職種別AI仕事術

広報の1枚サマリー資料をAIで作る方法

広報の1枚サマリー資料をAIで作る方法

この記事の要点

記者・経営陣・社員に渡す1枚サマリーを、AIを使って構造的・短時間で作る手順を解説。プロンプト例と広報固有の注意点を紹介。

結論

広報が作る1枚サマリーは、「何を・なぜ・どんな意味があるか」の3層構造を整えることが最大のポイントだ。AIを使うと、この構造の骨格を数分で出力できる。情報収集・整理・文章化の全工程を1人でやっていた作業を、AIとの役割分担で20〜30分に収めることができる。


広報が作る1枚サマリーの種類

広報が日常的に作る1枚資料には主に4種類ある。

メディア向けファクトシート:取材記者が記事を書く際の参考資料。製品仕様・数値・背景・担当者連絡先などをまとめる。プレスリリースより詳しく、但し非公式な補足情報を含む場合もある。

経営陣向けメディア動向サマリー:週次・月次で経営層に届けるメディア露出の状況整理。掲載媒体・論調・競合との比較などを1枚に収める。

社内啓発用1枚説明資料:AIツールや新しい広報施策を社内に広める際に使う資料。読者は自部門以外の社員で、専門用語を最小限にする。

イベント・発表会用背景資料:記者発表会や株主総会の際に配布または口頭で参照する1枚。発表内容の位置づけと業界背景をコンパクトに伝える。

どの種類でも共通するのは「1枚に収める選択と捨象の判断」だ。AIはその判断の初稿を出すのに使える。


使うAIツール

テキスト生成に特化したAIを使う。ChatGPT(GPT-4o)やClaude 3.5 Sonnet以降のモデルが実用水準にある。どちらも長文の要約・再構成が得意だ。

最終的なレイアウト・デザインはAIではできない。テキストが固まった後、Canva・PowerPoint・Google スライドなどのツールで視覚的に仕上げる。料金・機能の最新情報は各社公式サイトを確認してほしい。


手順:ステップ別解説

ステップ1:素材を集める

1枚サマリーを作る前に、使える素材を手元に揃える。

  • プレスリリース案や社内報告書
  • 製品・サービスの仕様データ
  • 過去に出た関連記事・競合情報
  • 経営陣や担当部署から受け取ったコメント

これらを丸ごとAIに渡し、「1枚にまとめてほしい」と指示するだけでも初稿が出るが、精度を上げるには次のステップで目的・読者・構成を明示する。

ステップ2:メディア向けファクトシートを作らせる

以下の素材を基に、報道記者向けのファクトシートを作成してください。

[素材]
(プレスリリース案や製品情報をここに貼る)

[条件]
読者:経済媒体・業界誌の記者
目的:記事執筆の参考資料として配布
構成:
1. 発表内容のポイント(3〜4行)
2. 背景・市場状況(2〜3行、数値があれば含める)
3. 製品・サービスの主なスペック(箇条書き5点以内)
4. 今後の展開(1〜2行)
5. 取材・問い合わせ先(記入欄)
全体で400〜600字。見出しを各セクションに付ける。

このプロンプトで構造的な初稿が出る。数値・固有名詞は必ず原資料と照合して確認する。

ステップ3:経営陣向けメディア動向サマリーを作らせる

クリッピング(メディア掲載まとめ)を経営陣向けに1枚で整理する場面がある。

以下のメディア掲載情報を基に、経営陣向けの週次メディア動向サマリーを作成してください。

[掲載情報リスト]
(媒体名・掲載日・記事タイトル・内容の概要を箇条書きで渡す)

[条件]
読者:社長・副社長・広報担当役員
目的:自社に関するメディアの論調・露出量を週1回把握してもらう
構成:
1. 今週のトピック(最重要な掲載1〜2件を1行ずつ)
2. 掲載実績(媒体名・件数・主な論調を表形式で)
3. 競合の動向(把握している範囲で)
4. 次週の予定掲載・注意点
全体500字以内。感情的な表現は使わない。事実ベースで書く。

「感情的な表現は使わない」は広報資料の基本原則だが、AIに明示しないと「注目度抜群」「好評を博した」といった評価語が混ざることがある。

ステップ4:社内啓発用1枚説明資料を作らせる

自部門以外の社員に新施策を説明する資料は、専門用語を極力減らす必要がある。

以下の情報を基に、全社員向けの1枚説明資料を作成してください。

[説明したい内容]
(新しい施策・ツール・制度の概要)

[条件]
読者:広報部門外の一般社員(専門知識なし)
目的:「なぜこれが必要か」と「自分にどう関係するか」を理解してもらう
構成:
1. 一言で言うと(1〜2文)
2. 背景(なぜ今か、何が変わるか)
3. 具体的な変更点(箇条書き3〜4点)
4. 社員への影響・お願い(1〜2文)
5. 問い合わせ先
専門用語は使わない。書いた場合は同じ文の中で平易な言葉で言い換える。全体400字以内。

「専門用語を使った場合は言い換える」という指示を入れると、AIが括弧書きで英語を付ける代わりに文の中で説明するようになる。

ステップ5:出力を確認・整形・仕上げる

AIが出力したテキストを次の手順で仕上げる。

  1. 事実確認:数値・固有名詞・日付を原資料と照合する。AIは自信ありげに誤った数値を書くことがある。
  2. 構成調整:「1枚に収める」目的に対して情報が多すぎる場合は、項目を絞る。
  3. デザイン:確定したテキストをCanva・PowerPoint・Notionなどに転記し、視覚的に整える。
  4. 最終確認:送付前に法務・関係部門の確認が必要な項目を精査する。

広報固有の具体例

例1:製薬会社の新薬承認発表に向けたメディア向けファクトシート

製薬会社の広報担当者が、新薬承認の記者発表前日にAIでファクトシートの初稿を作成した。プロンプトには社内資料から抜き出した承認薬の適応疾患・投与量・臨床試験結果の概要を渡した。AIは「記者が最初に確認したいポイント」に基づいた構成で出力した。担当者が事実確認と医学監修を加えて完成させたファクトシートは、発表当日に20媒体以上の記者に配布された。

例2:SNS炎上後の経営陣への状況サマリー作成

自社商品の誤情報がSNSで拡散した際、広報担当者が収集したツイート・ニュース記事・問い合わせ件数をAIに渡し、「経営会議で5分で説明できる1枚サマリー」を出力させた。事案発生から1時間以内に役員全員へ配布でき、迅速な意思決定につながった。この速度は、全文を自力で書いていた以前の体制では不可能だったと担当者は振り返っている。


うまくいかない場合のポイント

情報が多すぎて1枚に収まらない

「1枚に収める」はAIへの指示だけでなく、情報を絞り込む人間の判断が先に必要だ。素材を渡す前に「この資料で最も伝えたい1点は何か」を決めると、AIの出力も絞り込まれる。

数値が不正確になる

AIは数値の正確さより文章の流暢さを優先する傾向がある。プロンプトに「数値は渡した素材にある数字のみを使い、推測した数値は書かない」と明示する。

見出しが抽象的になる

AIは汎用的な見出しを付けやすい。「ポイント」「背景」ではなく「なぜ今この発表か」「数字で見るインパクト」のように具体的な表現を求める場合は、プロンプトに「見出しは読者が実際に知りたい問いの形にする」と指定する。

全体が箇条書きだらけになる

箇条書きは読みやすいが、文脈や意図が薄くなる。プロンプトに「箇条書きは手順・比較に限定し、背景説明は地の文で2〜3文書く」と書くと、バランスが改善する。


関連記事

1枚資料で使う情報の元になるプレスリリースの書き方は広報のプレスリリースをAIで書く方法で解説している。記者に渡した後の取材対応については広報のメディア対応をAIで準備する方法が役に立つ。社内向けの情報発信を広げたい場合は広報の社内報記事をAIで作る方法も参照してほしい。

よくある質問

広報の1枚サマリーとは何ですか?

1枚サマリーは、発表内容・事案・施策の要点をA4用紙1枚または画面1スクロールに収めた情報整理文書。記者への背景説明、経営陣への承認資料、メディア対応後の社内共有など、広報の日常業務で多用される。

AIで1枚資料を作ると何が変わりますか?

構成の骨格が数分で出るため、「何を載せるか」の判断から始める手間が省ける。特に複数の情報源を1枚にまとめる作業の速度が上がる。デザイン(見た目)への適用はAIでは対応しないため、別途ツールで仕上げる。

記者向けとプレスリリースの違いは何ですか?

プレスリリースは公式の配信文書で書式が決まっている。1枚サマリーはより自由度が高く、背景情報・Q&A・図解を組み合わせて記者が記事を書きやすいよう整理した補足資料の位置づけ。

どのツールで見た目を仕上げますか?

AIが生成するのはテキストベースの構造情報。最終的なレイアウトはCanva・PowerPoint・Google スライド・Notionなどで作る。テキストの構成が固まってからデザインに移ると手戻りが少ない。