AIがメモリを食い尽くす。DRAM高騰がIT調達を直撃
この記事の要点
生成AI向けの需要急増でDRAMとNANDの価格が急騰している。2026年4〜6月の契約価格は汎用DRAMが前期比6割前後、NANDが7割前後の上昇。メーカーがAI向けHBMに生産を集中させた結果で、PCやサーバーの調達コストを押し上げる。前倒し投資の判断が迫られる。
結論
生成AI向けの需要急増で、DRAMとNANDフラッシュの価格が急騰している。2026年4〜6月の契約価格は、汎用DRAMが前四半期比でおよそ6割、NANDが7割前後の上昇と見込まれる。メーカーがAI向けの高帯域メモリの増産に資源を集中させ、汎用メモリの生産が後回しになったためだ。PCやサーバーの調達コストを直接押し上げるため、IT予算を持つ企業は前倒し投資か計画見直しかの判断を迫られる。出典はEE Times JapanとPC Watch。
何が起きているか
価格上昇の幅は大きい。2026年4〜6月期のメモリ契約価格は、汎用DRAMが前四半期比でおよそ58〜63%、NANDフラッシュが70〜75%の上昇と予想されている。PC向けDRAMの契約価格は2026年1〜3月期で前期比100%超の上昇に修正され、四半期ベースでは過去最高の上げ幅となった。数値は市場調査や報道に基づくもので、実際の調達価格は取引条件で変わる。
原因は供給側の選択にある。生成AIのデータセンター需要が膨らみ、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンの3社が、利益率の高いAI向けの高帯域メモリの増産に経営資源を集中させた。その分、PCやスマートフォン、一般サーバー向けの汎用メモリの生産が後回しになり、需給が逼迫した。S&Pグローバル・レーティングは、逼迫が2026年まで続く可能性が高く、正常化は2027〜2028年ごろと見ている。
この高騰は、価格下落を待つほど不利になりかねない点で、これまでの値動きと異なる。報道では、メモリ価格の上昇がIT調達コストを押し上げる「見えない増税」として作用するとの指摘も出ている。PCやサーバーの単価が上がれば、端末更新やシステム増強の計画そのものを見直す必要が出てくる。
AI投資の裏側にあるコスト
このメモリ高騰は、AIブームのもう一つの顔だ。各社が競って積み増すデータセンター投資が、半導体の需給を通じて一般企業のIT調達コストにはね返る。中国の2950億ドルのAI基盤網やMicrosoftのテキサスでの2GWデータセンターのような大型投資が続く限り、メモリの奪い合いはすぐには収まりにくい。
現場の実務にどう効くか
PCやサーバーの更新を控える企業は、価格下落を待つ前提を一度外したほうがよい。逼迫が数年続く見通しなら、待つほど高くなる局面もありうる。当面の対応として3点が現実的だ。第一に、更新が必要な端末やサーバーは見積もりを早めに取り、調達時期を前倒しできるか検討する。第二に、必要なメモリ容量を業務から逆算し、過剰なスペックを避けて単価上昇の影響を抑える。第三に、オンプレミスでの増設とクラウド利用のどちらが総額で有利かを比べ直す。判断材料はクラウドとオンプレのAI 違いと選び方と生成AI導入の費用対効果の考え方が参考になる。最新の価格動向は調査会社や各社の公式情報で確認してほしい。
出典
よくある質問
なぜメモリ価格が上がっているのですか。
生成AIの需要急増で、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンが利益率の高いAI向けHBMの増産に資源を集中させたためです。その結果、PCやスマートフォン、一般サーバー向けの汎用メモリの生産が後回しになり、需給が逼迫しています。
価格はいつ正常化しますか。
S&Pグローバル・レーティングは、メモリの供給逼迫は2026年まで続く可能性が高く、正常化は2027〜2028年ごろと予測しています。あくまで予測であり、最新の見通しは各社の公式情報で確認してください。