Geminiで比較表を作る手順:3社の見積もりを一枚に並べる
この記事の要点
Geminiで比較表を作るときは、ドライブの見積書とGmailに残る条件のやりとりを参照させ、資料にない欄を空欄のまま残させます。取引先3社の見積比較を例に、比較軸の決め方とプロンプト、スプレッドシートへの移し方を解説します。
結論
Geminiで見積比較の表を作るときは、金額を聞くのではなく、ドライブにある見積書とGmailに残った条件のやりとりを読ませて転記させます。相場を知っているかのように数字を埋めてくる状態を止めるには、資料に書かれていない欄を空欄のまま残す指示が要ります。空欄が残った表こそ、次に各社へ確認することの一覧になります。
Geminiに任せる作業と、人が判断すること
| Geminiに任せる | 人が判断すること |
|---|---|
| 見積書から、金額と条件を項目ごとに抜き出す | 抜き出された金額が原本と一致しているか |
| 3社で項目の呼び方が違う箇所をそろえる案を出す | そろえてよい項目かどうか |
| どこにも書かれていない条件を空欄にし、理由を添える | 空欄を誰にどう確認するか |
| Gmailの往復から、後から変わった条件を拾う | 拾った条件が有効な合意か |
| 表から読み取れる差を文章で説明する | その説明を稟議の理由にしてよいか |
見積比較で怖いのは、金額の欄が合っていて、含まれる範囲の欄が空いていない表です。同じ300万円でも、設置作業が含まれる見積と含まれない見積では比べる意味が変わります。Geminiが空欄を埋めようとして「一般的には含まれます」と書いた1行が、そのまま社内の判断材料になってしまいます。
この記事では、従業員180名の食品加工会社で、工場の包装ラインに入れる設備を3社から相見積もりした場面を例にします。製造部と総務の担当者が稟議用の比較表を作り、役員に説明するところまでを想定します。各社はA社、B社、C社とします。
見積もりの比較軸は、金額の内訳より「含まれていないもの」から決める
3社の見積書を並べると、各社が違う粒度で書いています。A社は工事費を一式でまとめ、B社は搬入と据付を分けて書き、C社は本体価格しか出していない。この状態で合計金額だけを並べると、いちばん安い会社がいちばん多くを別途請求する会社だった、という結末になります。
軸は、何が含まれているかではなく、何が含まれていないかから作ります。搬入経路の養生、既存設備の撤去と処分、試運転の立ち会い、操作担当者への教育、初年度以降の保守、故障時の駆けつけ時間。これらが見積書のどこにも書かれていなければ、それは無料ではなく未定です。
Geminiには、見積書を読ませる前に軸だけを作らせます。
工場の包装ライン設備を3社から相見積もりしています。
比較表の軸を作ってください。この段階では金額を書かないでください。
【状況】
・従業員180名の食品加工会社。工場は1か所
・既存の包装機を撤去して入れ替える。工場は土日しか止められない
・操作するのは製造部の交代勤務者12名。設備の入れ替えは10年ぶり
・稟議を通すのは役員会。見るのは総額と、稼働後に追加で出る費用
【条件】
・比較軸を12個出す。うち半分は「見積書に書かれていないと後で費用が発生する項目」にする
・各軸について、書かれていなかった場合に起こりうることを1行で書く
・役員会に出す表に載せるべき5つと、担当者が確認するための7つに分ける
・金額そのものではなく、金額の前提になる条件を軸にする
・私が伝えていない前提が必要な軸があれば、質問として返す
書かれていなかった場合に何が起こるかを書かせると、軸の優先順位がそのまま出ます。撤去した旧設備の処分費が見積外だと分かるのは、たいてい搬出の当日です。
具体例1:ドライブの見積書3通を参照させて表にする
軸が決まったら、資料を読ませます。見積書のPDFをドライブの1つのフォルダに集め、フォルダとファイル名を指定して参照させると、3通をまとめて扱えます。連携が使えない環境ではファイルをアップロードしても手順は変わりません。プランや時期によって使える機能が異なるため、最新の仕様は公式情報で確認してください。
取引先から受け取った見積書には、先方の社名と担当者名、他社に開示しない条件が入っています。社外のサービスに読ませてよい資料かどうかは、自社の生成AI利用ルールと先方との取り決めに従ってください。会社のアカウントでも、管理者がドライブとの連携を止めていることがあります。
Googleドライブの「包装ライン相見積」フォルダにある3つの見積書PDFを確認してください。
【作る表】
・行が比較軸、列がA社・B社・C社
・比較軸は次の8つ
1. 本体価格
2. 搬入と据付の費用、および見積に含まれるかどうか
3. 既存設備の撤去と処分の扱い
4. 試運転と操作説明の有無、および対象人数
5. 工事を行う曜日と時間帯の指定
6. 保証期間と、保証に含まれない故障の範囲
7. 保守契約の年額と、契約が必須かどうか
8. 納期と、発注から搬入までの日数
【守ってほしいこと】
・PDFに書かれていることだけを書く。あなたの一般知識で補わない
・記載がない欄は空欄にする。「別途」「一般的には」などの文言も入れない
・各セルの右に、どのファイルの何ページの記述かを添える
・3社で呼び方が違う項目は、対応関係を表の下に書く
・金額は税抜と税込のどちらの記載かを、セルごとに明記する
税抜と税込を明記させるのは、3社で表記が割れるからです。片方だけ税込で並べた表を役員会に出すと、10パーセント分の差が実力差に見えます。
出どころの併記も省けません。稟議に添付した表に役員が赤を入れてきたとき、該当ページをその場で開けます。出どころが書けないセルは、Geminiが見積書の外から持ってきた可能性が高いので、そこだけ原本と突き合わせます。
具体例2:Gmailの往復から、後から変わった条件を足す
見積書は最初に届いた時点の紙です。その後のメールで、納期が2週間延びたり、値引きの条件が付いたりしています。この差分が表に反映されていないと、古い数字で稟議を通すことになります。
Gmailから、件名または本文に「包装ライン」または「包装機」を含む
直近4か月のやりとりを確認してください。
次を出してください。
1. 会社ごとに、見積書の発行後に条件が変わった箇所の一覧。
変わる前と後、変わった日付、発言したのは当社と先方のどちらかを書く
2. 口頭や電話でのやりとりに触れているメールがあれば、抜き出す
3. 当社が質問したまま回答が来ていない項目
4. 値引きや特別対応に条件が付いているもの。その条件も本文から引用する
5. メールから読み取れなかったため、直接確認が必要な項目
【条件】
・本文に書かれていない推測を足さない
・引用には送信日とおおよその送信者の立場を添える
3番が、この作業でいちばん使えます。返事を催促し忘れている質問は、担当者の記憶からは消えています。メールを機械的に洗えば漏れが出ます。
2番も見落とせません。「先日お電話でお伝えしたとおり」で始まるメールがあれば、その電話の内容は文書に残っていません。比較表に載せる前に、先方に書面での確認を依頼します。
Gmailのやりとりを整理して読みやすくする方法は、Geminiで文章の書式を整える手順にまとめています。
表を役員会の一枚に収める
軸が8つあり、注釈が10行付いた表は、役員会では読まれません。分けます。
この比較表を2つに分けてください。
1. 役員会用。A4横1枚に収まる分量
・行は5つまで。1セルは25字以内
・初年度に支払う総額の行を1つ置く。ただし空欄が残る会社は総額を書かず、
「未確定の項目があるため算出不可」と記す
・3社で条件がそろっていない箇所だけ、表の下に注釈を3つまで
2. 担当者用の詳細表
・1から落とした項目をすべて含める。空欄はそのまま残す
【条件】
・1から落とした項目について、落とした理由を一言ずつ書く
・総額を出すとき、私が伝えていない前提で計算しない
空欄が残る会社の総額を書かせないのが、この指示の肝です。3社のうち2社しか総額が出せない表は見栄えが悪いのですが、その見栄えの悪さが「C社はまだ比べられる状態にない」という事実を正しく伝えます。
調達側の比較表づくりは、購買・調達の比較表をAIで作る方法にも整理しています。
Googleスプレッドシートに移して計算させる
Geminiが出したMarkdownの表をそのままスプレッドシートに貼ると、1つのセルに入ります。列に分けるには出力の形を変えます。
詳細表を、スプレッドシートに直接貼れる形で出力してください。
・列の区切りはタブ1つ。行の区切りは改行1つ
・1行目は列名。2行目以降が本体
・金額は「金額」列に数字だけを入れ、税の扱いと条件は隣の「前提」列に書く
・見積書に記載がない欄は、金額も前提も空のままにする
・右端に「出典」列を置き、ファイル名とページを入れる
・表以外の文章や記号の飾りを付けない
出力をコピーしてスプレッドシートのセルに貼ると、列に分かれます。Excelでも同じです。カンマ区切りにすると、セル内の読点で列がずれます。
貼ったあと、金額の合計はセルの計算式で出します。Geminiに合計させた値をそのまま載せると、桁を間違えたときに気づけません。数字と条件を別の列に分けておくと、合計の式がそのまま書けます。空欄のセルには条件付き書式で色を付けておくと、未確認の箇所が誰の目にも見えます。
公開情報で埋めるときは一次情報に戻る
各社の公式サイトに標準価格が出ている場合、空欄をそこで埋めたくなります。Geminiに検索させて埋めることもできますが、その値は見積書の金額ではありません。標準価格と相見積の金額は別物で、表の中で並ぶと同じ重みに見えます。
公開情報で埋めたセルには、参照したページのURLと確認した日付を書かせ、人がそのページを開いて確認します。表の上では、見積書由来のセルと公開情報由来のセルを分けて示してください。「出典」列に見積書のファイル名が入っているか、URLが入っているかで区別できます。
契約に直接かかわる条件は、公開情報からは取りません。支払い条件、遅延したときの扱い、検収の基準は、見積書と契約書の文面を人が読んで転記します。Geminiの出力は下書きとして扱い、社内に配る前に必ず人が原本と突き合わせてください。
同じ作業を他のツールで進める手順は、ChatGPTで比較表を作る手順とClaudeで比較表を作る手順にあります。
うまくいかないときの対処
相場の数字が紛れ込む。 見積書に書かれていない費目に、業界の目安らしき金額が入ることがあります。表を作り直させるより、出典列が空の行だけを抜き出させて確認するほうが早く済みます。抜き出した行は、金額を消して空欄に戻します。
PDFの表がうまく読めていない。 見積書の明細が画像として入っていると、金額がずれて抜き出されます。金額のセルだけは全件を原本と目で突き合わせてください。読み取れない場合は、そのページを開いて内容を貼り付ければ進みます。
3社で項目の呼び方が違いすぎる。 対応関係を先に作らせます。「据付調整費」「設置工事費」「搬入設置費」が同じものかどうかは、最終的に各社に聞くしかありません。勝手にそろえさせると、違うものが同じ行に並びます。
値引き後の金額が本体価格に混ざる。 値引きは独立した行にします。本体価格から引いた後の数字だけが表に載ると、条件付きの値引きが恒久的な価格に見えます。
古い見積と改訂版が両方フォルダにある。 ファイルごとの日付を一覧にさせ、最新版だけを対象にするよう指定してください。日付順に並べさせるだけで、どれが生きている見積かが分かります。
まとめ
相見積の3社分のPDFをドライブの1フォルダに集め、状況だけを書いて比較軸を12個出させるところから始めてください。そのうち見積書に書かれていないと後から費用が出る項目を半分入れさせ、役員会用の5つを選びます。資料を参照させて「記載がない欄は空欄」で埋めさせ、Gmailから発行後の条件変更を足します。残った空欄を各社への確認事項に変え、タブ区切りで出力してスプレッドシートに貼り、合計は計算式で出します。この軸の作り方は、次の相見積でも状況の説明を差し替えるだけで使えます。
よくある質問
Geminiはドライブに入れた見積書のPDFを読んで比較表にできますか?
ドライブとの連携が有効なアカウントでは、ファイル名やフォルダを指定して内容を参照させ、表にまとめられます。連携が使えない場合はファイルをアップロードすれば同じ手順で進められます。連携の可否は契約と管理者の設定によって変わります。
見積書に書かれていない条件はどう扱えばよいですか?
空欄のまま残すようGeminiに指示してください。相場から補わせると、実際の見積と違う金額が表に載ります。空欄は各社への確認事項として一覧にし、回答が来てから人が転記します。
作った比較表をGoogleスプレッドシートで計算に使うには?
「タブ区切りのテキストで出力してください」と頼み、出力をコピーしてセルに貼ると列に分かれます。金額の合計や差額は表に書かせず、スプレッドシート側の計算式で出したほうが桁のずれを防げます。