職種別AI仕事術

経営企画の用語集をAIで作る方法

経営企画の用語集をAIで作る方法

この記事の要点

経営企画部門が社内向けに整備する用語集(KPI・財務・戦略用語など)をAIで効率化する手順を解説。新入社員向けの基礎用語集から役員会議向けの共通言語まで、プロンプト例付きで作れる。

結論

経営企画部門が社内向けに整備する用語集は、AIを使うと初期の50語分が半日以内に揃う。財務・戦略・KPIなどの専門用語を、対象読者のレベルに合った説明文で一気に出してもらえる。ゼロから書くと1語5〜10分かかる作業が、AIの下書きを確認・修正するだけになる。


経営企画が用語集を作る理由

経営企画部門が用語集の整備を求められる場面は複数ある。

  1. 新入社員・異動者のオンボーディング:部門内で日常的に使う財務用語・戦略用語が初日から飛び交う。「EBITDA」「YoY」「SWOTの具体的な使い方」を一から説明する時間を減らすために用語集があると役立つ。

  2. KPI定義の共通化:「売上」「粗利」「ARR」などの数値を複数の事業部が異なる定義で使っていると、月次レビューで数字が合わない事態が起きる。経営企画が定義を統一した用語集を作ることで、報告の混乱を減らせる。

  3. 役員会議・経営会議での共通言語の整備:中期計画や経営方針に出てくる独自用語(社内で使うプロジェクト名・フレームワーク名など)を定義しておくと、会議の場で言葉の意味確認に時間を取られなくなる。

  4. 社内教育・研修の補助資料:AI活用推進・DX・コーポレートガバナンスなど、新しいテーマが経営課題に上がるたびに関連用語を整理した資料が求められる。


使うAIツール

  • ChatGPT(GPT-4o): 用語の定義文生成が安定している。「〇〇の平易な説明」「上級者向けの解説」などトーンの切り替えが指示しやすい。
  • Claude: 大量の用語リストを一度に渡して一括で定義文を作るときに扱いやすい。
  • Notion AI: NotionをWikiとして使っている場合、Notionのデータベース内で直接説明文を生成できる。

手順:ステップ別の作り方

ステップ1:用語集の設計を決める

作り始める前に以下を確認する。

  • 対象読者(新入社員、管理職、役員など)
  • 対象領域(財務用語のみ、戦略用語含む、KPI定義など)
  • 1語あたりの説明の長さ(1〜2行の短い定義か、用例付きの詳細説明か)
  • 管理する形式(Notion、Excel、Word、PDFなど)

これが決まれば、プロンプトの設計がしやすくなる。

ステップ2:用語リストを洗い出す

用語集に入れる言葉をまず一覧化する。すべて自分で考えなくてよく、AIに候補を出してもらえる。

経営企画部門の新入社員(入社1〜2年目、文系出身)が最低限知っておくべき用語を50個リストアップしてください。

対象カテゴリ:
1. 財務・会計用語(15語程度)
2. 経営戦略・フレームワーク用語(15語程度)
3. KPI・データ分析用語(10語程度)
4. 経営企画業務でよく使う略語・社内用語候補(10語程度)

リストは用語名のみで出力してください。説明文は次のステップで作ります。

ステップ3:定義文を一括生成する

用語リストが揃ったら、定義文をまとめて作ってもらう。一気に50語を頼むより、カテゴリごとに依頼した方が精度が上がりやすい。

以下の財務用語について、経営企画部門の新入社員(文系出身)向けの説明文を作成してください。

【対象用語】
1. EBITDA
2. 粗利率
3. 営業レバレッジ
4. FCF(フリーキャッシュフロー)
5. ROIC

【説明文の形式】
・各用語について以下の構成で記述する
  - 定義(1〜2文)
  - 実務での使い場面(1文)
  - 関連用語(1〜2語、用語名のみ)
・専門用語は使わず、できるだけ平易な言葉で書く
・1語あたり100〜150字

Markdownのリスト形式で出力してください。

ステップ4:自社定義・自社事例を追記する

AIが出した定義文はあくまで一般的な説明。自社固有の以下の情報は人間が追記する。

  • 自社でのKPIの計算方法(例:自社でのARRの定義が業界標準と違う場合)
  • 自社プロジェクト・製品に関連する用語の社内定義
  • 財務数値の計算式(自社の連結ベースの定義など)

この追記がないと、用語集が汎用的すぎて社内では使いにくくなる。

ステップ5:Notionや管理ツール向けに整形する

完成した用語集をNotionのデータベースやExcelに転記しやすい形式で再出力する。

以下の用語集データを、Notionデータベースに転記しやすいテーブル形式に変換してください。

列:用語 | カテゴリ | 定義(〜150字) | 実務での使い場面 | 関連用語

(各用語の定義文を貼り付ける)

役員会議・経営会議向けの共通言語用語集の作り方

新入社員向けとは別に、役員・経営層が使う独自フレームワークや社内固有概念の用語集が必要になる場面がある。これは外部知識だけでは作れないため、AIの役割が変わる。

以下の情報をもとに、役員会議で使う社内用語の定義文を作成してください。

【用語名】
コアドメイン戦略

【背景・社内の使われ方】
当社の2025年中期計画で定めた概念。既存事業のうち利益率上位3領域に経営資源を集中し、その3領域での競争優位を強化する方針を指す言葉として社内で使用している。

【定義文の用途】
新任役員・管理職向けのオリエンテーション資料

以下の形式で作成してください。
・定義(2〜3文)
・背景(なぜこの言葉が生まれたか、1〜2文)
・実務での使い場面(具体的なシーン、1〜2文)

うまくいかない場合のポイント

定義文が抽象的すぎて実務に使えないとき

「この定義を読んだ新入社員が実際に使う場面を1つ挙げてください」と追加指示する。具体的なシーンを添えることで、用語の理解が定着しやすくなる。

用語数が多すぎて管理できなくなるとき

「使用頻度が高い用語」と「参考情報として知っておく用語」に分類する。AIに「この50語を頻出・参考に2段階で分類してください」と頼むと、優先度を整理できる。

更新が滞って古くなるとき

用語集の更新タイミングを業務サイクルに組み込む。年度計画の策定後・中期計画の発表後・新しい経営指標を導入したタイミングなど、変更が起きやすいタイミングで「更新が必要な用語はないか」のレビューを入れる。


具体的な活用場面2例

場面1:AI活用推進プロジェクトの社内用語集

経営企画がAI推進担当として全社へのAI活用展開を進めることになり、「プロンプト」「RAG」「ファインチューニング」「LLM」などの用語が飛び交い始めた。現場社員が会議についていけないという声を受けて、「文系ビジネス担当者向けのAI用語集30語」をAIで作成した。「難しい表現を使わず、具体的な業務への活用例を1つ必ず入れること」と指定した。30語分が1時間で揃い、確認と修正に1時間かけた。経営企画のタスク分解をAIで行う方法で計画した展開プロジェクトの最初の成果物として活用した。

場面2:KPI定義の統一用語集

営業部門と経営企画で「売上」の集計定義が違っており、月次レポートの数字が毎回合わないという問題が起きていた。経営企画が主導してKPI定義の統一を進めることになり、まず現状の用語の揺れをAIに整理してもらった。「以下の用語について、よくある定義の違いと揺れが起きやすいポイントを指摘してください」と各KPIを渡し、確認すべき観点を洗い出した。その後、自社の正式定義を各担当部門と確認し、最終的に統一定義の用語集を作成した。経営企画のKPI策定をAIでサポートする方法も合わせて参照してほしい。


用語集の維持・更新サイクル

作って終わりにしない仕組みが重要。

タイミング更新内容
年度計画策定後新しいKPI・施策名の追加
中期計画発表後新しい戦略フレームワーク・重点用語の追加
役員・管理職の交代後引き継ぎを兼ねた用語の再確認
規制・会計基準の変更時関連する財務用語の定義更新

更新サイクルの設計については経営企画の社内メモをAIで素早く作る方法で触れているメモ作成の習慣と組み合わせると、変更履歴も残しやすくなる。


注意点

AIが生成した用語の定義は一般的な説明として正確なことが多いが、会計基準・法規制に関する用語は最新の制度に合っているか確認が必要。特に「減損」「のれん」「時価評価」などは制度改正の影響を受けやすいため、公式の会計基準文書との照合を怠らないこと。また、自社固有の定義(計算方法・対象範囲)はAIには分からないため、必ず人間が追記してから配布する。

よくある質問

用語集をAIで作るとき、まず何を決めればいいですか?

誰のための用語集かを最初に決めてください。新入社員向けなら平易な説明、管理職向けなら実務での使い方が中心、役員向けなら意思決定との接点を重視した記述になります。対象者が変われば同じ用語でも説明の深さが変わります。

AIが出した用語の説明は正確ですか?

一般的な用語については精度が高いですが、自社固有の定義(例:自社でのROEの計算方法、KPIの具体値)はAIは知らないため、人間が追記・修正する必要があります。財務用語は特に最新の制度や自社の計算方法との整合を確認してください。

用語集はどのツールで管理するのが向いていますか?

NotionやConfluenceのようなWikiツールが更新のしやすさと検索性のバランスが取りやすいです。Excelでも管理できますが、リンクや関連用語の参照が煩雑になりがちです。

用語の数はどのくらいから始めればいいですか?

まず30〜50語から始めてください。網羅性を追いすぎると作成に時間がかかり、整備前に陳腐化します。使用頻度が高い用語を優先して揃え、後から追加する運用が現実的です。