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Samsung営業益19倍、AIメモリ特需の実態

Samsung営業益19倍、AIメモリ特需の実態

この記事の要点

Samsung電子が4〜6月期の営業利益が前年比19倍になる見通しを7月6日発表。AIメモリ需要とAnthropicとのチップ製造協議が同時進行し、IT調達コストに影響が及ぶ可能性がある。

Samsung電子は2026年7月6日、2026年4〜6月期の営業利益が前年同期比で19倍に急増する見通しを発表しました。営業利益はおよそ89.4兆ウォン、日本円換算でおよそ8兆円台、米ドル換算でおよそ584億ドル規模になると推計されています。牽引役はAI向けメモリ半導体の需要拡大で、DRAMやNANDといった汎用メモリにも値上がりが波及しています。同時期にAnthropicとの独自AIチップ製造協議も明らかになり、Samsungの存在感がメモリと受託製造の両面で高まっています。

何が発表されたのか

Samsungが7月6日に公表した暫定業績によると、2026年4〜6月期の売上高は前年同期比129%増の171兆ウォンに達する見込みです。営業利益は前年同期のおよそ19倍で、市場予想を上回る水準だとBloombergなど複数の海外メディアが伝えています。増益の主因は高帯域幅メモリと呼ばれるHBMの出荷拡大です。HBMは複数のメモリチップを積み重ねて配線し、通常のメモリより高速にデータをやり取りできるようにした製品で、AIサーバー向けの画像処理半導体に組み合わせて使われます。

値上がりの動きはHBMだけにとどまりません。データの一時保存に使うDRAMや、データを長期保存するフラッシュメモリのNANDも、AIサーバー向けの需要拡大を背景に価格が上昇しています。この動きはSK Hynixが時価総額1兆ドルに到達した背景とも重なり、メモリ大手2社がそろってAI特需の恩恵を受けている構図です。Samsungは2026年7月30日に、半導体事業やスマートフォン事業など部門別の詳細な決算内容を発表する予定です。今回発表されたのはあくまで暫定値であり、部門ごとの正確な内訳や利益率は月末の発表を待つ必要があります。

AnthropicとGoogleの委託協議はどこまで進んでいるか

Samsungは同じ時期に、AI開発企業Anthropicとの間で独自AIチップの製造について協議を進めていることも明らかにしています。協議の対象とされるのは、Samsungが持つ2ナノメートルという微細な回路線幅の製造技術と、複数のチップを一つのパッケージにまとめる先端パッケージング技術です。この協議についてはAnthropicが自社設計チップの製造パートナーを探している段階だと7月2日時点でも報じられており、設計作業自体はまだ始まっていない初期段階とみられます。

さらにGoogleも、将来の独自プロセッサーの一部についてSamsungへの生産委託を検討しているとされています。実現すれば、これまで先端AIチップの受託製造でTSMCに大きく後れを取ってきたSamsungにとって、事業構成を変える成果になります。TSMCは3ナノメートル世代の価格を下期に最大15%引き上げる方針と伝えられており、TSMCの値上げ方針は受託製造市場全体の価格水準を押し上げる要因になっています。Samsungが大口の設計パートナーを確保できれば、工場の稼働率を上げてTSMCとの価格競争力の差を縮める材料になります。ただし両案件とも協議段階であり、正式契約の時期や規模は不明です。最新の状況は各社の公式発表で確認する必要があります。

現場の実務にどう効くか

AI向けメモリの需要拡大による価格上昇は、AIサービスを利用する企業のコスト構造に跳ね返る可能性があります。DRAMやNANDはAIサーバーだけでなく、社内の一般的なパソコンやファイルサーバーにも広く使われる部材です。すでにDRAM高騰がIT調達を直撃している状況が指摘されており、今回の増益発表はその流れがさらに続くことを裏付けています。社内でサーバーやパソコンの更新計画を持つ企業は、価格動向を早めに把握し、調達時期の前倒しや長期契約による価格固定を検討する余地があります。

半導体調達の担当者は、四半期ごとの価格改定幅を仕入れ先から具体的に聞き取り、次年度予算に反映しておくべきです。特に大量のパソコンやサーバーを一括更新する計画がある企業は、契約タイミングを数か月単位でずらすだけで調達コストが変わる可能性があります。

もう一つ押さえておきたいのは、AIチップの供給網が少数の半導体メーカーに集中している点です。SamsungやTSMCといった特定企業の生産計画や技術動向は、自社が利用するAIサービスの価格や性能にも間接的に影響します。AI推進担当者は、利用中のクラウドAIサービスがどのメーカーの半導体に依存しているかを一度整理し、供給網に偏りがないかを確認しておくと、価格変動や供給遅延のリスクを事前に把握できます。IT調達担当者は、メモリ価格の四半期ごとの推移をウォッチリストに加え、決算発表のタイミングで確認する習慣をつけておくと変化を見逃しません。

出典

よくある質問

Samsungの営業利益はなぜ19倍に急増したのか?

AI向けサーバーで使われる高帯域幅メモリの需要が急拡大し、一般的なDRAMやNANDまで値上がりしたためです。4〜6月期の営業利益はおよそ89.4兆ウォン、売上高は前年同期比129%増の171兆ウォンと見込まれています。

SamsungとAnthropicのチップ協議は何を意味するのか?

Anthropicが検討する独自AIチップの製造委託先としてSamsungが候補に挙がっている段階です。Samsungの2ナノメートル製造プロセスと先端パッケージング技術が協議対象とされ、Googleも一部委託を検討しているとされます。