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企業のAI統治、55%導入でも26%止まり

企業のAI統治、55%導入でも26%止まり

この記事の要点

SmarshとFTIコンサルティングの調査で、AIを実運用する企業が55%に達した一方、統治体制が追いついている企業は26%にとどまることがわかった。無断利用の実態と対策を解説する。

SmarshとFTIコンサルティングが2026年7月7日に公表した調査で、AIを業務に本格導入している企業が55%に達した一方、AI統治の体制が導入のペースに追いついていると答えた企業は26%にとどまることがわかりました。従業員が会社の許可なくAIツールを使う「シャドーAI」を体系的に検知できている企業も30%にとどまり、AI活用が実態として先行し、管理体制が後を追う構図が浮き彫りになっています。

調査の内容

この調査は「2026年版エンタープライズAI動向調査」として、FTIコンサルティングが実施しました。企業の62%がAIと機械学習への投資を進め、53%がデータの品質向上、51%が記録管理の仕組みを更新していると回答しています。一方で、AI統治の枠組みが導入のスピードに完全に対応できていると答えた企業は26%にとどまり、投資は進んでいても管理体制の整備が追いついていない企業が多数を占めることが示されました。

シャドーAIという盲点

調査で特に注目されたのが、従業員が会社の許可なく使うAIツールをどこまで把握できているかという点です。無断利用のAIを網羅的に検知し管理できると答えた企業は30%にとどまりました。無断利用されるAIは、記録の保存義務や監督義務、プライバシー保護の規程など、複数の規制に同時に触れる可能性があり、しかも会社側からは見えにくいという特徴があります。この種のリスクはシャドーAIのリスクと企業の対策で整理した内容とも重なり、対策が後手に回りやすい領域です。

なぜ導入と統治にずれが生じるのか

FTIコンサルティングの担当者は、AIへの準備は単なる技術面の課題ではなく、データ統治そのものの課題だと指摘しています。現場が使いやすさを優先してAIツールを導入する一方、情報システム部門や法務部門が利用ルールを整備するには一定の時間がかかります。この時間差が、導入率と統治率の20ポイント以上の開きとして表れています。似た構図は、本番稼働中のAIエージェントの半数近くが権限管理の面で無防備だったとする別の調査でも指摘されており、導入の速さに管理体制が追いつかないという課題は業界を通じて共通しています。

企業はどこから手をつけるべきか

対策の第一歩は、社内で実際に使われているAIツールを洗い出すことです。そのうえで、利用してよい情報の範囲を定めた社内ルールを整備し、記録として残す仕組みを組み合わせる必要があります。ルール作りの実務はAI利用の社内ガイドライン作成にまとめているので、まだ整備が済んでいない企業は着手の参考にしてほしい。あわせて、誰がどのAIをどこまで使えるかを記録し続ける仕組みも欠かせません。ログと監査の考え方は生成AIのログ・監査の考え方で解説しています。

規制の締め切りも同時に迫っている

統治体制の整備が急がれる背景には、規制側の動きも関係しています。米国ではイリノイ州が全米最強とされるAI安全法を成立させたほか、欧州連合では8月2日に高リスクAIシステムへの規制が本格適用される予定です。国や地域によって求められる対応は異なりますが、AI統治の枠組みを整えないまま導入だけを進めた企業ほど、規制対応に追われて後手に回りやすくなります。最新の法令要件は各国の公式発表で確認してほしい。

現場の実務にどう効くか

AI推進担当にとって、この調査結果は自社の立ち位置を確認する材料になります。導入率だけを追いかけて統治体制の整備を後回しにすると、情報漏洩や規制違反が発覚したときの対応コストがかえって大きくなります。まずは自社で使われているAIツールの一覧を作り、無断利用がどの程度あるかを現場へのヒアリングで把握することから始めるとよい。統治体制の整備は一度作って終わりではなく、AIツールの追加や利用範囲の拡大にあわせて定期的に見直す運用が必要です。四半期ごとに利用実態を棚卸しする仕組みを組み込んでおくと、導入と統治のずれを早期に発見できます。

出典

よくある質問

シャドーAIとは何を指しますか。

会社が正式に許可していないAIツールを、従業員が業務で無断に使う状態を指します。無料版のチャットAIに社内資料を貼り付けて要約させるような使い方も含まれ、記録義務や情報管理の規程に抵触する恐れがあります。

統治体制が整っていないとどんなリスクがありますか。

顧客情報や契約内容がAIサービスの外部に漏れる情報漏洩のリスクに加え、業種によっては記録の保存義務や監督官庁への報告義務に違反する恐れがあります。まず自社でどのAIツールが実際に使われているかを把握することが、対策の出発点になる。