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ランサムウェア被害43%増、AIが攻撃者を後押し

ランサムウェア被害43%増、AIが攻撃者を後押し

この記事の要点

GuidePointセキュリティの調査で、2026年第2四半期のランサムウェア被害が前年比43%増え、活動中の攻撃集団が91に達したことがわかった。AIが交渉や分析を効率化している実態を解説する。

セキュリティ企業のGuidePointセキュリティが2026年7月9日に公表した報告で、2026年第2四半期のランサムウェア被害者数が前年同期比43%増え、活動中の攻撃集団が108か国で91にのぼることがわかりました。攻撃者が盗んだデータの分析や交渉文面の作成にAIを使い、作業の効率を上げている実態も明らかになっており、AIの普及が攻撃側の生産性向上にもつながっている状況が浮き彫りになっています。

被害の規模

GuidePointセキュリティの報告によると、2026年第2四半期には2,279件のランサムウェア被害が報告され、前四半期比で7%、前年同期比では43%の増加となりました。活動中の攻撃集団は108か国にわたり91にのぼり、これは過去最多の水準です。上位5つの攻撃集団だけで、報告された攻撃全体の4割以上を占めており、少数の集団が高い頻度で攻撃を繰り返す構図が続いています。

AIはどこで使われているのか

報告では、攻撃者が大規模言語モデルを使って盗み出したデータを分析し、被害者への交渉をより効果的に進めている実態が指摘されています。盗んだ情報の中から交渉材料になりそうな内容を素早く見つけ出したり、被害者に心理的な圧力をかける交渉文面を作成したりする用途が中心です。一方で、AIだけで攻撃全体を自動化するような、これまでにない深刻な脅威が広く実現しているという見方については、報告は慎重な立場を示しています。AIを悪用した攻撃手口の全体像はAIを悪用したなりすまし・フィッシングと企業の防御策でも整理しているので、対策の参考になる。

単独犯行型の攻撃も報告されている

7月初旬には、人の手をほとんど介さずAIエージェントが自律的にランサムウェア攻撃を進めた事例が報じられています。AI単独でランサムウェア攻撃JADEPUFFERで解説したこの事例は、今回の調査が示す「AIは補助的な効率化に使われている」という全体傾向とは別に、より自律性の高い攻撃が個別に確認され始めていることを示しています。また、米英加豪NZの5か国はAIサイバー攻撃が数か月内に激化すると警告しており、攻撃側の高度化は今後さらに進むとみられます。

攻撃側の集中と分散が同時に進む

活動中の攻撃集団が過去最多の91に達した一方、上位5集団だけで全体の4割以上を占めているという結果は、攻撃の担い手が増えながらも、実行力を持つ主要な集団への集中が同時に進んでいることを示しています。攻撃集団の裾野が広がるほど、企業側は一つの手口や集団だけを想定した対策では不十分になり、複数の攻撃パターンを前提にした備えが必要になります。特定の攻撃集団の手口だけを追いかけるのではなく、不審な挙動を早期に検知する仕組み全体を底上げする発想が求められます。

現場の実務にどう効くか

ランサムウェア被害が前年比43%増えている状況を踏まえると、企業はバックアップ体制の見直しと、AIを使った交渉文面や偽のメールを見分ける社員教育の両方を進める必要があります。攻撃者がAIで交渉文面を洗練させている以上、これまでの「不自然な日本語」を見分ける基準だけでは不十分になりつつあります。添付ファイルの取り扱いルールやアクセス権限の見直しなど、基本的な対策を継続的に点検することが、攻撃集団の数が増え続ける状況下でも被害を抑える最も現実的な手段です。中小企業でも今日から始められる対策は中小企業のAIセキュリティ最低限チェックリストにまとめているので、体制の点検に活用してほしい。

出典

よくある質問

AIがランサムウェア攻撃そのものを自動で実行するのですか。

今回の報告では、盗んだデータの分析や身代金交渉の文面作成など、攻撃者の作業効率を上げる補助的な用途が中心とされています。AIだけで攻撃を完結させる新種の脅威は、現時点では限定的だと報告は指摘しています。

中小企業も対策を急ぐ必要がありますか。

活動中の攻撃集団が91に達し、対象は特定の業界や企業規模に限定されていません。バックアップ体制や不審なメールへの注意喚起など、基本的な対策を徹底することが、企業規模を問わず被害を防ぐ土台になる。