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イリノイ州、SB315署名で全米最強のAI安全法成立

イリノイ州、SB315署名で全米最強のAI安全法成立

この記事の要点

イリノイ州知事が2026年7月6日、AI安全対策法SB315に署名しました。壊滅的リスクの開示や年次第三者監査を義務化し、全米標準となる可能性が指摘されています。

イリノイ州知事のJBプリツカー氏は2026年7月6日、州法案SB315に署名し成立させました。法律名は人工知能安全対策法です。全米で最も強力とされるAI安全性と透明性の枠組みを持つ規制で、大規模な先端AIモデルを開発する企業に情報開示や年次監査への対応を義務づけます。イリノイ州に拠点や取引先を持つ企業は、対応状況の確認が必要になります。

何が起きたか

プリツカー知事は2026年7月6日、SB315への署名を公式に発表しました。法律の柱は、大規模な先端AIモデルを開発する企業に対し、壊滅的リスクをどう特定し評価しているかを説明する枠組みを公表させる点にあります。壊滅的リスクは、50人を超える死亡または重傷、あるいは100万ドルを超える物的損害につながりうる事象の可能性と定義されています。化学、生物、放射性物質、核兵器の作成や製造に専門家レベルの支援を提供することで、50人を超える死亡や重傷に重大に寄与しうる事態も対象に含まれます。イリノイ州政府とWTTWの報道によれば、この法律は開発企業に安全対策の情報開示、重大な安全上のインシデントの報告、堅牢なコンプライアンス体制の維持を求めます。署名は州議会での可決を経て行われたもので、州政府はこの法律を全米で最も保護的なAI安全法と位置づけています。対象となるのは、社会に広く影響を及ぼしうる規模の計算資源を用いて訓練された先端AIモデルを開発する企業で、州内で事業を行う中小のAI開発企業すべてが対象になるわけではありません。

SB315が定める義務の中身

法律が求める義務は大きく三つに分かれます。一つ目は、壊滅的リスクの評価枠組みの公表です。二つ目は、重大な安全インシデントが発生した際の報告義務です。三つ目は、年次の独立した第三者監査です。透明性連合の報道によれば、ニューヨーク州の同種の法律は1回限りの監査を求めるにとどまりますが、イリノイ州は毎年の監査を義務づけており、より踏み込んだ内容になっています。さらに法律は、AIの安全性に懸念を持つ従業員のための秘密の報告窓口を新設し、内部告発者を保護する規定も盛り込みました。開発企業の内部で安全上の懸念が握りつぶされる事態を防ぐ狙いがあります。違反した場合の具体的な罰則水準や施行の細部は、今後州側から示される運用指針を確認する必要があります。企業は法律の条文だけでなく、今後公表される施行に関する情報も継続して追う必要があります。

なぜ全米標準になりつつあるのか

カリフォルニア州、ニューヨーク州、イリノイ州の3州は、米国のAI市場の約4割を占めるとされています。連邦レベルでAI規制の統一ルールが定まらないなか、この3州が相次いで独自の安全規制を導入したことで、事実上の全米標準になりつつあるとの指摘が出ています。同様の動きはイリノイ州に限りません。コロラド州のAI法は2026年6月30日に施行され、ニューヨーク州議会でもAI関連法案が相次いで可決されています。米国内で事業を展開する企業は、州ごとに異なる規制の内容を個別に把握する負担が増しています。海外に目を向けると、EU AI法も2026年8月2日に高リスクAIシステムへの規制が本格適用される予定で、地域をまたいだ規制対応が経営課題になりつつあります。

現場の実務にどう効くか

イリノイ州に拠点や顧客を持つ企業、あるいはイリノイ州で事業展開するAI開発企業のツールを使う企業は、ベンダーが壊滅的リスクの評価枠組みを公表しているか確認する必要が出てきます。日本企業でも、米国子会社がイリノイ州で事業を行っている場合や、イリノイ州拠点の従業員がAIツールを業務で使っている場合は無関係ではありません。まず自社が利用しているAIベンダーの本社所在地や、モデルの提供先がイリノイ州の顧客を含むかどうかを棚卸しすることが出発点になります。次に、ベンダーが公表している安全対策の情報開示資料や、年次第三者監査の実施状況を確認します。監査結果が非公開の場合は、契約時にどこまで開示を受けられるかを取引条件に含めるかどうかの検討が必要です。州ごとに規制内容が異なる米国では、複数州で事業を行う企業ほど、どの州の基準が自社に適用されるかの整理が欠かせません。年次第三者監査の義務化は、AIベンダー選定時のデューデリジェンス項目にも影響します。調達担当者や法務部門は、既存の契約書にベンダーの安全情報開示義務や監査結果の共有義務が盛り込まれているかを点検し、不足があれば更新交渉の議題に加える段階に来ています。人事部門も無関係ではありません。イリノイ州拠点の従業員が生成AIツールを日常業務で使っている場合、利用規約や社内ガイドラインが州法の要求と整合しているかを確認しておく必要があります。こうした州単位の規制強化は、AIガバナンスの最新トレンドとしても、企業のリスク管理体制に共通する論点になっています。

出典

よくある質問

イリノイ州のAI安全対策法SB315とは何ですか。

2026年7月6日に成立した州法で、大規模な先端AIモデルを開発する企業に対し、壊滅的リスクの評価枠組みの公表、安全上のインシデント報告、年次の独立した第三者監査を義務づけます。

SB315はどの企業に適用されますか。

イリノイ州で大規模な先端AIモデルを開発・提供する企業が対象です。イリノイ州に拠点や従業員、顧客を持つ企業も、取引先ベンダーの対応状況を確認する必要があります。