総務の想定問答をAIで作る方法
この記事の要点
社内説明会や規程改定時に必要な想定問答を、AIを使って短時間で網羅的に作る手順を解説します。総務担当者が実際に使えるプロンプト例付き。
結論
社内説明会や規程改定の際に必要な想定問答は、AIを使えば30分以内に初稿を作れます。ポイントは「対象となる資料や背景情報をAIに渡す」「質問の角度を指定する」の2点です。ゼロから考えるより網羅性が高く、漏れが減ります。
想定問答づくりの何がつらいのか
総務担当者が想定問答の作成で時間を取られる理由は、大きく3つあります。
1つ目は、どんな質問が来るか予測が難しいこと。説明会の参加者は職種も役職も異なり、同じ資料を見ても疑問が違います。2つ目は、抜け漏れへの不安が止まらないこと。「この質問が来て答えられなかったら…」という心理が、確認作業を無限に続けさせます。3つ目は、回答の文章化に時間がかかること。答えは頭にあっても、適切な表現にまとめる作業は思いのほか手間です。
AIはこの3つをまとめて解決します。
使うAIツール
| ツール | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| ChatGPT(GPT-4o) | 多様な質問角度の生成が得意 | 幅広い職種・役職を想定した説明会 |
| Claude 3.5 Sonnet | 長文資料を丸ごと渡せる | 規程・ガイドラインを参照させたいとき |
| Copilot(Microsoft 365) | 社内Teamsやドキュメントと連携 | 既存の社内文書を活用したいとき |
社内情報を入力する場合は、必ず企業向けプランを使い、学習設定をオフにしてください。個人向けの無料プランや標準プランは、入力内容がモデル改善に使われる可能性があります。
手順:AIで想定問答を作る流れ
ステップ1:前提情報をまとめる
AIに渡す資料を用意します。含めると精度が上がる情報は以下の通りです。
- 説明会・告知の概要(何を、いつ、誰に説明するか)
- 変更点の要点(変更前と変更後の比較があると理想)
- 過去に受けた質問(あれば)
- 対象者の属性(全社員・管理職のみ・特定部署など)
ステップ2:プロンプトを組み立てる
以下のプロンプトをそのままコピーして使えます。
あなたは総務担当者のサポートをするアシスタントです。
以下の情報をもとに、社内説明会で想定される質問と回答のセットを作成してください。
【説明会の概要】
(例:2026年7月より、有給休暇の取得申請システムをA社ツールからB社ツールに切り替える。全社員が対象。)
【変更の要点】
(例:申請方法が紙→スマホアプリに変わる。承認フローは変わらない。過去の申請履歴は移行される。)
【作成条件】
- 一般社員・管理職・ベテラン社員それぞれの視点で質問を考えること
- 質問数は20問以上
- 回答は100字以内で端的にまとめること
- 「なぜ変えるのか」「困ったときはどこに相談するか」「例外はないか」の観点を必ず含めること
ステップ3:カテゴリ別に整理する
AIが出力した質問は、整理されていないと使いにくいです。以下のカテゴリに分類するよう追加プロンプトを送ります。
上記の想定問答を以下のカテゴリに分類してください。
カテゴリ:
1. 手続き・操作方法
2. スケジュール・期限
3. 例外・特例
4. 困ったときの連絡先
5. その他
ステップ4:抜け漏れを確認する
整理が終わったら、こう聞きます。
上記の想定問答に含まれていない視点や、追加すべき質問があれば提案してください。
特に「抵抗感を持つ社員」「制度の恩恵が少ない社員」の視点から見落としがないか確認してください。
ステップ5:回答のトーンを調整する
想定問答は社外に出るものではありませんが、トーンが硬すぎると社員に読まれません。
以下の回答を、社員が読みやすいよう自然な口調に直してください。
ただし敬語は維持し、事実関係は変えないでください。
(回答一覧をここに貼る)
具体例1:有給休暇申請システム切り替えの場合
総務部がA社ツールからB社ツールへの切り替えを説明する場面です。
変更の要点としては「申請がスマホから可能になる」「操作手順が変わる」「過去の申請履歴は引き継がれる」の3点を事前にまとめておきます。
AIにこの3点を渡してプロンプトを実行すると、以下のような質問が出てきます。
- スマホを持っていない社員はどうすればよいですか?
- 変更後も上長の承認は必要ですか?
- 移行作業中に申請した場合、どちらのシステムで処理されますか?
- 操作を間違えたときはどこに連絡しますか?
「スマホを持っていない社員」という視点は、担当者が見落としやすいポイントです。AIはこうした周辺の質問を広く拾ってくれます。
具体例2:就業規則改定の説明会
就業規則の副業・兼業ルールを改定した際の想定問答です。
改定の要点(許可制から届出制への変更、禁止業種の設定)をAIに渡し、「変更に反対する社員の視点からも質問を作ること」と条件を加えます。
通常であれば担当者が見落としがちな「副業収入が会社に知られるか?」「SNSでの発信は副業に該当するか?」といった質問が自動で生成されます。こうした”答えづらい質問”こそ、説明会前に準備しておく価値が高いです。
うまくいかない場合の対処法
質問が的外れ・浅い場合
背景情報が少ないと、AIは一般的な質問しか生成できません。「変更前と変更後の比較表」「過去の社員からの問い合わせ例」を追加で渡すと精度が上がります。
回答が長すぎる・硬すぎる場合
「回答は1文〜2文、口語に近い表現で」と制約を加えてください。字数制限を具体的な数字で指定(例:60字以内)するとより効果的です。
同じような質問が重複する場合
「重複する内容をまとめ、質問を20問に絞ってください」と指示します。AIは指示がないと類似質問を並べる傾向があります。
社内特有の用語が理解されていない場合
社内で使う略称や独自の職位名称などをプロンプトの冒頭に「用語説明」として追加します。例:「本社=東京オフィス、GC=グループ会社を指します」のように補足するだけで出力の精度が変わります。
作成した想定問答の活用方法
想定問答は「作って終わり」では効果が半減します。以下の使い方を組み合わせるとより効果的です。
- 説明会資料に添付:事前に参加者に配布しておくと、当日の質問時間を有効に使えます。
- 社内ポータルに掲載:説明会後も参照できるようにしておくと、問い合わせ件数が減ります。
- 次回の下敷きにする:同種の説明会を翌年も行う場合、今年の想定問答をAIに渡して更新する作業だけで次回分が作れます。
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よくある質問
想定問答作成にどのAIが向いていますか?
ChatGPT(GPT-4o)やClaude 3.5 Sonnetが文章の自然さと網羅性のバランスに優れています。社内情報を入力する場合は自社で契約した企業向けプランを使い、情報漏えいリスクを回避してください。
AIが作った想定問答をそのまま使っても良いですか?
そのまま使うのは避けてください。AIは社内の慣行や未公開情報を知らないため、事実確認・修正が必須です。叩き台として使い、担当者が加筆・修正してから完成とする運用が現実的です。
質問の抜けが心配です。どう確認しますか?
AIに対して『他に想定される質問はありますか?』と追加プロンプトを送ると、見落としを補完しやすくなります。また、過去の質疑応答記録や社内アンケートを参考資料として貼り付けると精度が上がります。
機密情報を含む規程の想定問答は作れますか?
個人情報・報酬情報・未公表の経営情報はAIに入力しないでください。そのような内容が含まれる場合は、機密部分を伏せた形で資料を要約してからAIに渡す方法が安全です。