最新動向

SalesforceのEC向けAI、ChatGPT連携が正式提供へ

SalesforceのEC向けAI、ChatGPT連携が正式提供へ

この記事の要点

Salesforceが商取引向けAIエージェント機能を刷新し、ChatGPT連携を7月に一般提供した。商品カタログをChatGPTと直結し、会話から購入までをつなげる仕組みが小売・ECの現場に影響する。

結論

Salesforceは2026年7月、商取引向けAIエージェント機能「Agentforce Commerce」を刷新し、ChatGPTとの連携機能を一般提供に切り替えた。企業が管理する商品カタログをChatGPT上でそのまま扱えるようにし、会話による商品発見から購入、購入後の対応までを一つのAIエージェントがつなぐ仕組みを整えた。ECサイトを運営する企業にとって、顧客がSalesforceの画面の外にいる状態でも購買行動を支援できるようになる変化である。

何が起きたか

今回の刷新は、B2C・B2B・受注管理・店舗のレジ業務まで含めた広い範囲でのAIエージェント機能強化と位置づけられている。目玉となるのがChatGPTとの連携で、企業がBusiness Managerで管理している商品カタログが追加の作業なしにそのままChatGPTと同期される仕組みが整った。これにより、ChatGPT上で商品を探している利用者に対して、企業の在庫や価格情報を反映した形で商品を提示できるようになる。従来はECサイトの検索窓に商品名を打ち込んで探すのが一般的だったが、今後は利用者が対話型AIに欲しいものを伝えるだけで、複数の企業の在庫を横断的に比較しながら提案を受けられるようになる可能性がある。

Salesforceの発表では、購入検討から決済、購入後のサポートまでを一つの「ショッパーエージェント」が引き継ぐ設計になっているとされる。在庫状況や配送の締め切りを確認し、店舗受け取りの提案までを一つの会話の中で完結させる設計だという。Salesforceが公表したデータでは、ショッパーエージェントを導入した小売企業は導入していない企業に比べて売上の伸びが59%速く、対話型AI経由の流入はSNS経由に比べて8倍の転換率になっているという。Google検索のAIモードやGeminiアプリとの連携についても、2026年の夏をめどに一般提供が予定されている。米アパレル大手のPacSunは、ChatGPTとの連携について、Z世代やそれに続く世代の顧客との関係づくりにつながる機会だとコメントしている。

対話型AI経由の購買が意味する変化

これまでのECにおける集客は、検索エンジンでの上位表示やSNS広告が主な手段だった。対話型AIの中で商品が発見され購入まで完結する流れが定着すれば、集客の主戦場そのものが移る可能性がある。企業から見れば、これまで自社サイトのデザインや導線改善に振り向けていた投資の一部を、対話型AI向けにどう商品データを整えるかという新しい課題に振り向ける必要が出てくる。まだ立ち上がったばかりの仕組みであり、実際にどこまで購買行動が移るかは今後の推移を見極める必要がある。

現場の実務にどう効くか

これまでECサイトでの購買行動は、自社サイトや検索エンジン経由での流入が中心だった。ChatGPTのような対話型AIの中で商品が発見され購入まで完結する流れが広がれば、EC担当者は自社サイトの改善だけでなく、対話型AIの中でどう商品情報が扱われるかにも目を配る必要が出てくる。小売・ECのAI活用 商品説明から顧客対応までで挙げた商品説明文の整備は、こうした対話型AI経由の販売でも土台になる取り組みであり、今のうちに商品データの精度を高めておく価値がある。

営業やマーケティングの現場では、対話型AI経由の顧客接点が増えることを見越した施策の見直しが必要になる。営業支援のAIツール比較 商談から受注までで紹介したような仕組みと組み合わせ、対話型AI経由で獲得した見込み客をどう追客するかをあらかじめ設計しておくとよい。ChatGPT自体の基本的な仕組みや使い方を社内で共有していない企業は、ChatGPTとは?できること・料金・始め方を参考に基礎知識を揃えておくと、今回のような連携機能の話が出た際に現場の理解が追いつきやすくなる。

一方で、自社の商品情報を外部のAIサービスに連携することは、価格の見せ方やブランドの伝わり方を自社でコントロールしにくくなる面もある。導入を検討する際は、マーケティング部門と情報システム部門が連携し、どこまでの情報を連携させるかを事前にすり合わせておくことが望ましい。競合他社が先に対話型AI経由の販路を確立してしまうと、後から追いつくのは難しくなる分野でもあるため、自社の顧客層が対話型AIをどの程度利用しているかを早めに調査し、優先度を判断する材料にするとよい。

出典

よくある質問

ChatGPT連携を使うのに追加のシステム導入は必要か

Salesforceの発表によれば、Business Managerで管理する商品カタログがそのままChatGPTと同期される仕組みで、別途ソフトウェアを追加する必要はないとされている。実際の設定条件は契約内容によって異なるため、導入前に営業担当に確認するとよい。

Googleの検索やGeminiアプリとの連携はいつ始まるのか

Salesforceの発表では、Google検索のAIモードやGeminiアプリとの連携は2026年の夏に一般提供が予定されているとされている。時期は変更される可能性があるため、最新情報は公式発表で確認してほしい。