名・広報部長(発表)・広報担当者(資料準備)
・所要時間:30分
・頻度:月1回
【報告する内容の範囲】
・メディア露出実績(掲載件数・主要メディア・トーン)
・プレスリリース発信実績
・SNS運用実績(エンゲージメント・フォロワー推移)
・翌月の予定とリソース
・課題と改善提案
【資料のページ数目安】5〜7スライド(または1ページのサマリー+別紙詳細)
アジェンダと資料の構成(各スライドのタイトルと掲載内容の箇条書き)を出力してください。
うまくいかない場合のポイント
アジェンダが「情報共有だけ」で終わる構成になる
「この会議で決定すべき事項」を箇条書きで明示してプロンプトに入れる。決定事項が明確であれば、AIはそれに向けた議題構成を作る。「決定しなければならないこと」と「情報共有でよいこと」を分けて伝えると、時間配分も適切になる。
ブリーフィングシートの想定質問が表面的すぎる
「この取材は〇〇をテーマにした特集記事の一部」「記者は以前〇〇の問題を取り上げていた」のように背景情報を追加する。記者や媒体の傾向を加えると、より鋭い想定質問が出てくる。
プレスイベントの進行表に漏れが多い
「過去に起きたトラブル(登壇者の入場が遅れる・機材が動かない等)への対応を含めてほしい」と追加指定する。「リハーサルのタイムラインも含めてほしい」と指定すると、本番前の準備フローも含めた表が出力される。
緊急時の段取りが漏れて後から対応に追われる
緊急時は「今から24時間で何をすべきか」を時系列で整理することが最優先だ。AIに「現在〇〇時、〇〇時間後に〇〇がある。その間にやるべきことを時系列でリストアップしてほしい」と依頼すると、漏れを減らした準備リストが出る。
会議準備の効率化ポイント
一度作ったアジェンダや進行表はテンプレートとして保存しておくと、次回の会議準備が速くなる。「前回のアジェンダを基に、今月の内容に合わせて修正してほしい」と前回の文書を渡すだけで更新版が出力される。
| 保存しておくテンプレート | 更新頻度 |
|---|---|
| 発表前レビュー会議アジェンダ | 発表ごと |
| 取材前ブリーフィングシート(骨格) | 取材対象・媒体ごと |
| プレスイベント当日進行表 | イベントごと |
| 月次報告会議アジェンダ | 毎月 |
プレスイベントの準備全体は広報の業務チェックリストをAIで作る方法と合わせて使うと効果的だ。取材後の対応については広報のフォローアップ連絡をAIで作る方法を参照してほしい。
よくある質問
AIに会議のアジェンダを作らせる際に必要な情報は何ですか?
会議の目的・参加者の役割・決定しなければならない事項・想定される論点・所要時間を伝えると精度が上がります。特に「この会議で何を決めるか」を明確にすると、それに沿ったアジェンダが作られます。
取材前のブリーフィング資料をAIで作る際の注意点は何ですか?
取材対象者(経営陣・専門家)への事前説明資料を作る場合、未公開情報や個人情報はプロンプトに含めないようにしてください。公開済みの情報と想定質問の骨格だけをAIに作らせ、具体的な内容は担当者が加筆する方法が安全です。
プレスイベントの運営準備チェックリストもAIで作れますか?
作れます。イベントの形式(発表会・プレスツアー・記者懇談会)・参加人数・会場の種類・担当チームの構成を伝えると、準備項目を役割別・日程別に整理したリストが出力されます。