OpenAI「ChatGPT Work」始動、GPT-5.6も全面公開
この記事の要点
OpenAIが7月9日、業務を代行するエージェント「ChatGPT Work」とGPT-5.6を一般提供した。同時にブラウザ「Atlas」の終了も決めており、機能をChatGPT本体に統合する。
結論
OpenAIが2026年7月9日、業務を長時間かけて代行するエージェント「ChatGPT Work」と、新しいモデル群「GPT-5.6」を一般提供した。同時に、単独のブラウザアプリ「ChatGPT Atlas」を終了し、その機能をChatGPT本体とブラウザ拡張機能に統合すると発表している。チャットで質問に答えるだけの生成AIから、複数のツールをまたいで作業をやり遂げるエージェントへと、主力製品の重心が移ったことを示す動きだ。
何が起きたか
OpenAIは7月9日、GPT-5.6の3モデル構成「Sol」「Terra」「Luna」を一般提供すると発表した。Solは複雑な推論やコーディング、生物学、サイバーセキュリティ分野で最も高い性能を目指すモデルで、Terraは一般的な業務用途、Luna は低コストで大量処理に向くモデルと位置づけられている。価格はSolが入力100万トークンあたり5ドル、出力30ドル、Terraが入力2.5ドル、出力15ドル、Lunaが入力1ドル、出力6ドルとなっている。
同じタイミングで発表された「ChatGPT Work」は、複数のアプリやファイルをまたいで長時間の作業を任せられるエージェントで、資料やスプレッドシート、簡易なウェブサイトの作成までこなす。提供は7月9日時点でPro、Enterprise、Eduプランから始まり、PlusとBusinessプランには数日以内に広がる見通しだ。これと引き換えに、2025年10月にMac向けに公開した単独ブラウザ「ChatGPT Atlas」は終了することになった。ブラウジング機能はChatGPT本体に組み込んだデスクトップアプリと、新設するChromeの拡張機能に引き継がれる。稼働開始からわずか9か月での終了であり、単独ブラウザではなく既存の場所に機能を統合する方針に転換したことがうかがえる。価格や提供時期の詳細は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトで確認してほしい。
なぜエージェントへの統合を急ぐのか
生成AIの価値は、質問に答えることから実際の作業を終わらせることへと移っている。OpenAIが専用ブラウザという新しい入り口を作るよりも、ChatGPTという既存の場所に機能を集約する判断をしたのは、利用者が新しいアプリを覚える負担を避け、使い慣れた場所で完結させたいという狙いがあるとみられる。エージェントの基本的な仕組みを押さえたい場合はAIエージェントとは?生成AIとの違いと業務への影響を参考にしてほしい。
Atlas終了が示す方針転換
ChatGPT Atlasは2025年10月にMac向けとして公開され、独立したブラウザとしてウェブ閲覧そのものをAIで置き換えることを目指していた。しかし公開から9か月というごく短い期間で終了が決まったことは、OpenAIの製品戦略における方針転換を示している。専用の新しいアプリを立ち上げて利用者に乗り換えを促すよりも、すでに多くの利用者が使い慣れているChatGPT本体やブラウザの拡張機能に機能を組み込むほうが、実際の利用を広げやすいという判断が働いたとみられる。OpenAIの元アプリケーション部門トップが「本業以外への寄り道を減らす」よう社内に指示していたとも報じられており、動画生成ツールSoraの縮小と合わせて、経営資源を主力製品に集中させる動きの一環と位置づけられる。
Sol・Terra・Lunaの使い分け
GPT-5.6の3モデル構成は、用途に応じて使い分けることを前提に設計されている。Solは複雑な推論やコーディング、専門性の高い分析作業に向き、費用は高めに設定されている。Terraは日常的な業務利用を想定した標準モデルで、コストと性能のバランスを取っている。Lunaは大量のリクエストを低コストでさばくことに特化しており、簡易な問い合わせ対応や下書き作成のような負荷の高い定型業務に向く。社内で複数の用途にAIを使い分けている企業は、業務内容ごとにどのモデルを割り当てるかを整理しておくと、無駄なコストを抑えられる。
現場の実務にどう効くか
ChatGPT Workのようなエージェントが本格的に使えるようになると、資料作成や簡単な集計作業を丸ごと任せられる場面が増える。ただし、社内の機密情報を扱うタスクを任せる前には、データの保存場所やアクセス権限の設定を必ず確認する必要がある。ツール選定を任されている担当者は、既存のChatGPT Enterpriseの契約でどこまでの機能が使えるのか、追加費用が発生するのかを早めに確認しておくと、現場からの問い合わせに対応しやすい。また、Atlasを試験的に導入していた企業は、終了に伴う移行作業が必要になるため、利用状況を早めに棚卸ししておくとよい。法人向けプランの比較は法人向け生成AIプラン比較 選び方と注意点、機密情報を扱う際の注意点は機密情報を守るAIツールの選び方 企業がチェックすべき5つの観点を参考にしてほしい。
出典
よくある質問
ChatGPT Workは誰が使えますか?
7月9日時点でPro、Enterprise、Eduプランのユーザーが利用でき、PlusとBusinessプランには数日以内に展開されます。料金や提供地域の詳細は公式情報で確認してほしい。
ChatGPT Atlasはどうなりますか?
単独のブラウザアプリとしては終了し、ブラウジング機能はChatGPT本体とChrome向けの拡張機能に統合される予定です。終了時期など詳細は公式発表で確認してほしい。