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デジタル庁、国産AIを国産クラウドで実証

デジタル庁、国産AIを国産クラウドで実証

この記事の要点

デジタル庁がtsuzumiなど国産AIをさくらのクラウドで稼働へ。日本のAI自律性確保に向け、政府職員向けに実証実験を始める。

結論

デジタル庁は7月10日、政府職員が使うAI基盤「源内」の実証実験の一環として、国産の生成AIモデルをさくらインターネットの「さくらのクラウド」上で稼働させると発表した。NTTの「tsuzumi2」、富士通の「Takane 32B」、Preferred Networksの「PLaMo 2.0 Prime」という3つの国産モデルを対象とし、8月までに環境を整え、9月から11月にかけて複数回のテストを行う。海外の大手クラウドとAIモデルに依存してきた行政のAI活用に、国産の選択肢を組み込む動きとして注目される。

いつ、誰が、何を発表したか

今回の取り組みは、政府職員向けの生成AI活用基盤「源内」のチャット機能を通じて提供される。対象の3モデルはいずれも国内企業が開発したもので、NTTのtsuzumi2は軽量な対話モデル、富士通のTakane 32Bは日本語処理に強みを持つモデル、Preferred NetworksのPLaMo 2.0 Primeは国産の大規模言語モデルという位置づけだ。稼働基盤には、政府機関や自治体向けにサービスを提供してきたさくらインターネットの「さくらのクラウド」を採用する。

デジタル庁は狙いとして、安全性を確認した国産AIの利用推進、行政現場からのフィードバックによる性能向上、政府調達を通じた安定した需要の創出の3点を挙げている。海外では中国、AI基盤に2950億ドル投資へ。国産チップ8割を要求のように自国のAI基盤を優先する動きが強まっており、日本国内でも国産AIモデルの育成策として国産AI「Noetra」始動、経産省が3873億円支援といった支援策が進む。今回の実証は、モデルだけでなく稼働基盤も含めて国内で完結させる点が特徴だ。

3つの対象モデルはそれぞれ特性が異なる。tsuzumi2は軽量で応答速度を重視した設計になっており、限られた計算資源でも動かしやすい。Takane 32Bは富士通が日本語の文書処理精度を高めて開発したモデルで、行政文書のような専門用語の多い文章の扱いに強みがあるとされる。PLaMo 2.0 Primeは、Preferred Networksが独自に開発を進めてきた大規模言語モデルで、国内での学習データを重視した設計になっている。3モデルを並行して試すことで、業務ごとに適したモデルを見極める狙いがあるとみられる。

今回の取り組みは、行政のAI活用における調達の在り方そのものにも一石を投じる。これまで政府機関がAIツールを導入する際は、海外の大手クラウド事業者が提供するモデルとインフラをセットで採用することが一般的だった。国産モデルと国産クラウドという組み合わせを実証段階から試すことで、調達先を分散させる選択肢を政府自身が確認しておく狙いがあるとみられる。行政のAI活用は今後さらに広がる見通しで、企業のAI統治、55%導入でも26%止まりで紹介したような統治の課題とあわせて、調達先の多様化も論点になっていくと考えられる。

現場の実務にどう効くか

官公庁や自治体向けにシステムを納める企業は、今回の実証結果を今後の政府調達の判断材料として注視する必要がある。特に、海外クラウド事業者のサービス提供条件やデータ保管場所に懸念を持つ組織にとって、国産モデルと国産クラウドを組み合わせた選択肢が実用段階に入りつつあることは重要な情報だ。民間企業でも、機密性の高い業務でAIツールを選ぶ際に、モデルの提供元だけでなく稼働基盤の所在地まで確認する動きが広がっており、SLMをオンプレミスで動かすメリットと注意点で触れた考え方が参考になる。

自治体のシステム担当者は、今回の実証で得られる性能データや運用上の課題が公表され次第、自組織での採用検討に活用できる。国産AI補助金の活用を検討する中小企業は中小企業向けAI支援制度・補助金の活用ガイドもあわせて確認しておくとよい。行政向けにAIソリューションを提案する立場の企業にとっては、今回の3モデルがそれぞれどんな業務に向いているかという実証結果が、今後の提案内容を組み立てるうえでの具体的な材料になる。海外製のモデルと比較した際の応答精度や処理速度の差がどの程度なのか、実証の中間報告が出た段階で確認しておく価値がある。

想定される影響

実証実験はあくまで試用段階であり、性能や運用コストが海外の主要モデルと比べてどうかは今後の結果次第だ。デジタル庁は9月から11月にかけて複数回のテストを行うとしており、正式な採用や本格導入の判断はその後になる。最新の進捗や採用状況は、デジタル庁の公式発表で確認してほしい。

国産AIをめぐる議論では、性能面で海外の主要モデルに見劣りするという指摘が根強くある一方、行政データを国内で完結させたいという安全保障上の要請も強まっている。今回の実証はその両方の観点を検証する試みといえる。国内のAI開発企業にとっては、政府調達という安定した需要先が見えてくることで、開発投資の判断がしやすくなる面もある。海外ベンダーへの依存度を下げたいと考える民間企業も、今回の実証結果を自社のAIツール選定における一つの参考事例として注視しておく価値がある。

出典

よくある質問

デジタル庁の実証実験では何を確認しますか。

NTTのtsuzumi2、富士通のTakane 32B、Preferred Networksのプラモ2.0プライムという3つの国産AIモデルを、政府職員向けAI基盤「源内」のチャット機能を通じて9月から11月にかけて複数回テストします。

国産クラウドと国産AIの組み合わせにはどんな意味がありますか。

AIモデルと稼働基盤の両方を海外ベンダーに依存しない体制を作ることで、行政データの取り扱いにおける自律性を確保する狙いがあります。詳細な調達方針は今後デジタル庁が公表する情報で確認してほしい。