プロンプト技術

業種別プロンプト集 カスタマーサポート編 問い合わせ対応から報告まで

業種別プロンプト集 カスタマーサポート編 問い合わせ対応から報告まで

この記事の要点

カスタマーサポートで使える生成AIプロンプトを、問い合わせ回答・クレーム対応・FAQの整備・月次報告の4領域に分けて整理した。個人情報の取り扱いに注意しながら、対応速度と品質を同時に上げる使い方を示す。

CSでAIが効く3つの場面

カスタマーサポートでAIが特に有効なのは、定型的な問い合わせへの回答下書き、クレーム対応メールのトーン調整、FAQの整備だ。一方で、顧客の個人情報を含む内容はAIに渡さず、対応の判断は担当者が行う。

AIを使うことで、回答作成の時間を短縮しながら、表現の均質化と品質の底上げを同時に実現できる。

問い合わせ回答:定型問い合わせのテンプレート作成

以下の問い合わせに対する回答テンプレートを作成してください。

【問い合わせ内容】「注文した商品がまだ届きません。いつ届きますか」

【当社の回答方針】
- 通常配送は注文から3〜5営業日
- 配送状況はマイページのトラッキングで確認可能
- 配送遅延の場合は物流会社に問い合わせを依頼
- 10営業日を超える場合は再送または返金の対応をする

【トーン】丁寧・簡潔。顧客が次に何をすればいいか明確に伝える。

このテンプレートを5種類の変化形で作成してください。
(通常回答 / 遅延の可能性がある場合 / 明らかに遅延している場合 / 年末年始など繁忙期 / 配送先住所が誤っていた場合)

ポイント: 「5種類の変化形」を一度に出すと、ケースごとの対応が整理される。作ったテンプレートは社内の回答集に登録しておくと、担当者が毎回ゼロから書かなくて済む。

問い合わせ回答:技術的な問い合わせの説明文

以下の技術的な問い合わせに対する回答文を、非技術者の顧客にも分かる言葉で作成してください。

【問い合わせ】「アプリが起動しません。どうすればいいですか」

【確認してほしい手順】
1. スマートフォンを再起動する
2. アプリを削除して再インストールする
3. OSのバージョンを確認する(iOS 15以上・Android 12以上が必要)
4. 上記で解決しない場合はスクリーンショットを添付して問い合わせを

箇条書きを使い、各手順が30字以内の見出しとその説明文で書く。
難しい技術用語は使わない。

クレーム対応:謝罪メールのたたき台

以下の状況に対する顧客への謝罪・対応メールのたたき台を作成してください。
(※顧客の氏名は使わず「お客様」で統一してください)

【状況】
- 注文した商品とは異なる商品が届いた(発送ミス)
- 顧客はすでに2回問い合わせしており、対応に時間がかかっていた

【対応方針】
- 誤発送のお詫び
- 正しい商品を至急(翌日配送で)再送する
- 誤って届いた商品は返送不要とする
- 次回購入に使える1,000円クーポンをお詫びとして送る

【トーン】誠実・丁寧。言い訳は書かない。次のアクションを明確にする。

ポイント: クレーム対応メールは「謝罪→事実→対応策→次のアクション」の順に構成すると伝わりやすい。たたき台が出たら、事実の正確性を確認し、自社の口調に合わせて調整する。

クレーム対応:難易度の高い問い合わせのトーン確認

以下の顧客からの問い合わせに対する回答案を作成してください。

【顧客からの問い合わせ(要約)】
「3回も同じ問題が発生している。貴社の品質管理に問題があるのではないか。
改善策を具体的に教えてもらわないと、今後の取引を考え直す」

【事実関係】
- 同じ問題が3回発生したのは事実
- 原因はすでに特定済みで、来月のアップデートで修正される予定
- 修正まで回避策がある

【方針】事実を正直に開示しながら、誠実な対応で信頼回復を図る。
謝罪を含めつつ、具体的な改善の見通しを伝える。

FAQ整備:問い合わせからFAQ化

以下のよくある問い合わせをFAQとして整理してください。

【問い合わせ内容一覧】
- 「パスワードを忘れました」(月30件)
- 「メールアドレスを変更したい」(月15件)
- 「退会方法を教えてください」(月20件)
- 「領収書を発行してほしい」(月25件)

各FAQ項目を以下の形式で作成してください。
Q: (ユーザーが実際に検索しそうな言葉で)
A: (3〜5ステップで手順を示す。画面の説明は「●●のボタン」など仮置きでよい)

回答後、手順の詳細は実際の画面で確認して修正します。

ポイント: 問い合わせ件数が多い順に並べてからFAQ化を依頼すると、優先度の高い内容から整備できる。「●●」の仮置き部分を自分で埋める方式にすると、実態と合わせた精度の高いFAQが作れる。

月次:CS報告書の文章化

以下のデータをもとに、経営会議用のCS月次レポートを作成してください。

【データ】
- 今月の問い合わせ件数:1,240件(先月比 -8%)
- 平均初回対応時間:2.3時間(先月 3.1時間 → 改善)
- 顧客満足度(5段階評価の平均):4.2(先月 3.9 → 改善)
- 最多問い合わせカテゴリ:配送状況確認(全体の32%)

【伝えたい評価】
- 対応時間の改善は、AIを使った回答テンプレートの導入が効いた
- 配送状況の問い合わせが多いのは、トラッキング機能のUIに課題がある

300字以内で、数字の変化と要因・次の一手を含むコメントを作成してください。

社内共有:対応事例のナレッジ化

以下の対応事例を、社内ナレッジとして他のCSメンバーが参考にできる形に整理してください。

【事例の概要(個人情報は除外済み)】
- 問い合わせ内容:購入後3か月で製品が壊れたが、保証対象になるか
- 難しかった点:保証規約の解釈が曖昧で、担当者によって答えが異なっていた
- 取った対応:マネージャーに確認し、製品の使用状況を聞いて保証対象と判断
- 顧客の反応:最初は不満気だったが、丁寧な対応で納得してもらえた

以下の形式でナレッジ記事にしてください。
- 状況の概要(1文)
- 判断のポイント
- 他のケースへの応用
- 注意点

プロンプトを活用した品質の均質化

CSの品質ばらつきの多くは、担当者によって回答の精度や表現が異なることから起きる。プロンプトを使ってたたき台の水準を揃えると、ベテランと新人の差を縮められる。

活用の流れ:

  1. よくある問い合わせのカテゴリを洗い出す
  2. カテゴリごとにプロンプトテンプレートを作成する
  3. 新しい担当者はテンプレートを使ってたたき台を出し、先輩が確認する
  4. 品質が一定水準に達したら、テンプレートを更新する

この流れで運用すると、OJTの工数も減らせる。

プロンプトのテンプレート化と共有方法の詳細はプロンプトをチームで共有する方法と管理のコツにまとめている。また出力の形式を揃える方法は出力形式を指定するプロンプト術が参考になる。

まとめ

カスタマーサポートでは、回答テンプレートの作成・クレーム対応メールのたたき台・FAQの整備・月次レポートの文章化がAIで速くなる。顧客の個人情報はAIに渡さず、問い合わせ内容の要点だけを仮名化して使う。出力は事実確認してから使う。プロンプトをチームで共有することで、担当者間の品質差を縮められる。

他の業種向けプロンプト集として業種別プロンプト集 人事・採用編業種別プロンプト集 営業編もあわせて参考にしてほしい。

よくある質問

顧客情報をAIに入力してもいいですか

顧客の氏名・連絡先・購入情報などの個人情報は入力しないでください。問い合わせ内容の要点だけを仮名化した形で渡し、文体・構成・文章の改善に使います。

AIで作った回答をそのまま送っていいですか

そのまま送らないでください。事実確認と最終確認を必ずします。特に製品スペック・料金・保証条件に関する記述は、公式情報と照合してから送ります。

クレーム対応にAIを使っていいですか

クレーム対応の回答たたき台の作成には使えます。感情的な顧客への対応トーンの参考にもなります。ただし最終的な判断や謝罪の表現は担当者が責任を持って決めます。