OpenAIが法務特化のAstra for Law 判例2億超を検索
この記事の要点
OpenAIはGPT-6 Astraを法務向けに構成したAstra for Lawを公開した。2億3000万超の法情報を検索でき、法務ベンチの正答率は54%。まず大手法律事務所へ提供する。
結論
OpenAIは9月中旬、法務向けに構成したAstra for Lawを公開した。GPT-6 Astraをもとに、2億3000万を超える法情報を検索できる索引と、事務所向けの権限管理をつけたものだ。判例や法令の調査を補助するベンチマークでの正答率は54%で、通常のWeb検索を使うGPT-6 Astraの38.7%を上回った。まずは大手法律事務所に限定して提供し、契約や訴訟の下調べを速める狙いがある。法務部門のAI活用がどこまで進んだかを測る材料になる。
何が発表されたか
OpenAIによると、Astra for Lawは同社のGPT-6 Astraを法務作業向けに設定したものだ。米国の判例、制定法、規則、裁判所ルール、行政判断を含む2億3000万超のURLをまたいで検索でき、情報源は毎日追加されるという。法的な分析や文書作成のための指示があらかじめ組み込まれ、調査結果を依頼者の事実関係にあてはめたり、論点や弱点を洗い出したりする作業を補助する。
精度の指標も示された。Vals AIのLegal Research Benchという法務調査の試験で200問中54%に正答し、通常のWeb検索を使うGPT-6 Astraの38.7%を上回った。単純な検索よりも、法務に特化した索引と指示が効いた形だ。
提供の入り口は絞られている。当初は選定された事務所に対し、ChatGPTとCodex経由でTrusted Accessという枠組みで提供する。対象は売上上位の大手事務所が中心で、APIでの提供は後回しとされた。APIが開けば、HarveyやLegoraといった法務特化のサービスが自社製品に組み込める。導入初期の対象や条件は変わりうるため、最新は公式で確認してほしい。
情報の扱いにも配慮が示された。事務所向けのTrusted Accessではデータを保持しない設定が用意され、ChatGPT Enterpriseの利用は初期設定で人手による確認の対象から外れる。守秘性の高い法務情報を扱う前提の設計だ。
現場の実務にどう効くか
法務や契約を扱う部署にとって、下調べの速さが変わる可能性がある。判例や条文を横断して探し、論点や反論を先に洗い出す作業は、これまで人手と時間がかかっていた。そこをAIが下書きすれば、法務担当は判断と確認に時間を使える。導入できない企業でも、法務AIの精度が実務で使える水準に近づいているという前提で計画を立てられる。
一方で、AIの回答をそのまま使うのは危うい。誤った引用や古い条文を混ぜることがあり、最終判断は人が担う必要がある。まず何ができて何ができないかは法務部門のAI活用と注意点、契約書チェックの具体策はAI契約書レビューツール比較にまとめている。
守秘性の担保も選定の要点だ。入力した情報が学習に使われないか、保存されないかは契約前に確かめたい。この観点はゼロデータ保持とは?企業がAIツール選定で確認すべき点で整理している。競合の動きとしてはGoogle Cloudが法務向けGemini Enterprise提供 Harveyら連携も参考になる。
出典
よくある質問
Astra for Lawは誰でも使えるのか。
当初は選ばれた大手法律事務所にChatGPTとCodex経由で提供される。APIでの提供は後日とされ、HarveyやLegoraなどが自社サービスに組み込む。一般提供の時期は最新情報を公式で確認してほしい。
自社の法務でも参考になるのか。
直接使えなくても、法務AIの精度がどこまで上がったかの目安になる。契約書チェックや条文調査を補助する用途は、既存の法務向けAIツールでも試せる。