データ分析に使えるプロンプト集:Excel・CSV・グラフ対応
この記事の要点
データ分析業務でAIを活用する3つの場面とプロンプト集を紹介。数値の読み解き、前月比分析文の生成、異常値仮説、グラフ説明、KPI未達要因分析、Excelの数式生成まで実例付きで解説します。
データ分析の仕事でAIが最も役立つのは、「数字を読んで言葉にする」場面です。数字そのものを計算するより、その数字が何を意味するかを文章で説明し、上司や顧客に伝えるところに時間がかかっています。AIを使えば、その「言語化」の工程を大幅に短縮できます。
この記事では、データ分析業務をAIで効率化するための具体的なプロンプトを場面別に紹介します。プロンプトの書き方の基礎についてはプロンプトの書き方も参照してください。
データ分析でAIを使える3つの場面
AIが力を発揮するのは、主に次の3つの場面です。
① データの読み解き:数値の羅列から傾向・異常値・パターンを見つけ出し、言葉で整理する。
② 分析方針の壁打ち:「何を見るべきか」「どんな仮説を立てるか」をAIと議論して洗い出す。
③ レポートの文章化:分析結果をスライドや報告書の文章に変換する。
逆に、AIが苦手なのはリアルタイムデータの取得や、自社固有のシステムとの連携です。外部のデータベースと接続せず、手元のデータを貼り付けて使う形が基本になります。
場面①:数値データの読み解きプロンプト
表・CSVのデータを貼り付けて傾向を聞く
月次の売上データや在庫データをAIに渡すだけで、「何が起きているか」を言語化してくれます。
以下は2026年1〜5月の製品カテゴリ別売上データです。全体の傾向と、特に注目すべき動きを3点挙げてください。
カテゴリ,1月,2月,3月,4月,5月
食品,1200,1180,1350,1420,1300
日用品,890,910,870,950,1100
家電,530,480,620,590,640
衣料,320,290,450,380,310
傾向を3点にしぼって聞くことで、長すぎる回答を防げます。表形式のデータはカンマ区切りかタブ区切りでそのまま貼り付けるだけで認識されます。
前月比・前年比の分析文を生成させる
数値の計算はExcelで済ませてから、その数値の「解釈文」だけをAIに書かせます。
以下の数値をもとに、月次レポート用の分析コメントを2〜3文で書いてください。読者は経営会議の参加者です。
・5月売上:1,300万円
・前月比:-8.5%
・前年同月比:+12.3%
・主な変動要因:GW後の需要落ち着き、昨年5月は催事あり
変動要因を入力するのがポイントです。AIは「なぜ変動したか」の文脈を知らないため、自分で補足情報を渡す必要があります。
場面②:仮説生成プロンプト
異常値の原因仮説を出させる
データの中に突出した値があったとき、何が起きたかを考えるための仮説リストを素早く作れます。
以下のデータで3月に売上が急増しています。考えられる原因の仮説を業務・外部環境・顧客行動の3つの軸から、それぞれ2つずつ挙げてください。
1月:1200万円、2月:1180万円、3月:1850万円、4月:1420万円、5月:1300万円
業種:BtoB向けSaaS、契約更新は年次
「3つの軸から」と指定することで、視点が偏らない仮説リストが得られます。出てきた仮説を実際のデータで検証するのは自分の仕事です。
KPIが未達の場合の要因分析をさせる
以下の状況でKPIが未達でした。考えられる要因を「プロセス・人・ツール・外部環境」の4軸で整理してください。
目標:月間新規契約50件
実績:31件
達成率:62%
営業担当:8名
主な変化:先月から新CRMツールを導入、製品改定により提案資料を差し替え
要因を洗い出したあと、「このうち最も確認しやすい順に並び替えてください」と続けると、優先度の高い検証から動けます。
場面③:レポートの文章化プロンプト
グラフの説明文を生成させる
グラフをスライドに貼ったあとの説明文に毎回時間をかけている人は多いです。
以下のデータをもとに、プレゼンのスライドに添える棒グラフの説明文を書いてください。2〜3文で、最も重要な1点を強調してください。読者は予算決裁者です。
商品A:前年比+35%(1,200万円)
商品B:前年比+8%(980万円)
商品C:前年比-12%(540万円)
全体:前年比+12%(2,720万円)
「読者は誰か」を入れることで、数字の切り取り方とトーンが変わります。予算決裁者向けなら全体成長とリスクを、現場担当者向けなら具体的な商品の動きに焦点が当たります。
分析レポートのエグゼクティブサマリーを書かせる
長い分析レポートのサマリーを書かせるときは、事前に「伝えたい結論」と「証拠となるデータ」をセットで渡します。
以下の情報をもとに、経営報告書向けのエグゼクティブサマリーを200字以内で書いてください。「何が起きたか・なぜか・次に何をするか」の3点を含めてください。
・5月の受注件数が前月比22%減
・主因:大型顧客2社が予算凍結(受注額の30%相当)
・6月以降の対応:代替顧客のパイプラインを6件確保済み、7月以降に回復見込み
サマリーは「何が起きたか・なぜか・次に何をするか」の3点が入ると経営判断の材料として機能します。AIへの指示にその構成を明示するだけで、大きく品質が上がります。
ExcelのためのプロンプトはどうAIに頼むか
データ分析の実務では、Excel作業そのものをAIに手伝わせることもできます。数式の書き方を忘れたとき、条件が複雑で組み立てられないとき、AIに質問するだけで解決します。
VLOOKUP・XLOOKUP の数式を作らせる
ExcelでVLOOKUPを使って、Sheet1のA列にある商品コードをもとにSheet2から商品名を引っ張りたいです。Sheet2はA列が商品コード、B列が商品名です。Sheet1のB2に入れる数式を書いてください。
ピボットテーブルの設定手順を聞く
Excel 2021で、以下の列を持つ販売データからピボットテーブルを作る手順を教えてください。行に「担当者」、列に「月」、値に「売上金額の合計」を表示したいです。
列:日付、担当者、商品名、売上金額、数量
条件付き書式の設定を具体的に指示させる
Excelで、C列の数値が前月比マイナスのセルを赤、プラスのセルを緑に塗り分けたいです。C列には前月比の数値が%で入っています。条件付き書式の設定手順を教えてください。
データの見せ方をAIに提案させる方法
どのグラフや表の形式を使うかは、伝えたいことによって変わります。AIに「どの見せ方が適切か」を提案させることもできます。
以下のデータをプレゼンで使います。最も伝わりやすいグラフの種類を1つ選び、その理由を説明してください。
伝えたいこと:製品ラインナップの中で、どの製品が売上構成比を伸ばしているか
データ:5製品の月別売上金額(1〜6月、各製品の合計は変動あり)
「折れ線グラフが構成比の変化を見るには適していないため、積み上げ棒グラフか100%積み上げ棒グラフを推奨します」のような判断根拠つきの提案が返ってきます。この提案を採用するかどうかは自分で判断します。
出力形式の指定についてより詳しく学ぶには出力形式指定プロンプトが参考になります。またプロンプトエンジニアリング完全ガイドでは、こうした実務プロンプトの改善ループについて体系的に解説しています。
この記事のプロンプトを使う前に確認すること
紹介したプロンプトはそのままコピーして使えますが、実際に業務で使うときは次の2点を必ず確認してください。
個人情報・機密情報の扱い:顧客名・個人を特定できる数値・社外秘の財務データをそのまま貼り付けることは避けます。仮の名称に置き換えるか、数値のスケールを変えてから入力します。
出力の検算:AIが出した数値や計算には誤りが含まれることがあります。分析コメントの文章は使えても、その中に含まれる数字は自分で元データと照合します。AIを「文章の下書き係」と捉えると、失敗しにくくなります。
よくある質問
CSVやExcelのデータをそのままAIに貼り付けても大丈夫ですか?
テキスト形式で貼り付けるだけで認識できます。ただし個人情報や機密データが含まれる場合は、マスキングや匿名化を施してから入力してください。ChatGPTのコードインタープリター機能を使えばファイルの直接アップロードも可能です。
AIにデータ分析をさせると、数値を捏造することはありませんか?
貼り付けたデータの範囲内であれば捏造は起きにくいですが、AIが計算を誤ることはあります。重要な数値は必ず手元のExcelや計算機で検算してください。AIは文章生成と仮説出しに強みがあり、数値の正確な計算は表計算ソフトに任せるのが基本です。
グラフの説明文はどのように生成させればいいですか?
グラフの数値データをテキストで貼り付け、「このデータをもとに棒グラフを説明する2〜3文を書いてください」と指示します。グラフの画像をアップロードできるツールであれば、画像を渡してそのまま説明を求めることもできます。