Claudeで比較表を作る手順:自社と競合の仕様を突き合わせる
この記事の要点
Claudeで比較表を作るときは、カタログや仕様書をプロジェクトに登録して値を転記させ、資料に書かれていない欄は空欄のまま残させます。自社製品と競合2社の仕様比較を例に、比較軸の決め方とプロンプト、営業資料への仕上げ方、確認の手順を解説します。
結論
Claudeで自社と競合の仕様比較を作るときは、各社の公開カタログと自社の仕様書をプロジェクトに登録し、そこに書かれている値だけを転記させます。競合の型番を渡して知識から埋めさせると、近い別機種の値が混ざった表ができあがります。資料にない欄を空欄のまま残させておけば、その空欄が調べるべき箇所として残り、商談で答えられない質問を先に潰せます。
Claudeに任せる作業と、人が判断すること
| Claudeに任せる | 人が判断すること |
|---|---|
| 登録した資料から、仕様の値を項目ごとに転記する | 転記された値が原文と一致しているか |
| 各社で表記の単位や条件が違う箇所を指摘する | そろえ方と、そろえてよいかどうか |
| 資料に記載がない欄を空欄にし、理由を添える | 空欄をどの資料で埋めるか |
| 自社が優位な点と劣位な点を分けて示す | 営業資料にどの行を残すか |
| 商談で聞かれそうな質問を洗い出す | 回答として何を言うか |
右の列を人が持たないと、競合の仕様を誤って書いた表が社外に出ます。自社に有利な方向に誤っていた場合は、相手が訂正資料を持って戻ってきます。その場で数字を訂正するだけでは済まず、その表の他の行も疑われます。
この記事では、従業員800名ほどの産業機器メーカーで、自社の業務用コンプレッサと競合2社の同クラス製品を比べ、営業部が商談で使う比較資料を作る場面を例にします。自社を当社、競合をA社とB社とします。
プロジェクトに資料を入れ、どの版を見ているかを先に確認する
この種の作業では、手元の資料が増えます。自社の仕様書と取扱説明書、A社とB社の公開カタログ、展示会でもらったパンフレット、営業が集めてきた提案書の写し。これらを案件ごとのプロジェクトに登録しておくと、会話を分けても同じ資料を見たまま続きから作業できます。プランや時期によって使える機能が異なるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。
登録したら、表を作る前に読み違いを潰します。
このプロジェクトに登録した資料を確認してください。
この段階では比較表を作らないでください。
次を教えてください。
1. 登録されている資料の一覧。それぞれ発行元、発行年月、何の資料かを一行で
2. 同じ製品について複数の資料があり、記載が食い違っている箇所
3. 各資料に載っている製品と型番の一覧。同クラスと考えられるものを対応づける
4. 仕様の数値に測定条件が付いている項目。どの条件が明記され、
どの条件が書かれていないかを分けて示す
5. 読み取れなかった箇所と、その理由
推測で書いた箇所は、推測だと明記してください。
4番の測定条件が、この仕事の分かれ目です。業務用機器の仕様は、測定条件を書かずに数値だけ並べると比較になりません。同じ「消費電力」でも、定格運転時の値と最大負荷時の値では意味が違います。条件が書かれていない値を同じ行に並べると、営業が商談で説明できなくなります。
3番の型番の対応づけも、人が必ず検証します。Claudeが同クラスと判断した組み合わせが、実際には一段上の機種と比べていることがあります。カタログの分類とこちらの商品企画の分類は一致しません。
比較軸は、商談で実際に聞かれる質問から決める
カタログの仕様欄をそのまま列にすると、30項目の表になります。顧客が本当に聞くのは5つか6つです。軸は、営業が直近の商談で受けた質問から作ります。
業務用コンプレッサの比較表を作るための軸を設計してください。
この段階では数値を書かないでください。
【状況】
・当社の製品を、A社・B社の同クラス製品と比べる営業資料を作る
・見込み客は中堅の金属加工業。既存機の入れ替えを検討している
・商談でよく聞かれるのは、電気代、故障時の対応、設置スペース、騒音
・決めるのは工場長。稟議を上げるのは経理
【条件】
・比較軸を12個出し、商談での聞かれやすさの順に並べる
・各軸について、なぜ顧客がそれを気にするのかを1行で書く
・カタログの仕様欄をそのまま使える軸と、
自社で計算や実測をしないと埋められない軸に分ける
・数値に測定条件が必要な軸は、その条件も軸の説明に書く
・商談資料に載せる6つと、社内で持っておく6つに分ける
カタログから埋まる軸と、自分で計算する軸を分けさせるのが効きます。電気代は、どのカタログにも金額では載っていません。消費電力と稼働時間と電力単価から自社で試算する項目です。この区別を先につけておかないと、Claudeに「電気代」を埋めさせようとして、根拠のない金額が入ります。
具体例1:カタログから仕様を転記させ、書いていない欄は空欄にする
軸が決まったら転記です。ここで守らせる条件が、比較表の信頼性をほぼ決めます。
登録した資料から、比較表を作ってください。
【表の形】
・行が比較軸、列が当社・A社・B社
・比較軸は次の7つ
1. 吐出空気量と、その測定条件
2. 定格消費電力と、測定時の運転状態
3. 本体寸法と、設置に必要な周囲の空き寸法
4. 運転時の騒音値と、測定距離
5. 保証期間と、保証対象外になる条件
6. 定期交換部品の種類と、交換の推奨間隔
7. 故障時の対応体制について、カタログに書かれている記述
【守ってほしいこと】
・登録した資料に書かれていることだけを書く。あなたの知識で補わない
・記載がない欄は空欄にする。「不明」「要確認」などの文字も入れない
・各セルの右に、どの資料の何ページの記述かを添える
・単位が3社で違う場合は、変換せずに原文の単位のまま書き、
違いを表の下に列挙する
・測定条件が書かれていない数値には、条件不明である旨を条件の欄に記す
単位を変換させないのが、ここでの分かれ目です。変換は一見親切ですが、換算の途中で桁がずれても気づけません。原文の単位のまま並べれば、揃っていないことが見えます。揃える作業は、人が計算式を持って行います。
空欄に文字を入れさせないのも同じ理由です。「要確認」と書かれた表は遠目に埋まって見え、そのまま営業に配られます。本当に空のセルが並んでいれば、配る前に誰かが止めます。
具体例2:空欄と食い違いを、確認依頼のリストに変える
表ができると、空欄と不一致が残ります。これを次の作業に変換します。
先ほどの表について、次の3つを一覧にしてください。
1. 空欄のセル。行と会社名、空欄になった理由を書く
2. 資料の間で値が食い違っている箇所。どちらの資料に何と書かれていたかを引用する
3. 測定条件が書かれていないため、他社と並べて比較できない数値
【出力】
・1については、次の3つに分類する
A:当社の社内資料や設計部門に聞けば埋まる
B:他社の公開資料を探せば見つかる可能性がある
C:他社に直接聞かないと分からず、入手できない
・Cに分類した項目について、その欄を空欄にしたまま
営業資料に載せる場合の表記案を出す
・3については、条件をそろえて比較するために当社で何を測ればよいかを書く
Cの扱いが実務になります。競合の保守体制の詳細は、公開資料には出てきません。ここを空欄のまま出すか、行ごと落とすかは営業部門の判断です。空欄のまま残して「公開資料に記載なし」と注記する表は、誠実に見えるという効果もあります。
3番は、自社で測る作業につながります。騒音値の測定距離が3社で違うなら、同じ距離で自社機を測り直した値を別欄に置けば、営業が説明できます。この追加測定を誰に頼むかまで決めてから、比較表を確定させてください。
長い資料から要点を1枚にまとめる作業は、Claudeで1枚サマリーを作る手順にまとめています。
営業が使える分量に削り、別画面で仕上げる
7行の表と注釈10行は、商談の場では開かれません。持ち歩く資料は1枚です。
この比較表を2つに分けてください。
1. 商談で見込み客に見せる表。A4横1枚
・行は5つまで。1セルは20字以内
・当社が劣っている項目を消さない。残したうえで、
その行に添える補足を1文ずつ用意する
・空欄のセルには「公開資料に記載なし」とだけ注記する
2. 営業が手元に持つ想定問答
・1の表の各行について、顧客から出そうな質問を2つずつ
・質問ごとに、当社の資料のどこを見れば答えられるかを書く
・答えられない質問は、答えられないと明記し、誰に確認するかを書く
【条件】
・1から落とした項目と、落とした理由を一覧にする
・顧客に見せる表に、当社の推奨や評価を入れない。事実の記載だけにする
劣っている項目を消させないことが、この表を商談で使えるものにします。自社が勝っている行だけを並べた表を出すと、相手は他社の資料と見比べて何が抜かれたかに気づきます。負けている行を載せ、その場で説明する準備を持っているほうが話が進みます。
長い表を直しながら作るときは、成果物を別画面に出す機能を使うと、表の本体が横に残ったまま行ごとの修正を指示できます。会話の中に毎回全文が出し直されずに済みます。
職種別の比較表づくりは、マーケティングの比較表をAIで作る方法にも整理しています。
ExcelやGoogleスプレッドシートに貼り戻す
表のままコピーして貼ると1つのセルに入ります。出力の形を変えます。
詳細表を、表計算ソフトに貼り付ける形で出力してください。
・列の区切りはタブ1つ。行の区切りは改行1つ
・1行目を列名にする
・1つの数値につき3列を使う。数字だけの列、単位の列、測定条件の列
・値が資料にない欄は、3列とも空のままにする
・いちばん右に「出典」列を置き、資料名とページを入れる
・表以外の文章、見出し、記号の飾りを付けない
貼り付けると列に分かれます。Googleスプレッドシートでも同じです。カンマ区切りは、セル内の読点で列がずれます。
数字と単位を別の列にしておくと、単位をそろえる換算をスプレッドシート側の計算式で書けます。換算式が残っていれば、元の値が更新されたときに再計算するだけで済みます。空欄のセルには条件付き書式で色を付け、未確認であることが見えるようにしておいてください。
競合の公開情報を扱うときの線引き
競合の仕様は、必ず公開されている資料から取ります。入手経路が不明な資料や、顧客から見せられた他社の見積書を読ませることは避けてください。営業が持ち帰った他社資料の扱いは、自社の情報管理と競争法に関するルールに従います。判断がつかないときは、法務に先に確認するのが確実です。
公開カタログから取った値も、社外に出す資料に載せる前に人が原本を開いて確認します。カタログは改訂されます。型番が同じでも、改訂で保証期間が変わっていることがあります。確認した日付を表の欄外に書いておくと、半年後に使い回すときに再確認の判断ができます。
自社の未公開の仕様を渡す場合も、社内ルールの確認が要ります。開発中の機種の数値が混ざったまま営業資料になると、公表前の情報が社外に出ます。登録する資料は、公開済みのものに限るのが安全です。
同じ作業を他のツールで進める手順は、ChatGPTで比較表を作る手順とGeminiで比較表を作る手順にあります。
うまくいかないときの対処
転記のはずが、知っている値で補われる。 型番を見た時点で一般知識が混ざることがあります。疑わしいときは「この値が書かれている資料名とページを示してください」と一行だけ返してください。示せない値は資料の外から来ているので、その場で消します。
同クラスでない機種が並んでいる。 型番の対応づけを人が確認していないと起こります。商品企画の担当者に、どの機種と比べるのが妥当かを先に決めてもらい、その組み合わせを指定して表を作らせます。
数値は合っているのに条件が抜ける。 測定条件の列を必ず作ってください。条件の列が空いていれば、その数値は比較に使えないと分かります。
カタログの表が正しく読めていない。 仕様表が画像で入っているPDFでは、行と列がずれて転記されます。数値のセルは全件を原本と目で突き合わせます。読み取れない場合は、そのページの内容を打ち直して渡せば進みます。
自社に有利な書き方になる。 事実の記載だけにするよう指示しても、形容の入った文が混ざります。顧客に見せる表は、数値と単位と条件だけが入っている状態にし、評価の言葉は営業の口頭説明に回してください。
まとめ
自社の仕様書と競合2社の公開カタログをプロジェクトに登録し、型番の対応づけと資料の発行年月を先に確認するところから始めてください。営業が直近の商談で受けた質問を材料に軸を12個出させ、商談資料用の6つを選びます。資料から「記載がない欄は空欄」で転記させ、空欄を社内で埋まるものと他社にしか分からないものに分けます。数値のセルは全件を原本と突き合わせ、単位の換算はスプレッドシートの計算式で行います。この手順は、次の機種の比較でも状況と軸の説明を差し替えるだけで使えます。
よくある質問
Claudeにカタログや仕様書をまとめて読ませて比較表にできますか?
長い資料を読み込ませ、そこから項目を抜き出して表にまとめられます。案件ごとのプロジェクトに資料を登録しておけば、会話を分けても同じ資料を見たまま続けられます。読み込める分量や形式はプランと時期によって変わるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。
競合製品の仕様をClaudeの知識だけで埋めてもらってよいですか?
避けてください。型番が近い別機種の値や、改訂前の仕様が混ざります。競合の公開カタログを読み込ませて転記させ、資料にない欄は空欄のまま残します。営業資料として外に出すものは、公開されている一次資料を人が開いて確認します。
比較表に自社が負けている項目も載せるべきですか?
載せたうえで、どう説明するかを決めます。負けている行を消した表は、商談で相手が別の資料を持っていた時点で信用を失います。Claudeには表を作らせ、どの行を残すかと説明の仕方は営業部門と決めてください。