プロンプト技術

文章校正・推敲のプロンプト 品質を上げる指示の書き方

文章校正・推敲のプロンプト 品質を上げる指示の書き方

この記事の要点

AIに文章を校正させるには「何を直してほしいか」を5つの観点で明示する。誤字脱字・文体統一・わかりやすさ・読みやすさ・ビジネス敬語の各観点でのプロンプト例と、校正精度を高める具体的な指示の書き方を解説します。

結論

AIに文章を校正させるとき、「校正して」だけでは不十分です。5つの観点——誤字脱字、文体統一、わかりやすさ、読みやすさ、ビジネス敬語——のどれを優先するかをプロンプトで指定することで、AIの出力精度が大きく変わります。

本記事では、各観点に対応した具体的なプロンプト例と、校正結果を使いやすくする指示パターンを紹介します。


なぜ「校正して」だけでは足りないのか

AIは指示があいまいだと、独自の判断で文章を書き換えます。結果として、原文の意図と異なる表現に変わったり、必要な専門用語が削除されたりすることがあります。

校正プロンプトで起きやすい問題は以下の3つです。

問題原因対処
意味が変わったAIが推敲まで実施「意味・構成を変えない」と明示
修正箇所が多すぎる全項目を一括修正観点を1〜2つに絞る
何が変わったかわからない差分表示の指示なし「変更前→変更後を列挙」と指示

「何を直してほしいか」を明示するだけで、これらの問題はほぼ解消できます。


観点1:誤字脱字・表記ゆれの校正

誤字脱字と表記ゆれは、AIが最も得意とする校正タスクです。「サービス/サービス」「〜してください/〜して下さい」のような表記ゆれは、数千字の文章でも一括で検出できます。

以下の文章を校正してください。

【修正範囲】
- 誤字・脱字の修正
- 表記ゆれの統一(カタカナ表記・漢字・ひらがなの混在)
- 句読点の位置の修正

【修正範囲外】
- 意味・内容・構成は変えない
- 専門用語・固有名詞はそのまま残す

【出力形式】
修正した箇所を「修正前:〇〇 → 修正後:〇〇」の形式で列挙した上で、修正済み全文を出力してください。

【対象文章】
{{ここに文章を貼り付け}}

表記ゆれの統一は、社内の表記ルールを先に渡すとさらに精度が上がります。「当社では『サービス』に統一」と一行添えるだけで、判断基準が明確になります。


観点2:文体統一の校正

複数人が書いたドキュメントや、長期間にわたって更新されたマニュアルは、「です・ます調」と「だ・である調」が混在しやすい状態になります。

以下の文章の文体を統一してください。

【統一ルール】
- 「です・ます調」に統一する
- 箇条書きの末尾は「〜です」「〜ます」「〜してください」のいずれかで揃える
- 体言止めは見出しのみ許可する

【修正範囲外】
- 文章の意味・構成・情報量は変えない
- コードブロックや引用符内は修正しない

【出力形式】
修正後の全文のみを出力してください。

【対象文章】
{{ここに文章を貼り付け}}

社内規定で「だ・である調」を使っている場合は、ルールをそのまま書き換えて使えます。「箇条書きの末尾」まで指定することで、見落としがちな部分まで統一できます。


観点3:わかりやすさの改善

「わかりにくい」という指摘を受けたとき、具体的にどこが問題かをAIに特定させるプロンプトが有効です。単に「わかりやすくして」では範囲が広すぎます。

以下の文章を読んで、わかりにくい箇所を指摘してください。

【確認してほしいポイント】
1. 主語と述語が対応しているか
2. 指示語(これ・それ・あれ)が何を指すか明確か
3. 一文に複数の情報が詰め込まれていないか
4. 前後の文章に論理的なつながりがあるか

【出力形式】
問題のある箇所を引用し、なぜわかりにくいかを説明した上で、改善案を提示してください。
全体を書き直すのではなく、問題箇所のみを対象にしてください。

【対象文章】
{{ここに文章を貼り付け}}

このプロンプトは「指摘モード」として機能します。全文を書き直させるのではなく、問題箇所を特定させることで、筆者の意図を保ちながら改善できます。


観点4:読みやすさの改善

一文が長すぎる、段落が均一でない、接続詞が不自然——こうした読みやすさの問題は、明確なルールをプロンプトに入れることでAIが対応できます。

以下の文章を読みやすく整えてください。

【適用ルール】
- 一文は原則50字以内。50字を超える場合は分割する
- 「しかし」「ただし」「また」「なお」の接続詞を適切に配置する
- 3文以上続いた同一の文末表現(「〜です」が連続など)はバリエーションを持たせる
- 段落は3〜5文を目安にする。長い段落は分割する

【修正範囲外】
- 意味・事実・情報量は変えない
- 専門用語・固有名詞はそのまま

【対象文章】
{{ここに文章を貼り付け}}

「一文50字以内」という数値基準を入れることが重要です。「短くして」という指示では、AIごとに解釈が異なります。数値で基準を示すことで再現性が高まります。


観点5:ビジネス敬語の修正

メール・提案書・議事録などのビジネス文書では、敬語の使い方が信頼性に直結します。AIは二重敬語や尊敬語と謙譲語の混用といった頻出ミスを高い精度で修正できます。

以下のビジネス文書の敬語を確認・修正してください。

【確認してほしい項目】
1. 二重敬語の有無(例:「おっしゃられた」→「おっしゃった」)
2. 尊敬語と謙譲語の混用(例:「お客様が参ります」→「お越しになります」)
3. 「させていただく」の過剰使用(必要な場面のみに限定)
4. 社外向けに不適切な表現(社内略語・カジュアルすぎる表現)

【出力形式】
問題のある表現を「修正前:〇〇 → 修正後:〇〇 理由:〇〇」の形式で列挙してください。
その後、修正済みの全文を出力してください。

【文書の用途】
{{社外向けメール / 提案書 / 議事録 など用途を記載}}

【対象文章】
{{ここに文章を貼り付け}}

「文書の用途」を明示するのがポイントです。社外向けメールと社内議事録では適切な敬語レベルが異なります。用途を指定することで、場面に合った修正が得られます。

なお、業界固有の慣習表現や社内独自のルールには対応できない場合があるため、最終確認は人が行う必要があります。


複数観点を組み合わせる場合の設計方針

5つの観点をすべて一度に指示するのは、原則として避けます。観点が多いほど、AIの判断が分散し、意図しない修正が増えます。

推奨する手順は以下のとおりです。

  1. まず誤字脱字・表記ゆれを修正する(事実確認を要しないため)
  2. 次に文体を統一する
  3. 最後にわかりやすさ・読みやすさを改善する

ビジネス敬語は、用途が決まっているメールや提案書に対して単独で実施するのが効果的です。

段階的に校正することで、各ステップの変更内容を把握しやすくなり、意図しない修正を見落とすリスクが下がります。


出力形式を指定することの重要性

校正プロンプトで見落とされがちなのが「出力形式」の指定です。

差分なしで全文を出力させると、どこが変わったかの確認に時間がかかります。以下のパターンを用途に応じて使い分けてください。

用途推奨出力形式
変更点を把握したい「修正前→修正後」を列挙後、全文出力
そのまま使いたい修正済み全文のみ出力
指摘だけ受けたい問題箇所と理由のみ、書き直しなし
差分をコードで管理diff形式で出力

出力形式を指定するプロンプト術では、フォーマット指定全般のテクニックを詳しく解説しています。


校正プロンプトの再利用設計

同じ種類の文書を繰り返し校正する場合は、プロンプトをテンプレート化すると効率が上がります。変更が必要な部分を {{変数名}} で囲んでおくことで、毎回の調整が最小限で済みます。

## 校正プロンプトテンプレート(メール用)

以下のビジネスメールを校正してください。

送信先:{{社外/社内}}
文書種別:{{メール/提案書/議事録}}
優先観点:{{誤字脱字のみ/文体統一/敬語確認}}

【共通ルール】
- 意味・構成は変えない
- 変更箇所を「修正前→修正後」で列挙してから全文出力

【対象文章】
{{文章を貼り付け}}

プロンプトのテンプレート化と再利用では、変数の設計方法やチームへの展開手順を詳しく説明しています。


まとめ

校正プロンプトの品質を高める要素は以下の4点です。

  • 観点を1〜2つに絞って明示する
  • 修正範囲外を明記して意図しない変更を防ぐ
  • 出力形式を指定して確認コストを下げる
  • 文書の用途・送信先を追記して文脈を与える

AIの校正を活用する際の注意点として、業界固有の慣習表現、社内独自のルール、法的な要求事項への対応は限定的です。最終的な品質確認は必ず人が行ってください。

プロンプトの書き方の基本では、校正以外のビジネス用途でのプロンプト設計方法を解説しています。またそのまま使えるビジネスプロンプト集には、メール・報告書・提案書など用途別のテンプレートをまとめています。

よくある質問

AIに校正させるとき、最低限指定すべきことは何ですか?

「何を直してほしいか」を明示することが最優先です。誤字脱字なのか、文体なのか、わかりやすさなのかを指定しないと、AIは独自判断で書き換えを行い、意図と異なる修正が混入します。

AIの校正でビジネス敬語のミスはどこまで直せますか?

二重敬語・尊敬語と謙譲語の混用・「させていただく」の多用といった頻出ミスは高い精度で修正できます。ただし業界慣習や社内ルールへの対応は限定的なため、最終確認は人が行う必要があります。

文章の意味を変えずに読みやすくするプロンプトはありますか?

「意味・事実・構成を変えずに、一文を50字以内に収め、接続詞を適切に配置して読みやすくしてください」という指示が有効です。変更箇所を明示させると差分確認が楽になります。

校正と推敲の違いをAIに使い分けさせる方法は?

「校正モード:誤字脱字・表記ゆれ・句読点のみ修正」「推敲モード:論理構成・文体・読みやすさも改善」と役割を明示してプロンプトに入れると、目的に応じた出力を得られます。