富士通、AI活用の刷新サービスで移行4割短縮
この記事の要点
富士通が7月14日、生成AIと実践知を組み合わせたシステム刷新サービスを国内提供開始。移行期間を約40%短縮する仕組みを解説する。
結論
富士通は7月14日、長年のシステム刷新業務で培った実践知と生成AIを組み合わせた「Fujitsu AIドリブンモダナイゼーションサービス」を国内で提供開始した。複数のAIモデルと専門エンジニアの知見を組み合わせ、システムの書き換えや基盤移行を自動化・最適化することで、移行期間を約40%短縮できるとしている。老朽化した基幹システムの刷新を検討している企業にとって、生成AIを使った刷新プロジェクトが具体的な期間短縮の数字とともに提示された事例だ。
いつ、誰が、何を発表したか
このサービスは、富士通が独自に開発したAI基盤「Fujitsu Kozuchi」と大規模言語モデル「Takane」に加え、AnthropicのClaudeやOpenAIのGPTといった外部の最先端AIモデルを組み合わせて構成されている。富士通が数千規模のシステム刷新プロジェクトで蓄積してきた成功例・失敗例をナレッジとして言語化し、専用のAIエージェントに学習させることで、場所や時間を問わず一定の品質でモダナイゼーション作業を進められる体制を整えたという。中心となるのは、レガシー技術に精通した「モダナイゼーションマイスター」と呼ばれる専門エンジニアの知見と、マルチAIエージェントによる自動化の組み合わせだ。
対応する作業範囲はリライトとリホストを中心としており、これらの工程を自動化・最適化することで顧客企業の移行期間を約40%短縮できると発表されている。7月15日・16日には「Fujitsu Experience Day 2026」が東京で開催され、本サービスのデモンストレーションも行われた。会場では初日を「AI Growth Day」、2日目を「AI Action Day」と位置づけ、データとAIを軸にした変革の全体像から実装までを展示とセミナーで紹介した。
このサービスの特徴は、AIモデルの性能だけに頼るのではなく、富士通の技術者が数千規模のプロジェクトで積み重ねてきた実践知をデジタル化し、AIエージェントに学習させている点にある。老朽化したシステムの刷新は、担当エンジニアの経験や勘に依存する部分が大きく、属人化しやすい業務とされてきた。この属人的な知見を言語化してAIに学習させるアプローチは、モダナイゼーションに限らず、他の専門業務にも応用できる可能性を示している。
現場の実務にどう効くか
老朽化した基幹システムの刷新は、多くの企業でコストと期間の見通しが立てにくい課題になっている。AIを活用したモダナイゼーションサービスが実際の短縮効果を数字で示したことで、刷新プロジェクトの予算や期間を経営層に説明する際の参考材料が一つ増えた。AI導入の費用対効果を整理する考え方は生成AI導入の費用対効果の考え方にまとめている。
ベンダーが提示するAI活用の効果を鵜呑みにせず、自社のシステム規模や複雑さに照らして妥当性を確認する視点も欠かせない。AIツールやサービスを選定する際に確認すべき観点はAIツールを比較するときに見るべき7つの観点や法人向けAIのデータ取り扱い確認ポイント 契約前に押さえる7項目が参考になる。基幹システムの刷新は情報システム部門だけでなく事業部門にも影響が及ぶため、部門横断でのAI活用推進の進め方は部門横断でAIを広げる進め方 抵抗を減らす展開法も確認しておくとよい。
情報システム部門がベンダーと打ち合わせを行う際は、40%という短縮幅の算出根拠、対象となる工程の範囲、自社の既存システムとの相性を具体的に確認することが望ましい。リライトやリホストだけでなく、業務要件の再定義や移行後のテストにかかる期間まで含めた見積もりかどうかも、費用対効果を正しく判断するうえで欠かせない確認点になる。
国内企業の多くが抱える基幹システムの老朽化問題は、対応できる技術者の高齢化や退職とも絡み合っており、単純な予算の問題にとどまらない。富士通が実践知そのものをAIに学習させるという方向性を打ち出したことは、属人化した技術継承の課題に対する一つの解決策の提示でもある。同様のアプローチを取る競合ベンダーも今後出てくると見られ、システム刷新を検討する企業には比較材料が増えていくだろう。
想定される影響
40%という短縮幅は富士通の実績に基づく数字であり、すべての刷新プロジェクトで同じ効果が出るとは限らない。既存システムの複雑さや業種特有の要件によって、実際の効果は案件ごとに異なる。導入を検討する企業は、自社の状況に近い事例が公開されているかを確認し、個別の見積もりを取ったうえで判断することが重要だ。
出典
- 生成AIとモダナイゼーション実践知でレガシーシステムの刷新を加速する「Fujitsu AIドリブンモダナイゼーションサービス」を提供開始 — 富士通公式プレスリリース
- 富士通、マルチAIエージェントでモダナイゼーションを加速させる新サービス提供開始 — EnterpriseZine
- ニュース 実践知と生成AIを融合した「Fujitsu AIドリブンモダナイゼーションサービス」 — Impress Watch
よくある質問
このサービスはどんな企業が対象ですか。
長年使ってきた基幹システムの刷新を検討している企業が主な対象です。料金体系や提供条件の詳細は公式発表で確認してほしい。
移行期間が40%短縮できる根拠は何ですか。
富士通が数千規模のシステム刷新プロジェクトで蓄積した成功・失敗事例をデジタル化し、専用のAIエージェントに学習させることで、リライトやリホストの作業を自動化・最適化していると説明されています。実際の短縮幅は個別プロジェクトの内容によって変わります。