調査・リサーチに使えるプロンプト集:市場・競合・顧客分析
この記事の要点
市場調査・競合分析・顧客分析の各フェーズで使えるプロンプトを網羅。AIが得意な情報整理・仮説生成・構造化の使い所と、一次情報は自分で収集すべき理由を合わせて解説します。
リサーチ業務でAIが最も価値を発揮するのは、情報を整理して構造化する場面と、仮説を素早く生成する場面です。一方、最新の一次情報の取得はAIには向いていません。競合の直近の価格改定や、先月発表されたばかりの市場レポートをAIは知りません。
「AIは構造化と仮説生成の相棒、一次情報の収集は自分で行う」という使い分けを前提にすると、リサーチの効率が大きく上がります。
この記事では、調査フェーズごとに実際に使えるプロンプトを紹介します。プロンプトの基本的な書き方についてはプロンプトの書き方を先に確認してください。
市場調査フェーズのプロンプト
調査すべき観点を洗い出させる
市場を調べる前に「何を調べるべきか」を整理するプロンプトです。事前に調査観点を揃えると、後の情報収集が効率的になります。
以下の市場に新規参入を検討しています。
市場規模・成長性・参入障壁を評価するために調べるべき観点を
10項目にまとめてください。
対象市場:中小企業向けのクラウド型人事管理システム
自社の状況:SaaS開発の経験あり、HR領域は未経験
「10項目」と数を指定することで、漏れなく網羅的な観点が出てきます。この観点リストをもとに実際の情報収集を進めます。
業界トレンドの整理
収集した情報をAIに渡して整理させます。この場合、自分で集めたテキスト情報をそのまま貼り付けます。
以下は人事管理システム市場に関して収集した記事の抜粋です。
現在の主要トレンドを3〜5点に整理し、各トレンドが示す市場機会と
リスクをそれぞれ1文で説明してください。
【収集した情報】
(記事の引用・メモなどを貼り付ける)
AIに情報を渡して整理させる形式が最も効果的です。AIが自分で検索してトレンドを回答するより、自分が集めた情報をAIに構造化させるほうが精度が上がります。
参入障壁の洗い出し
中小企業向けクラウド型人事管理システム市場において、
新規参入の障壁となりうる要因を以下の軸で整理してください。
・技術的障壁
・規制・コンプライアンス面
・顧客獲得の難しさ
・既存プレイヤーの優位性
各項目について、自社が参入する際に克服すべき具体的な課題を
1〜2文で説明してください。
競合分析フェーズのプロンプト
競合分析のフレームを提案させる
どの切り口で競合を分析するかを最初にAIに相談します。フレームが決まれば、実際の競合調査をより効率的に進められます。
BtoB向けのSaaSサービスの競合分析を行います。
「自社がどこで戦えるか」を判断するために有効な分析フレームを
2〜3個提案してください。各フレームについて:
・フレームの名称と概要
・このフレームで何が分かるか
・収集すべき情報の種類
を説明してください。
競合の強みと差別化ポイントの整理
競合各社のWebサイトやプレスリリースから収集した情報をAIに渡して、差別化の観点を整理させます。
以下は競合3社に関して収集した情報です。
各社の主な強みと、自社が差別化できる可能性のある軸を
比較表にまとめてください。
競合A:〜〜〜(収集した情報を貼り付ける)
競合B:〜〜〜
競合C:〜〜〜
自社の強みとして想定しているポイント:
・小規模チームへの特化
・導入コスト月3万円以下
・カスタマーサポートの応答時間が業界平均の半分
顧客分析フェーズのプロンプト
ペルソナ仮説を作る
顧客インタビューや購買データがない段階では、仮説としてのペルソナをAIで作り、後の調査の出発点にします。
以下の条件に基づいて、典型的な顧客ペルソナを2パターン作成してください。
各ペルソナについて:氏名(仮)・年齢・職種・会社規模・
日常の業務課題・購買の決定権の有無・情報収集の方法を記載してください。
製品概要:中小企業向けクラウド型人事管理システム(月額3万円〜)
想定顧客:従業員30〜100名規模の企業、人事担当者または経営者が導入を検討
作成したペルソナはあくまで仮説です。実際の顧客5〜10名にインタビューを行い、このペルソナの正確さを検証します。
顧客インタビューの設問を作らせる
インタビューガイドを作るのにも時間がかかります。ペルソナと調査目的を入力すると、実用的な設問リストが生成できます。
以下の顧客ペルソナにインタビューを行います。
「なぜ現在のツールに不満を持ち、新しいツールを探しているか」を
深掘りするための設問を8問作成してください。
オープンクエスチョン(はい/いいえで答えられない質問)で統一してください。
ペルソナ:
・40代・人事部長・従業員80名の製造業
・現在はExcelで勤怠・給与計算を管理
・月次の集計に毎月2日間を要している
顧客の課題仮説を出させる
インタビュー前に課題仮説を持っておくと、調査の焦点が絞れます。
以下のペルソナが抱えていると考えられる業務上の課題を
重要度の高い順に5つ挙げてください。
各課題について:具体的な困りごと・発生頻度・解決できた場合の価値
を1〜2文で説明してください。
ペルソナ:従業員80名の製造業の人事部長、ExcelとPDFで人事管理を行っている
調査結果を整理するフェーズのプロンプト
収集した情報を構造化して要約させる
インタビュー後や書類調査後の大量のメモをAIに整理させます。
以下は顧客3名へのインタビューメモです。
共通して挙がった課題・それぞれ固有の課題・製品への期待を
整理して表にまとめてください。
インタビューA:〜〜〜
インタビューB:〜〜〜
インタビューC:〜〜〜
仮説の検証観点を出させる
調査で立てた仮説をどう検証するかを考えるプロンプトです。
以下の仮説が正しいかどうかを確認するために、
収集すべきデータと確認すべき情報源を3つ挙げてください。
また、仮説が間違っている場合に現れるサインも1つ挙げてください。
仮説:中小製造業の人事担当者は、給与計算の自動化よりも
勤怠データの集計作業の削減に強い関心を持っている
調査レポートの骨子をAIで作る方法
調査が終わったら、レポートの骨子を作る工程でもAIが使えます。骨子とは、章立てと各章で伝えるべきことの概要です。
以下の調査の結果をもとに、経営陣向けの市場調査レポートの骨子を作成してください。
レポートの目的:新規事業としての参入可否を判断するための材料を提供する
構成は「エグゼクティブサマリー → 市場概況 → 競合状況 → 顧客ニーズ → 参入機会と課題 → 推奨アクション」としてください。
各章に含めるべき情報と、その章で読者に伝えるべき結論を1文で示してください。
調査結果の概要:
・市場は年率15%成長(一般的な市場データより推定)
・主要競合は4社。価格帯・機能は近似、サポート体制に差
・インタビュー3社全てで勤怠集計の工数が最大の課題として挙がった
・既存ツールの切り替えコストを懸念する声が2社あった
骨子ができたら、各章の内容は別のプロンプトで詳細化します。プロンプトエンジニアリング完全ガイドでは、このような複数段階の指示の組み方について解説しています。
リサーチにAIを使うときの注意点
AIを調査に使う際、以下の2点は必ず守ります。
一次情報は必ず自分で確認する:AIが生成した市場規模・競合情報・顧客仮説はすべて「仮説」です。公式の調査レポート・競合の公式サイト・実際の顧客へのインタビューで検証する前提で使います。最新の統計データや業界情報は公式情報源で確認してください。
AIの学習データに依存しすぎない:AIは2024〜2025年以降の新しいサービスや最新の市場動向を知らない場合があります。特定の業界の新興プレイヤーや直近の規制変化は自分で調べます。
思考の連鎖プロンプトの手法を組み合わせると、AIの仮説生成の精度がさらに上がります。調査フェーズのプロンプトに「ステップバイステップで考えてください」を加えるだけで、仮説の根拠が明示されるようになります。
よくある質問
AIに市場規模を調査させることはできますか?
AIは学習済みの情報をもとに一般的な市場規模の概算を示すことはできますが、最新・正確な数値は公式の調査レポートや業界団体の統計を参照する必要があります。AIは「どの情報を調べるべきか」の観点出しに使い、実際の数値収集は自分で行うのが適切です。
競合他社の分析をAIにさせるとき、どこまで信頼していいですか?
AIは競合の一般的な特徴や業界でよく知られた情報は整理できますが、最新の価格・機能・戦略はリアルタイムで変化します。AIが出した競合分析は「仮説の骨格」として使い、実際の競合サイト・IR情報・メディア記事で事実確認を行ってください。
ペルソナ作成にAIを使う場合、どんな情報を入力すればいいですか?
実際の顧客インタビューや購買データがあればそれをそのまま渡します。データがない場合は「業種・職種・会社規模・業務上の課題」の4点を入力すると、精度の高いペルソナ仮説を生成できます。AIが生成したペルソナはあくまで仮説であり、実際の顧客へのインタビューで検証する前提で使います。