Perplexity、AIエージェント向けSPACE公開
この記事の要点
PerplexityがAIエージェント実行環境SPACEを公開した。数日単位で作業を中断・再開でき、認証情報は利用者側で管理する設計にした。
結論
Perplexityは2026年7月15日、AIエージェント実行環境SPACEを公開した。数時間から数日かかる作業を安全に中断・再開できる仕組みで、パスワードや認証情報はサンドボックスの中に置かず、利用者側の管理下に残す設計にした点が特徴だ。すでに同社のAIエージェントサービスComputerに組み込まれ、稼働している。
何が起きたのか
Perplexity Computerは、利用者が自然言語で伝えた目標を複数の作業に分解し、Claude、Gemini、Grokを含む19以上の最先端モデルを使い分けながら、ウェブ検索やメール、Notion、Slackなどのツールを操作する「デジタル従業員」のようなサービスだ。AnthropicのClaude CoworkやOpenAIのChatGPT Workと同じ系統のエージェント型サービスにあたる。
数時間から数日にわたる作業では、途中でセッションを中断せざるを得ない場面が出てくる。SPACEはこの課題に対応するため、作業をいったん止めて後で再開したり、複数のサンドボックスに枝分かれさせたりできる仕組みを備えた。実行環境には、Amazon Web Servicesが開発したオープンソースの仮想マシン技術Firecracker microVMを採用し、最短5ミリ秒での起動を実現している。作業内容は1分ごとに更新され、最長1週間保存されるため、利用者が作業を中断して1週間後に戻ってきても続きから再開できる。
パスワードやAPIキーといった機密情報はサンドボックスの内部に保存せず、利用者自身の認証情報管理システムに残したまま、必要なときだけ参照する設計にした。暗号鍵も利用者が持ち込む方式で、鍵を無効化すればサンドボックスは中のデータを読めなくなる。NVIDIAの新しいアーキテクチャVeraでのテストでは、通常より処理速度が1.5倍、複数サンドボックスの同時起動が1.9倍速くなったという。Perplexityは社内で2か月にわたりSPACEを使ってきており、直近1週間だけで125万回のサンドボックス作成と1190万回の再接続があったとしている。
サンドボックスという考え方
サンドボックスとは、AIエージェントが作業するための隔離された領域のことで、他のシステムやデータから切り離されているため、万が一エージェントが誤動作しても影響範囲を限定できる。Perplexityによると、既存の汎用的なサンドボックス製品の多くは、隔離性は高くてもパスワードや認証情報が意図せず外に見える設計だったり、逆に短時間の処理には向いていても数日単位の作業には対応しづらかったりする課題を抱えていたという。SPACEは、この両方の課題を同時に解決することを狙って独自に設計された点に特徴がある。数分から数週間まで幅のある作業時間に対応できる設計は、AIエージェントを実際の業務プロセスに組み込む際の現実的な要件を反映したものといえる。
現場の実務にどう効くか
AIエージェントに長時間の作業を任せる場面が増えるほど、認証情報の扱いが実務上の懸念になる。SPACEのように、パスワードやAPIキーをエージェント側に持たせない設計は、情報システム部門がAIエージェント導入を判断する際の一つの基準になる。自社で使うAIツールのセキュリティを評価する観点は/articles/ai-tool-security-evaluation/で整理しており、認証情報の管理方法もあわせて確認しておくとよい。
Perplexityを日常の情報収集や資料作成に使っている企業は、/articles/perplexity-ai-business-guide/や/articles/news-20260620-perplexity-computer-office/で紹介した活用法と組み合わせることで、長時間の調査業務も安心して任せやすくなる。AIエージェントという仕組み自体に馴染みが薄い場合は/articles/what-is-ai-agent/から確認するとよい。
出典
よくある質問
SPACEはPerplexityの何のサービスに使われているか
自然言語の目標を複数の作業に分解して実行するエージェントサービスPerplexity Computerに組み込まれ、2026年7月時点で利用できる。
認証情報はどこで管理されるか
パスワードやAPIキーはサンドボックスの内部に保存されず、利用者自身の管理システムに残したまま必要なときだけ参照する設計になっている。