Alibaba、Qwen3.7-Maxを公開。35時間自律動作
この記事の要点
AlibabaがWAICでQwen3.7-Maxを公開した。エージェント向けの基盤モデルで、性能劣化なく最長35時間の自律動作をうたう。自社チップも合わせて示し、モデルとインフラを一体で提供する狙いを鮮明にした。
結論
AlibabaがWAICで、エージェント向けの基盤モデルQwen3.7-Maxを公開した。エージェントの土台として設計され、コード生成や複雑な推論、長時間の連続作業に強みを持つとされる。性能を落とさずに最長35時間の自律動作をうたう。あわせて自社開発のチップも示し、モデルと演算基盤を一体で提供する構えを見せた。米国勢との性能差が縮まる中で、業務にどのモデルを選ぶかの選択肢がまた一つ増えた。
何が発表されたのか
Qwen3.7-Maxは、AIエージェントの基盤となることを狙ったモデルである。Alibabaは、エージェント的なコード生成、複雑な推論、長い工程を要する作業でこのモデルが力を発揮すると説明する。とくに強調されたのが自律動作の長さで、性能劣化なしに最長35時間、人の介在なく動き続けられるとした。この数字が実務でどこまで再現するかは、用途によって変わる。最新の仕様は公式で確認してほしい。
Alibabaはモデル単体でなく、演算を支えるチップも合わせて提示した。狙いは、中国のAIを支える基盤の担い手になることにある。モデルを動かすチップからクラウド、そのうえで動くエージェントまでを自社でそろえる構図である。演算基盤を外部に頼らず自社でまかなえれば、供給が絞られても事業を続けられ、コストも自社で管理しやすくなる。同じWAICでBaiduもチップからエージェントまでの一式を展示しており、基盤を丸ごとそろえる競争が中国勢の間で進んでいる。
コードや長い工程の作業に強いという設計は、業務での使い道を想定したものである。見積書の一括作成、社内システムへの入力、複数のツールをまたぐ調べ物といった、手順が定まっていても件数や工程が多い作業は、こうしたエージェント向けモデルの主な対象になる。ただし宣伝される性能と、個別の業務での安定した動作は分けて考える必要がある。
米中のモデル性能の差は縮んでいる。2026年3月時点の指標では、米国の最上位モデルが中国の最上位モデルに2.7ポイントの差をつけていたが、この差は年々狭まっている。WAICの会場では、Alibabaに加えてTencentやBaiduなどが基盤モデルとエージェントを展示した。同じ会場でMiniMaxが100万文脈対応のM3を出展しており、長文処理とエージェント性能を競う流れが続いている。
Qwenは中国外にも広がりつつある。中国当局は、Appleのサービス提供を認めるにあたり、AlibabaのQwenをAppleの基本ソフトに組み込む取り決めを背景にしたと報じられた。中国市場でのAppleのAI提供が当局に解禁された動きと連動している。
現場の実務にどう効くか
AI推進を担当する立場では、この発表を2つの軸で受け止めるとよい。
一つは、エージェントの実用性を測る目線である。長時間の自律動作は、複数手順の業務をAIに任せる際の要になる。ただし「35時間動く」という宣伝値と、自社の業務での安定稼働は別物である。実際に任せたい作業、例えば見積書の一括作成や社内システムへの入力を、短い工程から試し、どこで人の確認が要るかを見極めるほうが現実的である。エージェントの基本はAIエージェントとは何かを押さえたうえで、業務ごとに検証する。
もう一つは、モデル選定の視野を広げる目線である。業務で使うモデルは、性能だけでなくコストとデータの扱いで選ぶ局面が増えている。米国企業でも中国製オープンモデルの利用比率が最大46%に達したとの調査があり、コストを理由に乗り換える動きが出ている。一方で、社内データをどこで処理するかは慎重な判断が要る。安価さだけで選ばず、扱うデータの機密度に応じて処理先を分ける方針を先に決めておくと、後で運用が崩れにくい。
特定のモデルに業務手順を作り込みすぎると、提供条件の変更で手順が崩れる。出力を人が確認する工程を残し、モデルを差し替えられる余地を持たせておくことが、結果的に運用の安定につながる。
出典
よくある質問
自律動作35時間とは何を意味しますか。
人が逐次指示しなくても、AIが一連の作業を続けられる時間の長さを指します。コードの生成や複数手順のタスクを、途中で性能を落とさずに進められるとAlibabaは説明しています。ただし実際の作業での再現性は用途によるため、自社のタスクで検証が要ります。
Qwenは日本企業でも使えますか。
QwenはオープンなモデルとしてもクラウドAPIとしても提供されてきました。利用の可否や料金、データの取り扱いは提供形態で異なります。導入前に、社内で扱うデータをどこで処理するかを含めて公式の条件を確認してください。