営業のデータ集計・分析をAIで行う手順
この記事の要点
受注データや顧客管理表をAIに読み込ませ、傾向分析・勝率算出・異常値発見を行う手順。Excelを渡すだけで使えるプロンプト例と、分析結果の読み方を解説。
結論
受注データや活動履歴をCSV・Excelでエクスポートし、AIに渡せば集計・傾向分析・異常値の発見を30分以内で行えます。SFAの使い方がわからなくても、データが手元にあればAIが代わりにやってくれます。
プログラミング不要で、「この表を月別に集計して」「勝率が低い商品はどれか教えて」と話しかけるだけで動きます。ただし解釈の最終判断は必ず人間がします。
使うAIツール
**ChatGPT(GPT-4oのCode Interpreter機能)**が最も使いやすいです。ExcelやCSVをアップロードしてPythonコードを自動生成・実行し、グラフも出力できます。有料プランが必要です。
**Claude(claude.ai有料プラン)**もCSVやExcelを読み込んで数値の整理・傾向のテキスト要約ができます。
どちらも個人情報・機密データを含む場合は社内の情報セキュリティ規定に従って使用してください。企業向けAPIプランでデータが学習に使われない設定を確認するのが先決です。
手順:営業データをAIで分析する
ステップ1 データを用意する
SFAやExcelで管理している受注データ・商談データを用意します。最低限あると分析できる列は次の通りです。
| 列名 | 内容の例 |
|---|---|
| 商談ID | 一意のID |
| 顧客名 | 社名(機密の場合は仮名化) |
| 担当者 | 営業担当の氏名 |
| 商品・サービス名 | 製品カテゴリ |
| 商談金額 | 数値(円) |
| 商談開始日 | YYYY/MM/DD |
| 結果 | 受注・失注・継続 |
| 失注理由 | 価格・競合・期限切れ等 |
個人情報(顧客の個人名・連絡先)は渡す前に除外または仮名化します。企業名はリスク判断の上で対応します。
ステップ2 ChatGPTにファイルをアップロードする
ChatGPTのGPT-4oを選択し、入力欄のクリップアイコンからExcelまたはCSVをアップロードします。ファイル名が表示されれば読み込み完了です。
ステップ3 分析プロンプトを入力する
以下をコピーして使えます。
添付のデータは営業チームの商談管理表です。
以下の分析をお願いします。
1. 月別の商談件数と受注件数の推移(表形式)
2. 担当者別の勝率(受注数÷総商談数)
3. 商品カテゴリ別の平均商談金額と受注率
4. 失注理由の分類と件数(多い順)
5. 上記から読み取れる課題と改善のアクション案を3点
分析の根拠となる数字を必ず示してください。
解釈・アクション案は推測であることを明記し、断定しないでください。
ステップ4 グラフ出力を依頼する
テキストの集計結果に加えてグラフを出力させると、報告資料に使えます。
月別の商談件数と受注件数の推移を折れ線グラフで表示してください。
横軸は月、縦軸は件数、商談件数と受注件数を別の色で表してください。
ChatGPTのCode Interpretorが自動でグラフを描画します。画像として保存して月次報告書に貼り付けられます。
営業固有の活用場面
場面1:月末報告書の数字集計を30分で終わらせる
月次報告書の締め切りが翌日。SFAから商談データをCSVエクスポートし、Excelでフィルターをかけて手作業で集計していると1〜2時間かかっていた作業です。
このデータをそのままChatGPTに渡して次のプロンプトを使います。
添付のCSVは今月の商談データです。
月次報告書用に以下の数字を集計してください。
- 今月の新規商談件数
- 今月の受注件数・受注金額合計
- 今月の失注件数・失注金額合計
- 月末時点での案件パイプライン(継続中の商談の件数・金額合計)
- 先月との比較(%変化)
合わせて、今月の数字の特徴を2〜3文で所見として書いてください。
所見は数字から読み取れる事実にとどめ、推測は「〜と考えられる」と書いてください。
集計が出たら数字を報告書テンプレートに貼るだけです。フォーマットを変えたい場合は「この集計をマークダウンの表形式にしてください」と追加指示します。
場面2:失注の傾向から来月の戦略を立てる
四半期末に失注データを振り返り、次の四半期のアプローチを変えたい場面です。
添付は今四半期の失注データです。
以下の視点で分析して、次の四半期に向けたアクション案を出してください。
【分析してほしいこと】
- 失注理由の内訳と傾向(「価格」「機能不足」「競合」「時期」等の分類)
- 失注率が高い商品カテゴリ・担当者・顧客業種の組み合わせ
- 失注タイミングの傾向(商談開始から何日後に失注が多いか)
【アクション案の条件】
- データから明確に読み取れることだけを根拠にすること
- 「価格が原因で失注が多い」ような推測は「〜の可能性がある」と書くこと
- 具体的な行動に落とせるアクション3点を提案すること
このデータに基づいて提案書の構成を修正したり、商談前の準備のチェックリストを更新するきっかけになります。
テキストデータを数値化して分析する
顧客からのメール・アンケート回答・商談メモなど、数値でないテキストデータも分析できます。
以下は顧客へのアフターフォロー時に集めたヒアリングメモです(50件分)。
頻繁に出てくるキーワードや不満・要望を分類して、上位5テーマを教えてください。
件数と代表的なコメントを添えてください。
(ヒアリングメモ本文を貼る)
定性データを定量的に整理することで、製品改善や提案内容の見直しに使える示唆を引き出せます。
分析結果を報告資料に変換する
AIが出した分析結果を、上長への月次報告に使える形にします。
以下の分析結果を、営業部長へ報告するスライド1枚分の原稿にしてください。
【分析結果】
(AIが出した集計・分析テキストを貼る)
【スライドの条件】
- タイトル:今月の商談実績サマリー(○年○月)
- ポイントを3点に絞ること
- 数字を必ず含めること
- 来月のアクションを最後に1行書くこと
スライドの実際の作成は報告書・スライド作成の手順を参照してください。
うまくいかないときの対処
列名が日本語でエラーになる場合:「列名を英語に変換してから処理してください」と指示するか、Excelで事前に列名を英数字にします。
日付の形式が認識されない場合:「日付列はYYYY/MM/DD形式です」とプロンプトに明示します。
計算結果がおかしい場合:元データのサンプルを確認し、「この計算の根拠となったデータを3件見せてください」と追加質問して検証します。
グラフが文字化けする場合:ChatGPTのグラフは日本語フォントが対応していない場合があります。「グラフの軸ラベルを英語にしてください」と指示するか、データをコピーしてExcelでグラフを作り直します。
集計・分析の次のステップとしてExcelでの日常作業の自動化も参照してください。報告書への反映は報告書作成の手順でカバーしています。
よくある質問
Excelファイルをそのままアップロードして分析できますか?
ChatGPT(Code Interpreter)やClaude(有料プラン)ではExcel・CSVファイルをアップロードして集計・分析ができます。ただしデータが機密情報を含む場合は社内のデータ管理ポリシーを確認してから使用してください。
プログラミングができなくてもデータ分析はできますか?
はい、できます。AIはデータを受け取って集計・グラフ生成・傾向の読み取りを自然言語の指示で行います。ExcelやPythonの知識がなくても、「この列を月別に集計して傾向を教えて」という指示で動きます。
SFAやCRMのデータを使えますか?
SFAやCRMからCSVエクスポートしたデータをAIに渡すことができます。ただし個人情報・顧客名を含む場合は社内ポリシーを優先し、必要に応じて仮名化処理を行ってからAIに渡してください。
AIが出した分析結果は信頼できますか?
計算・集計の精度は高いですが、傾向の解釈や因果関係の推論は必ず人間が判断してください。AIは「相関がある」と言っても「なぜそうなったか」は文脈を持っていません。数字は正確でも解釈は経験で補う必要があります。