経営企画の業務マニュアルをAIで作る手順
この記事の要点
経営企画担当者が予算管理・KPI報告・会議運営などの業務マニュアルをAIで作成する手順を解説。属人化解消に直結する構成の作り方とプロンプト例を紹介。
結論:マニュアル作成の最大の障壁は「書き出す手間」であり、AIはそこを解決する
経営企画のマニュアルが整備されない理由の多くは「書く時間がない」だ。業務自体は頭の中にあるが、それを文書化する作業に半日〜丸一日かかる見込みで手が止まる。
AIを使うと、業務の流れを箇条書きで渡すだけで、読み手に伝わる文書の骨格が5分以内に出力される。残り作業は「社内の実態に合わせた修正」だけになり、作業時間を8割近く削れる。
使うAIツール
マニュアル作成では文章の組み立てと論理整理が必要になるため、以下のどちらかが適している。
- Claude(claude.ai): 長い指示や複数の条件を正確に処理する。構成の提案から本文の生成まで一気通貫で頼める。
- ChatGPT(GPT-4o): テンプレートを複数出してから選びたい場合に向いている。
Notionを使っている場合は、Notion AIで直接マニュアルの文書を生成・編集できる。ツール内で完結するので、出力をコピー&ペーストする手間が省ける。
手順:6ステップでマニュアルを完成させる
ステップ1:マニュアル化する業務を選ぶ
すべての業務を一気にマニュアル化しようとすると挫折する。まず1つの業務に絞る。経営企画で優先度が高いのは以下の業務だ。
| 業務 | 属人化リスク | マニュアル化の効果 |
|---|---|---|
| 月次KPI報告書の作成 | 高い | 作成時間の均一化、新任引き継ぎ容易化 |
| 予算管理サイクルの進行 | 高い | タスク抜け漏れ防止 |
| 月次経営会議の事前準備 | 中程度 | 準備品質の標準化 |
| 役員向け資料の作成フロー | 高い | フォーマット・確認ルートの明文化 |
ステップ2:業務の流れを箇条書きに整理する
AIに渡す前に、業務の流れを頭から書き出す。この段階では文章の体裁を整えなくてよい。順番と要素が分かれば十分だ。
例:月次KPI報告書の作成フロー(箇条書き版)
- 毎月第2営業日に前月のKPIデータをBIツールから抽出
- 売上・コスト・人員の3カテゴリで実績と目標の差異を計算
- 差異が±5%を超えた項目については原因コメントを記入
- レイアウトはExcelの所定テンプレートを使用
- 完成後、上長にメールで送付(締め切りは月第4営業日12:00)
- 上長確認後、経営会議用スライドに転記
ステップ3:AIにマニュアルの構成を作らせる
手順2で作った箇条書きをAIに貼り付け、以下のプロンプトで構成を出力させる。
以下は「月次KPI報告書の作成」の業務フローを箇条書きにしたものです。
---
(手順2の箇条書きをここに貼り付ける)
---
この業務を担当者が初めてでも再現できるように、社内業務マニュアルとして整理してください。
以下の構成で作成してください。
1. 概要(この業務の目的と担当者)
2. 前提条件(必要なツール・権限・知識)
3. 作業手順(ステップ番号付き、各ステップに所要時間の目安も記載)
4. よくあるミスと対処方法
5. 関連資料・ツールのリスト
敬語は使わず、箇条書きと平語で書いてください。
数値や固有名詞が不明な箇所は【要確認】と記載してください。
「【要確認】」というマーカーをAIに付けさせるのが重要だ。推測で埋めてしまうと、人が修正箇所を見落とすリスクが上がる。
ステップ4:出力を修正する
AIが出力した文書を開き、以下の順で修正する。
- 【要確認】箇所を実際の数値・名称に書き換える — ツール名、締め切り日時、承認者の役職など
- 手順の順序が実態と一致しているか確認する — AIが出力した順序と実際の作業順が入れ替わっていることがある
- 前提条件に抜けがないか確認する — 特定システムへのアクセス権、特定フォルダへの書き込み権限など
修正後、「この内容で担当者が明日から実際に作業できるか」を第三者視点で読み直す。
ステップ5:フォーマットを整える
マニュアルを格納するツール(Word、Notion、Confluence等)に合わせて、AIに出力フォーマットを変換させる。
上記のマニュアルをMarkdown形式で再出力してください。
見出しはH2とH3のみ使用し、手順はナンバーリストにしてください。
Notionに直接貼り付ける場合は、Markdown形式で出力させると見出し・リストが自動で反映される。
ステップ6:定期更新の仕組みを作る
マニュアルは作って終わりではなく、業務変更・ツール更新のたびに更新が必要だ。更新作業にもAIが使える。
以下のマニュアルの「作業手順」部分を更新してください。
【変更点】
- 手順3で使うBIツールがTableauからPower BIに変更になった
- 月第4営業日の締め切りが、月第3営業日15:00に変更になった
マニュアルの他の部分は変更しないでください。変更箇所のみ修正した版を出力してください。
具体例1:予算管理サイクルのマニュアル
経営企画が年度予算の策定から月次モニタリングまでを管理するサイクルは、担当者が変わるたびに引き継ぎ工数が大きい業務だ。特に「どのタイミングで何の数字を誰に確認するか」というフロー情報は、経験者の頭の中にしかないことが多い。
このマニュアルを作るときは、「タスク一覧」「スケジュール」「関係者マップ」の3つをAIに別々に作らせ、最後に統合する方法が精度を上げやすい。1つのプロンプトで全部作らせようとすると、どれも浅くなる傾向がある。
経営企画担当者が年間を通じた予算管理業務を進めるための
タスク一覧を作成してください。
前提:
- 年度は4月始まり
- 本予算策定は12〜1月、修正予算は7〜8月
- 月次モニタリングはBIツールで数字を確認し、差異分析コメントを経営会議資料に記載
以下の形式で出力してください:
- 列:タスク名 / 時期 / 所要時間目安 / 関係部署 / 成果物
- 月別に整理する
不明な情報は【要確認】としてください。
ステップ例2:役員向け資料のフォーマット・確認ルートのマニュアル
役員向け経営会議資料の作成フローは、提出先の役員の好みや社内ルールが色濃く反映される業務だ。このマニュアルは、「フォーマット規定」と「確認ルート」を分けて作成するとメンテナンスしやすい。
フォーマット規定の例(AIへの入力):
- スライドツールはPowerPoint、テンプレートはSharePointの○○フォルダに格納
- 1スライドの文字数は150字以内、グラフは必ず前期比・計画比を併記
- 表紙・目次・エグゼクティブサマリー・本編・参考資料の順で構成
この情報を渡すだけで、AIが読み手が迷わない「フォーマットマニュアル」を作成する。
うまくいかない場合のポイント
出力が抽象的で「再現できない」レベルにある
プロンプトに「初日に着任した担当者が、この文書だけを読んで作業を完了できるレベルの具体性で書いてください」という条件を追加する。「再現できる」という基準を明示するのが効果的だ。
手順が多すぎて読み手に伝わらない
AIは情報を網羅しようとして手順数が増えることがある。「手順は最大10ステップに絞ってください。それを超える場合はサブ手順に分けてください」と指示すると整理される。
既存のマニュアルと構成がバラバラになる
社内で使っているマニュアルの構成例をそのまま貼り付け、「このフォーマットに合わせて作ってください」と伝えると統一される。
関連記事
マニュアルに記載する業務フローの整備を進めている場合、経営企画の業務チェックリストをAIで作る方法と組み合わせると、マニュアルとチェックリストを連動させた管理体制を作れる。経営会議向け資料の作成フローを整備したい場合は経営企画の会議準備をAIで段取りする方法も参考にしてほしい。事業計画書の文書化については経営企画の事業計画書をAIで作る方法で扱っている。
よくある質問
経営企画のマニュアルはどのカテゴリから作り始めると効果的ですか?
担当者が変わったときに引き継ぎ工数が最も大きい業務から作るのが効果的です。経営企画では予算管理サイクル、KPI報告書の作成手順、月次経営会議の事前準備が属人化しやすく、優先度が高い傾向があります。
AIが作ったマニュアルをそのまま使っても大丈夫ですか?
AIが出力した文章は必ず人が確認し、社内の実態・ルール・ツール名に合わせて修正してください。特に数値・締め切り・承認フローはAIが推測で補完することがあるため、人が正確な情報に書き換える必要があります。
既存のマニュアルを更新するときもAIは使えますか?
使えます。既存マニュアルのテキストをAIに貼り付け、変更点(例:担当者変更、ツール更新)を伝えれば差分更新版を出力できます。全面書き直しより部分修正の用途が特に効率的です。