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TARS、身体性AIの基盤モデルAWE 3.5を公開

TARS、身体性AIの基盤モデルAWE 3.5を公開

この記事の要点

TARSがWAICで、ロボット向けの基盤モデルAWE 3.5を公開した。100万時間超の人の作業データと視覚・触覚の情報で学習し、事前学習と事後学習を組み合わせた点を特徴とする。ロボットの土台にも大規模モデルの手法が広がってきた。

結論

TARSがWAICで、ロボット向けの基盤モデルAWE 3.5を公開した。100万時間を超える人の作業データに、視覚と触覚の情報を組み合わせて学習させた点が特徴である。文章を扱う大規模言語モデルで確立された「事前学習と事後学習」の手法を、ロボットの動作にも本格的に持ち込んだとする。物を扱うAIの土台が、個別のプログラムから汎用のモデルへ移りつつあることを示す発表である。

何が発表されたのか

AWE 3.5は、身体性AIの基盤モデルである。TARSは、ロボット向けの汎用モデルとして「事前学習と事後学習」の完全な枠組みを業界で初めて実現したと説明する。まず大量のデータで土台となるモデルを作り、その後に個別の作業へ合わせて調整する二段構えである。この手法は、文章や画像を扱う大規模モデルで成果を上げてきたが、それを現実の動作に適用した点が新しい。

学習に使ったデータの規模も示されている。人を中心とした現実世界の作業データが100万時間を超え、これに豊富な視覚情報と触覚情報を加えたとする。触覚を学習に含めるのは、物をつかむ、力を加減するといった作業で見た目だけでは足りないためである。割れやすい物や柔らかい物を扱うには、手に伝わる感触の情報が精度を左右する。実際の作業精度は用途によって変わるため、導入時には自社の工程での検証が要る。

事前学習と事後学習を分ける手法の利点は、汎用性と個別対応を両立できる点にある。まず大量のデータで幅広い動作の土台を作り、その後に特定の作業へ合わせて調整する。この二段構えなら、新しい作業のたびに一から動作を組み直さずに済む。文章を扱うモデルが、汎用の土台に少しの調整を加えるだけで多様な用途に対応してきたのと同じ考え方を、現実の動作に持ち込んだものである。

WAICの会場では、身体性AIが各社の主戦場になっている。智元は人型ロボット4機種を一挙に公開し、実機を会場で稼働させた。モデルとハードの両面で、現実の作業をこなすAIの層が厚くなっている。日本でもNVIDIAが物理AIの連携を広げAnthropicが半導体企業との提携で物理AIに参入するなど、机上の生成AIから現実世界へ軸足を広げる動きが続く。

現場の実務にどう効くか

製造や物流の現場を持つ企業にとって、この発表は考え方の転換を示す。

これまで産業用ロボットは、決まった動作を一つずつプログラムして動かすのが基本だった。工程が変わるたびに、専門の技術者が動作を組み直す必要があった。基盤モデルの考え方が広がると、汎用の土台を先に持ち、そこへ自社の作業を教え込む形に近づく。動作を一から作らず、調整で対応できる範囲が広がる可能性がある。

ただし、現時点で押さえるべきは期待の大きさより検証の重要さである。100万時間のデータで学習したという数字は、汎用性の高さを示すが、自社の特定の作業でそのまま高い精度が出る保証はない。導入を検討する場合は、扱う対象物、必要な精度、許容できる失敗率を明確にし、限られた工程で試してから広げるべきである。物を壊す、けがにつながるといったリスクがある作業では、人の監督を外す判断は慎重に行う。

もう一つの示唆は、現場の作業データそのものが価値を持つ点である。基盤モデルは大量の作業データで精度が決まる。自社の工程で人がどう作業しているかの記録は、将来AIに作業を教える際の資産になる。今すぐロボットを導入しなくても、手作業の工程を整理し記録しておくことは、後の自動化を進めやすくする。

この流れは、机上の生成AIとも地続きである。文章を扱うモデルで確立された学習の手法が、そのまま現実の動作へ応用されている。つまり、社内で生成AIの使い方を学び、どの作業をAIに任せられるかを見極めてきた経験は、身体性AIが実用に近づいたときにも生きる。文章の業務と物理の業務を別物として切り離さず、同じ「作業を任せる相手」として捉えておくと、技術の進展に合わせて活用範囲を広げやすい。最新のモデル仕様や提供条件は公式情報で確認してほしい。

出典

よくある質問

ロボット向けの基盤モデルとは何ですか。

文章を扱う大規模言語モデルと同じように、大量のデータで先に学習させておき、個別の作業に合わせて調整して使うロボット用のモデルです。動作を一つずつプログラムする従来のやり方と違い、汎用の土台から応用を広げる考え方です。

触覚データを使うと何が変わりますか。

物をつかむ、力を加減するといった作業では、見た目だけでなく手に伝わる感触が重要です。触覚の情報を学習に加えることで、割れやすい物や柔らかい物を扱う精度が上がると期待されます。実際の精度は用途ごとの検証が要ります。