広報のアンケート設問をAIで作る方法
この記事の要点
メディア満足度調査・社内広報効果測定・イベント後アンケートの設問を、AIを使って体系的に作る手順とプロンプト例を解説する。
結論
広報が使うアンケートは、設問の数より「何を測るか」の明確さで精度が決まる。AIを使うと「測定したい項目」を伝えるだけで、具体的な設問と選択肢の候補が数分で出る。設問設計にかかっていた数時間の作業を、初稿生成に10〜15分、修正・確認に15〜20分程度に短縮できる。
広報が取るアンケートの種類
広報部門が設計・実施するアンケートは、大きく4種類に分かれる。
メディア対応満足度調査:取材対応後に記者やライターへ実施する。回答率は低い傾向があるが、継続することで改善の方向が見えてくる。
社内報・インナーコミュニケーション効果測定:社員向けの情報発信がどの程度読まれ・理解されているかを測る。読後アンケートや定点調査として使う。
記者発表会・PRイベント後のアンケート:参加した記者・関係者に会場・進行・内容について聞く。次回イベントの改善データになる。
広報部門に対する社内評価調査:他部門が広報を「どれだけ頼れるか・信頼しているか」を測る。定期的に実施すると広報の社内ポジションの変化が追える。
使うAIツール
設問生成はテキスト生成AIが得意だ。ChatGPT(GPT-4o)やClaude 3.5 Sonnet以降のモデルで実用水準の出力が得られる。設問を作った後の配信・集計はGoogleフォーム・Microsoft Formsが手軽に使える。料金・機能の最新情報は各社公式サイトで確認してほしい。
手順:ステップ別解説
ステップ1:「何を知りたいか」を1行で言えるようにする
アンケート作成前に、最も重要な問いを1文で書く。
- 「記者発表会の内容は記者の期待に応えられたか?」
- 「社内報は社員に業務上の行動変化を与えているか?」
- 「広報部門への依頼はしやすいと感じているか?」
この1文が曖昧だと、設問がぼやける。AIに渡す前に確定しておく。
ステップ2:メディア対応満足度調査の設問を作らせる
以下の条件で、記者・ライター向けのメディア対応満足度アンケートの設問を作成してください。
[目的]
広報担当者の取材対応の質(連絡の速さ・情報の正確さ・取材のしやすさ)を測る
[回答者]
弊社に取材を行ったことがある媒体記者・フリーライター
[条件]
- 設問数:5〜7問
- 回答形式:5段階評価+1問の自由記述
- 回答所要時間:3分以内
- 回答者の匿名性を保証する前提
[出力形式]
設問番号・設問文・選択肢・測定意図(この設問で何を測るか)を一覧表形式で出力してください。
測定意図を一緒に出させることで、「この設問は本当に自分が知りたいことを聞けているか」の確認ができる。
ステップ3:社内報の効果測定アンケートを作らせる
以下の条件で、社員向け社内報の効果測定アンケートの設問を作成してください。
[社内報の概要]
- 配信形式:メールマガジン(月2回配信)
- 主なコンテンツ:経営情報・部門の取り組み紹介・社員インタビュー
- 読者:全社員(約300名)
[測定したいこと]
1. 開封・読了率の自己報告
2. 内容の理解しやすさ
3. 業務に役立った経験の有無
4. 読みたいコンテンツのニーズ
[条件]
- 設問数:6問以内
- 回答時間:2分以内
- 定量的に集計できる形式にする(グラフ化できるよう)
[出力形式]
設問文・回答形式・選択肢・集計時の留意点を表形式で出力してください。
ステップ4:記者発表会後アンケートを作らせる
以下の条件で、記者発表会の参加者(記者・媒体関係者)向けアンケートの設問を作成してください。
[発表会の概要]
新製品の発表会。参加者:報道関係者30名。時間:2時間。
[測定したいこと]
- 発表内容の明確さ・充実度
- 会場・運営の満足度
- 今後の取材意欲(記事化意向)
- 次回への改善要望
[条件]
- 発表会終了後5分以内に答えられる分量(4〜6問)
- スマートフォンでも答えられる形式
- 記名不要
[出力形式]
設問文・回答形式・選択肢の候補を出力してください。
ステップ5:出力を見直し、回答者目線で修正する
AIが出した設問を確認する際に、次の観点でチェックする。
- 設問が誘導的でないか(回答を誘導する言い方になっていないか)
- 二重否定や複数の問いが1文に入っていないか
- 選択肢に「どちらでもない」や「わからない」の逃げ道があるか
- 自由記述の質問が1問を超えていないか(多いと回答率が下がる)
- 匿名性について回答者が疑念を持ちにくい文言になっているか
特に社内アンケートは、回答者が「上司に見られるかもしれない」と感じると正直な回答が得にくい。プロンプトに「匿名性を明確にする文言を冒頭に入れてほしい」と追加すると、その点も含めて出力される。
広報固有の具体例
例1:危機対応後の社内認知度調査
不祥事対応後、広報部門が「社員が今回の対応経緯をどう理解しているか」を測るアンケートを設計した。AIに「危機発生から収束までの社内コミュニケーションの伝達精度を測る設問を作ってほしい」と指示し、5問の設問候補が出力された。この設問に「対応で疑問に思った点はあるか(自由記述)」を加えた計6問で実施した結果、社員の約40%が「経緯の説明が遅かった」と感じていることが判明し、次の危機対応マニュアルに反映された。
例2:PRエージェンシーへの業務委託評価
自社のPR支援を依頼している外部エージェンシーに対して、委託1年目の評価アンケートを実施した。AIへのプロンプトには「委託業務の内容(プレスリリース作成・取材コーディネート・イベント企画補助)と評価したい観点(納期・品質・提案力・コミュニケーション)」を渡した。出力された設問は7問で、当初10問以上考えていたのが大幅に絞り込まれた。エージェンシー側の担当者から「答えやすかった」というフィードバックを得ている。
うまくいかない場合のポイント
設問が漠然としすぎる
「満足度を聞いてほしい」だけだと、AIも「全体的な満足度を5段階で」のような大雑把な設問を出す。「何の満足度を」「何がよければ高評価になるか」を具体的に指定すると設問が具体的になる。
選択肢が偏る
AIが肯定寄りの選択肢を多く出す場合は、「ネガティブな選択肢も対称的に含める」と明示する。「満足・やや満足・どちらでもない」だけでなく「やや不満・不満」も出るように指定する。
回答者が困る質問が混じる
「取材意欲の有無」など回答者が正直に答えにくい設問は、やや間接的な言い方に変える。AIに「記者が答えにくい直接的な聞き方を避けた表現に修正してほしい」と追加指示すると調整できる。
測りたいことと設問がズレている
設問を作った後に「この設問で何を測ることができるか」をAIに逆説明させると、意図とのズレが明らかになる。「これらの設問から得られるデータで何が判断できますか?」と聞くと、設計の穴が見えてくる。
関連記事
アンケートで得た社内コミュニケーションの課題を改善するには、広報の社内報記事をAIで作る方法が参考になる。タスク全体の設計に戻りたい場合は広報の仕事をAIでタスク分解する方法を読んでほしい。記者発表会後の対応フローを整理したい場合は広報のメディア対応をAIで準備する方法も合わせて参照してほしい。
よくある質問
広報がアンケートを取る目的は何ですか?
メディア対応の質改善・社内報の読まれ具合の確認・記者発表会後の記者満足度確認・危機対応後の社内認知度調査など複数ある。目的によって設問の設計が変わるため、作成前に「何を知りたいか」を明確にする。
AIで作ったアンケートはそのまま使えますか?
設問の骨格として使えるが、そのままでは使えない。自社固有の状況・文化・過去データと照合し、不要な設問を削り、回答選択肢の言葉を実態に合わせて修正してから使う。
何問が適切ですか?
目的によるが、回答者の負担を考えると10問以内が基本。5〜7問で核心的な情報を取り、必要に応じて自由記述1問を加える設計が多い。設問が多いほど回答率が下がる。
回答選択肢はどう設計すればいいですか?
「とても満足〜全く満足していない」の5段階、「はい/いいえ」の二択、数値による評価(0〜10)、複数選択などがある。設問の性質に合わせて選択肢の形式を選ぶ。混在させると集計・分析が複雑になるため、形式は統一するか意図的に組み合わせる。