Copilotで社内規程のたたき台を作る手順
この記事の要点
Microsoft CopilotをWordと組み合わせれば、社内規程のたたき台を数分で出力できる。プロンプト例と修正ポイント、M365統合版の操作手順を解説。
結論
Copilotを使うと、社内規程のたたき台を30分以内に手元に置ける。ゼロから条文を考える作業がなくなり、法務確認や条項の調整という本来の仕事に集中できる。M365統合版ならWordを開いたまま作業が完結し、スタンドアロン版でもブラウザひとつで同じアウトプットが出せる。
前提:必要なプランとアクセス方法
Copilotには大きく2つのアクセス経路がある。
スタンドアロン版(copilot.microsoft.com) Microsoftアカウントがあれば無料でアクセスできる。ビジネス向けの有料プランも存在し、プランによって利用できるモデルや機能が変わる。最新情報は公式サイトで確認すること。
Copilot for Microsoft 365(M365統合版) Word・Excel・PowerPoint・Outlook・TeamsのリボンにCopilotボタンが表示される。Word上でたたき台を生成してそのまま編集できるため、規程作成との相性が特に高い。利用にはMicrosoft 365 Business StandardまたはBusiness Premium相当のライセンスが必要。詳細は管理者または公式サイトで確認すること。
以下の手順はスタンドアロン版・M365統合版の両方で使える。操作上の差異がある箇所はそれぞれに言及する。
手順1:目的と規程の種類を決める
作業前に以下を確認しておくと、プロンプトが明確になる。
- 何についての規程か(例:テレワーク、情報セキュリティ、副業・兼業)
- 対象者(全社員、特定部門、管理職のみ)
- 準拠すべき法令や既存規程(就業規則の附則として位置づけるかどうか)
- 会社の規模や業種(規程の粒度や表現レベルに影響する)
これらを事前に1段落程度にまとめておくと、プロンプトへそのまま貼り付けられる。
手順2:最初のたたき台を生成する
以下のプロンプトをそのままコピーして使える。[]内を自社の情報に書き換えること。
あなたは企業の人事・総務担当者です。以下の条件で社内規程のたたき台を作成してください。
【規程の種類】テレワーク勤務規程
【対象者】全社員(正社員・契約社員)
【会社規模】従業員300名程度の製造業
【準拠法令】労働基準法、労働安全衛生法
【既存規程との関係】就業規則の附則として位置づける
【特記事項】1日の作業開始・終了の報告方法を明記すること。費用負担(通信費・電力費)については補助方針を含めること。
以下の構成で作成してください。
1. 目的
2. 適用範囲
3. テレワーク勤務の申請手続き
4. 勤務場所
5. 勤務時間・休憩
6. 業務の開始・終了報告
7. 情報セキュリティの遵守
8. 費用負担
9. 服務規律
10. その他
各条項は「第〇条(見出し)」の形式で番号を振ってください。
M365統合版(Word)の場合 Wordを開き、リボンの「ホーム」タブにある「Copilot」ボタンをクリック。テキストフィールドに上記プロンプトを貼り付けて送信する。出力がドキュメント内に直接挿入されるため、すぐに編集に入れる。
スタンドアロン版の場合 copilot.microsoft.comを開き、チャット欄にプロンプトを貼り付ける。出力テキストをコピーしてWordに貼り付ける。
手順3:条項の粒度を調整する
最初の出力はたたき台として意図的に幅広く作られているため、自社の運用実態に合わせて絞り込む必要がある。
以下のような追加プロンプトで修正を指示できる。
第8条(費用負担)について、月額上限3,000円の通信費補助という形に具体化してください。また、補助の申請方法と支給タイミング(翌月の給与支払日)を条文に追記してください。
第3条(申請手続き)をもう少し詳しくしてください。申請期限(開始希望日の5営業日前)、承認者(直属の上長)、承認後の通知方法(メール)を含めてください。
一度の会話セッション内で修正を重ねていくと、文脈を保持した修正が可能になる。セッションをまたぐと文脈がリセットされるため、長い規程を作る場合は1セッション内で作業を完結させるか、その都度これまでの条文を貼り付けて引き継ぐこと。
手順4:他の規程との整合性を確認するプロンプトを使う
規程間の矛盾は、後から発覚すると修正コストが大きくなる。作成段階でCopilotに整合性チェックを依頼できる。
以下は当社の就業規則の第〇条(休日)の条文です。
[既存の条文を貼り付ける]
作成したテレワーク勤務規程の第5条(勤務時間・休憩)がこの条文と矛盾していないか確認し、問題があれば修正案を提示してください。
ただし、Copilotは法令の最新改正を反映しているとは限らない。最終的な整合性確認は法務部門または社会保険労務士が行うこと。
手順5:Wordで清書する(M365統合版の追加機能)
M365統合版では、Wordのドキュメントを選択した状態でCopilotに「この規程を読みやすいレイアウトに整えてください」と指示することで、見出しスタイルの統一や段落の整理を自動で行える。
また、Wordのコメント機能を使いながら「この条項についてCopilotに補足説明を求める」という使い方もできる。ドキュメント上の文字を選択してCopilotペインに「この条文の法的根拠を教えてください」と送ると、その条項に関する参考情報を返してくれる。あくまで参考として活用し、法的判断は専門家に委ねること。
うまくいかない場合のポイント
出力が抽象的すぎる場合 プロンプトの条件が少ないと、Copilotは汎用的な文章を返す傾向がある。「会社規模」「業種」「具体的な申請フロー」など運用レベルの情報を追加すると出力の具体性が上がる。
条文の番号がずれる場合 長い規程を複数回のやり取りで作る場合、条番号が前後でずれることがある。最後に「第1条から順番に通し番号を振り直してください」と依頼して整合させること。
出力が途切れる場合 条項数が多いと出力が途中で止まることがある。「続きを出力してください」と送ると再開できる。長い規程は3〜4章ずつ分けて生成し、最後に結合する方が安定する。
法令名が古い場合 Copilotの学習データには時点の制約がある。法令名や条番号を条文内に記載する場合は、e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp)で最新の条番号を確認すること。
作業時間の目安
| 作業フェーズ | 所要時間の目安 |
|---|---|
| プロンプト準備(条件の整理) | 5〜10分 |
| 最初のたたき台生成 | 1〜2分 |
| 追加修正(3〜5ターン) | 15〜20分 |
| Word清書・番号整理 | 10〜15分 |
| 法務確認前の最終確認 | 5〜10分 |
合計で30〜60分ほどでたたき台が完成する。従来のゼロ起こし(2〜3時間)と比べると、作業時間を大幅に圧縮できる。
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よくある質問
CopilotはどのプランでWord内から使えますか?
Word内のCopilotボタンはMicrosoft 365 Business StandardまたはBusiness Premium以上のプランに含まれるCopilot for Microsoft 365が必要です。スタンドアロン版(copilot.microsoft.com)はブラウザから無料でも利用できますが、Wordへの直接組み込みはM365統合版に限られます。詳細は公式サイトで確認してください。
社内規程の作成に使うとき、情報漏洩のリスクはありますか?
Copilot for Microsoft 365は組織のMicrosoft 365テナント内で動作し、入力データが外部モデルの学習に使われない設計とされています。ただしスタンドアロン版(無料)の場合はデータ保護の取り扱いが異なるため、機密情報を入力する前に社内のAI利用ポリシーを確認してください。
出力した規程の内容は法的に正しいですか?
Copilotの出力はたたき台であり、法的根拠や最新の労働関係法令への適合については必ず法務部門や社労士に確認してください。AIの出力をそのまま社内規程として施行するのは避けてください。
規程の種類によってプロンプトを変える必要はありますか?
はい。就業規則・情報セキュリティポリシー・経費精算規程など、規程の種類によって記載すべき条項が異なります。プロンプトに「何について定める規程か」「想定読者(全社員、管理職など)」「準拠すべき法令や既存規程との関係」を明示すると出力の精度が上がります。